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メインバンク選択の変化「ネット銀行経済圏」中小企業で拡大 TDB調査

2024.12.17

帝国データバンク(以下:TDB)は、2024年10月末時点の企業概要データベース「COSMOS2(約147万社収録、特殊法人・個人事業主含む)」をもとに、企業が「メインバンク」と認識する金融機関を分析した。一企業に複数のメインがあるケースでは、各企業が最上位として認識している金融機関をメインバンクとしている。同調査は2023年12月に続き16回目の実施となる。

※本調査は帝国データバンクが独自に調査・保有する企業概要データベース「COSMOS2」に収録された企業データであるため、各金融機関がメインとして認識する実数と異なる場合がある

全国金融機関ランキング2024 シェアトップは「三菱UFJ銀行」

全国金融機関ランキング2024 シェアトップは「三菱UFJ銀行」

TDBの発表によれば、 2024年の全国メインバンク社数トップは「三菱UFJ銀行」となっている。企業数は9万3498社で、2009年の調査開始以降16年連続のトップだという。しかし、全国シェアでは6.33%と前年から0.11ポイント低下。社数では1015社減少し、15年連続のシェア縮小となった。低下幅については2023年に続き、全金融機関で最大だという。

2位の「三井住友銀行」は7万5503社(シェア5.12%)で、前年からシェアで0.07pt低下、社数で655社減少。同様に3位の「みずほ銀行」も、シェアで0.07pt、社数で648社減少と、上位3行ともシェアの低下傾向がみられている。

一方で「りそな銀行(3万1012社、同2.10%)」や「埼玉りそな銀行(1万7898社、同1.21%)」は、ともに社数で増加したことが明らかになった。

地方・第二地方銀行で上位にランクインしたのは「北洋銀行(2万3795社、全国:5位)」「福岡銀行(2万2580社、同6位)」「千葉銀行(2万1435社、同7位)」「西日本シティ銀行(2万971社、同8位)」と報告されている。信用金庫では「京都中央信金(8338社、全国:42位)」が最多だった。

なお、2024年時点でメイン社数1千社以上を有する金融機関のうち、前年からの増加社数(純増)をみると、最多は「埼玉りそな銀行(メイン社数:1万7898社、前年比262社増)」であった。

地銀・信金信組以外では「PayPay銀行(1139社、165社増)」「楽天銀行(1368社、157社増)」などネット銀行の拡大が目立っている。

「ネット銀行経済圏」取引社数は1万社を突破 最多は「楽天銀行」

「ネット銀行経済圏」取引社数は1万社を突破 最多は「楽天銀行」

TDBは本調査において、実店舗を持たず、インターネットバンキングなど個人向け金融事業を主力とする「ネット銀行(新形態の銀行)」が中小企業にも浸透してきたことに注目している。

他業態に比べ大幅なシェア拡大が続くネット銀行のメインバンクシェアは、2024年で0.28%(前年比+0.06pt)、社数で4197社と報告された。調査を開始した2009年からは社数で約27倍、10年前(2014年)からは同5.4倍に増加しているという。ネット銀行では楽天グループの「楽天銀行」が1368社・シェア0.09%でトップ。以下、ソフトバンクグループの「PayPay銀行」、三井住友信託銀行とSBIホールディングスが共同出資する「住信SBIネット銀行」「GMOあおぞらネット銀行」の上位4行で、ネット銀全体の約99%を占めている。

TDBはこうした調査結果を受けて、決済手数料や基本利用料の低さを背景に、多額の融資を必要とせず、決済手段として法人口座が必要な零細企業を中心に、ネット銀行の口座開設を進める動きが加速したと分析している。

まとめ

金融機関においては、人口減少や超低金利の長期化による収益環境の悪化など厳しい経営環境が続いてきた。政策金利の引き上げなどが追い風となり収益が改善しつつあるというが、一方でネット銀行のシェア拡大に注目が集まる。利便性の高い決済機能を強みに攻勢をかけるネット銀行が店舗型金融機関に代わる新たな受け皿となりつつあるようだ。

地域金融機関に、コロナ禍で疲弊した中小企業の経営立て直しという役割が求められる中、ネット銀行の台頭が中小企業のメインバンク選択に影響を与える可能性は、十分にあると言えるだろう。メインバンクとして支援する店舗型金融機関が、融資先企業に対してどのように金融・経営支援を展開していくのか、今後も注目したい。

出典元:全国企業「メインバンク」動向調査(2024)(帝国データバンク)