2024年12月倒産件数は前年同月を5.2%上回り848件に TDB調査
株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は、2024年12月の企業倒産件数(負債1000万円以上の法的整理が対象)について集計し、分析を行った。
調査概要
集計期間:2024年12月1日~2024年12月31日
発表日:2025年1月14日
集計対象:負債1000万円以上法的整理による倒産
集計機関:株式会社帝国データバンク
出典元:倒産集計 2024年 12月報(株式会社帝国データバンク)
連続増加期間が過去最長に 2024年12月の倒産件数は848件
TDBの分析により、2024年12月の倒産件数は848件となったことが報告された。前年同月の806件と比較すると5.2%の増加であり、32カ月連続で前年同月を上回ったことになる。これにより連続増加期間は1990年10月-1993年4月(31カ月)を超えて過去最長を記録したという。
負債総額は2100億7600万円で、前年同月の1015億400万円と比較すると107.0%の増加。TDBは負債50億円超の大型倒産が複数発生したことを報告しており、2024年で2番目に大きい額であった。
また、TDBの業種別分析を見ると、7業種中4業種で前年同月を上回ったことがわかる。最多となったのは「サービス業(前年同月220件→215件、2.3%減)」であったが、2022年2月以来、34カ月ぶりに前年同月を下回ったことも報告された。
さらにTDBは主因別の分析結果も報告。「不況型倒産」の合計が710件となり、32カ月連続で前年同月を上回ったことが判明した。態様別では「清算型倒産(824件)」が全体の97.2%を占めたという。
規模別では、負債が「5000万円未満(511件)」の企業が最も多く、資本金「個人+1000万円未満(617件)」の倒産は全体の72.8%を占めている。また、業歴別では「新興企業(262件)」が15カ月連続で200件を超えたこともわかった。
業種ごとの注目の倒産動向
TDBは注目の倒産動向として、1つ目に「飲食店」の倒産動向を挙げている。2024年、飲食店の倒産件数は894件で過去最多を更新。各種コストの上昇や人件費の増加、節約志向による価格転嫁の難しさなどが、中小クラスを中心とした飲食店に大きく影響しているようだ。
次にTDBが挙げたのは「タクシー業」の倒産・休廃業解散動向であった。ドライバー不足が深刻化する中、タクシー業の倒産・廃業は82件で過去最多を記録した。倒産した35件のうち、4割以上は人手不足を要因としていることも判明。ドライバー不足は稼働率の低下にもつながり、経営に大きな影響をもたらしているようだ。
まとめ
倒産件数はこの3年連続で増加しており、2024年の企業倒産は9901件と、2013年の1万332件に次ぐ11年ぶりの高水準だ。しかしTDBはリーマン・ショックの影響が深刻化した2009年と比較すれば、まだ危機的状況には及んでいないとの見方を示している。
そうした中で2025年の見通しとしてTDBは、引き続き緩やかな増加局面が続くと予測している。厳しい外部環境が好転する兆しもなく、追加利上げやさらなる賃上げの動きなど、より一層の厳しささえ感じる年となりそうだ。
2024年は物価高倒産が全体の倒産件数を底上げした形となったが、2025年はさらに「人手不足」「後継者難」による倒産も増加することが予測されており、今後の推移に注目したい。