上司のリーダーシップタイプによって部下の昇進意欲に違い リクルートMS調査
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ(本社:東京都港区 代表取締役社長:山﨑淳)は「一般社員の会社・職場・仕事に関する意識調査(第1回・第2回・第3回)」「働く人の本音調査2024(第1回・第2回・第3回・第4回)」に続き、従業員規模が50名以上の会社に勤める25歳~59歳の正社員7405名に対し「働く人のリーダーシップ調査2024」を実施し、その分析結果の第1回を公開した。
調査概要
調査目的:働く人のリーダーシップタイプの実態と理想、それらと昇進意欲・事業環境・特性等の関係を明らかにするため
調査対象:従業員規模が50名以上の会社に勤める25歳~59歳の正社員7405名
※大卒もしくは大学院卒/一部業種、役員以上の役職者、回答対象として選んだ「職場」に所属している期間が1カ月未満の人は対象外
調査方法:インターネット調査
調査期間:2024年9月19日〜30日
出典元:働く人のリーダーシップ調査2024 第1回 7,405人に聞いた職場のリーダーシップ論(株式会社リクルートマネジメントソリューションズ)
※%は小数点第2位で四捨五入されているため、文中・表中の数値を足し上げた値と合計の数値が一致しない場合もある
※今回の調査は、同社の管理者適性検査「NMAT」のフレームを用いた簡易版診断として「自分自身」「理想のリーダー」「直属の上司」のそれぞれについて、AとBのどちらにあてはまるかを以下3点の質問でたずね、リーダーシップタイプを分類
1.組織内における集団との関わり方は、「A.周囲と協力し合う」「B.自分が引っ張る」
2.課題に対して取り組む姿勢は、「A.改善・維持」「B.変革・拡張」
3.迷った際の判断のよりどころは、「A.周囲の気持ち・心情」「B.ロジック・理性」
理想の上司のリーダーシップタイプ「調和型リーダー」が最多
本調査結果を見ると、理想の上司のタイプについては、調整×維持×心情という性質を持つ「調和型リーダー(29.8%)」が最多になっている。次いで多かったのは調整×維持×理性という性質を持つ「安定型リーダー(26.7%)」であった。
同社によれば、年代別の回答では大まかな傾向に違いはあまり見られなかったというが、年代が上がるにつれて「安定型リーダー(調整×維持×理性)」「民主型リーダー(調整×変革×理性)」を理想的とする人の割合が上がっているようだ。
続いて、直属の上司のリーダーシップタイプについて尋ねる項目でも、最も多いのは「調和型リーダー(調整×維持×心情)」で、次いで「安定型リーダー(調整×維持×理性)」となっている。
上司のリーダーシップタイプによって変わる部下の信頼感や昇進意欲
次に本調査では「上司は、私の幸福を気にかけてくれる」「上司は、仕事についての知識が豊富である」など15項目の平均値(6点満点)で、上司のリーダーシップタイプによって部下からの信頼感がどのように異なるかを確認。部下である回答者からは「民主型リーダー(調整×変革×理性)」が最も信頼感を持たれていることが明らかになった。
次に「組織で評価され昇進したい」「将来は他の人々を指導し、管理職として仕事をしたい」など9項目の平均値(6点満点)で、部下の昇進意欲が高い上司のリーダーシップタイプを確認。「共創型リーダー(調整×変革×心情)」を上司に持つ回答者は、他のタイプと比較すると昇進意欲がやや高い傾向にあったという
最後に同社は「事業環境」による違いについて報告している。「所属している会社の外部環境の状況として、あてはまるものをひとつ選んでください。」という設問において「市場の競争状態が激しい」「市場の環境変化の速度が速い」「市場の成長率が高い」に対する回答の平均値によって「事業環境変化群」「事業環境安定群」に分け、現在の上司のリーダーシップタイプの違いを確認した。
その結果、維持の性質を持つ「調和型リーダー(調整×維持×心情)」などの4タイプは「事業環境安定群」の出現率が高く、変革の性質を持つ「共創型リーダー(調整×変革×心情)」などの4タイプは「事業環境変化群」の出現率が高い傾向にあることがわかった。
まとめ
本調査の結果からは、リーダーと一言に言っても多様なタイプがあること、そのタイプによって部下からの信頼度や部下の昇進意欲が変わってくることが明らかになった。上司は自身に対して会社や部下からどのような役割を期待されているのか理解し、それに相応しい行動をとっていくべきではないだろうか。
また、人事担当者や経営者は、適材適所な人事となるよう、それぞれのタイプを把握した上での配属を検討する必要がありそうだ。同社でエグゼクティブコンサルタントを務める山本りえ氏は「普段から収集されている人事情報に加えて管理職適性検査のような科学的アプローチを追加することで、経営に対する納得感の向上と社員の可能性を拡げる支援につなげることができます」と提言している。参考にしていただきたい。