国内景気が4カ月ぶりに悪化、規模別も半年ぶりの全規模悪化へ TDB調査
株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は、2024年10月に実施した景気動向調査の結果を発表した。ここでは半年ぶりに全規模での悪化がみられた企業規模別の景気動向に注目して、概要を紹介する。
上向き傾向が一服し4カ月ぶりの悪化となった国内景気
TDBの調査によれば、2024年10月の景気DIは前月比0.3ポイント減の44.3となり、4カ月ぶりに悪化したという。10月は、長引く残暑による秋冬物の出足の鈍さに加え、買い控えや選別購入など節約志向の高まりにより、個人消費が停滞し、景況感が悪化。人手不足や最低賃金の引き上げなど人件費の増加が企業の収益性を抑制し、飲食料品関連では原材料費の高騰の影響が全体に及んでいるようだ。
10月はプラス材料として、防災・災害復旧工事などの建設関連や大都市圏での再開発、自動車生産の回復、インバウンド需要の継続などがあったというが、今後については物流コストの上昇やインフレの進行、中東情勢といったマイナス材料があり、下振れの懸念は拭えない。
規模別の景気動向 6カ月ぶりに全ての規模で悪化
「大企業」(48.3):前月比0.2ポイント減
9月は0.3ポイント増で改善を見せた大企業が、6カ月ぶりに悪化。住宅資材関連は低調傾向が続く住宅着工戸数の影響を受けて厳しい状況であったという。一方で、設備投資に関連する需要は旺盛だったようだ。
「中小企業」(43.6):前月比0.3ポイント減
中小企業では9月まで3カ月連続の改善がみられていたが、10月は一転して悪化。原材料高騰や消費マインドの低下から、飲食料品関連の製造・卸売・小売・飲食点いずれも低調であったという。
「小規模企業」(42.7):前月比0.3ポイント減
6月から4カ月連続の改善となっていた小規模企業も、10月は5カ月ぶりに悪化した。若手人材の採用難で受注機会の逸失が続いたソフト開発業や、リース関連の大幅な悪化でサービスが苦戦。運賃の上昇が好材料となった旅客運送は好調だったようだ。
調査概要
調査期間:2024年10月18日~10月31日
調査方法:インターネット調査
調査対象:調査対象2万7008社、有効回答1万1133社、回答率41.2%
調査機関:株式会社帝国データバンク
出典元:2024年10月の景気動向調査(株式会社帝国データバンク)
まとめ
TDBは今後の国内景気について底堅く維持すると予測しているが、下振れの懸念も拭えない状況にある。景気の先行きを左右する一つの要因として個人消費の動向が挙げられており、実質賃金の継続的な上昇がポイントとなりそうだ。金融市場や政局の動向、米新大統領の経済政策の行方なども、注視しなければならないだろう。
今後のプラス材料としてTDBは、観光産業の回復や設備投資、リスキリングや生成AIの普及、浸透などを挙げている。引き続き動向に注目したい。