改正電帳法対応で約6割が負担増を実感 NTTデータビジネスブレインズ調査

株式会社NTTデータビジネスブレインズ(本社:東京都港区、代表取締役社長:時吉誠)は、主に中小企業の経理業務に携わる企業担当者に対して、改正電帳法およびインボイス制度についてアンケート調査を実施した。2020年1月に改正された電子帳簿保存法(改正電帳法)が、2024年1月から完全義務化され、2023年10月1日からインボイス制度が導入となったことで、経理担当者にとって2023年後半から2024年は変革の時期であったと同社は解説。その中で、改正電帳法とインボイス制度のその後について探るため、本調査を実施した。
調査概要
アンケート回答者:ClimberCloud導入企業116社(全国)
アンケート回答期間:2024年11月18日~11月28日
出典元:改正電帳法の完全義務化から約1年、「経理業務の手間が増えた」と答えた企業は58%(株式会社NTTデータビジネスブレインズ)
改正電帳法の完全義務化 手間が増えた企業が約6割

本調査はまずはじめに、2024年1月時点での電子帳簿保存法への対応状況について質問。その結果「電子取引のみ対応(47%)」「電子取引/スキャナ保存ともに対応(39%)」が多く挙げられた一方で「未対応(14%)」との回答も一定数みられたという。
続いて2024年11月時点での状況を尋ねたところ「電子取引/スキャナ保存ともに対応(48%)」「電子取引のみ対応(47%)」「未対応(5%)」との回答が寄せられ、1年間でほとんどの企業が対応できるようになったことがわかった。
次に本調査は、改正電帳法の完全義務化以降に経理業務が効率化されたか質問。それに対して「かなり効率化された(3%)」「ある程度効率化された(14%)」との回答は17%にとどまっており「逆に手間が増えた(59%)」との回答が6割に迫っている。さらに「以前と変わらない(22%)」との回答も多く、8割以上の企業が効率化されていないことが明らかになった。
手間が増えた理由としては、紙ベースの資料をスキャンして保存する作業や、新システムでの作業、システムへの登録後の確認・修正などがあるようだ。
まとめ
電帳法の改正に対応することでペーパーレス化が進めば、業務効率が大きく改善されそうなものだ。しかし実際にはまだまだ紙ベースのやり取りも多く存在しており、それにより効率化が進まないどころか逆に手間が増えている様子がうかがえる。
電子化については取引先の対応にも左右される部分があり、一気に全ての紙書類をなくすことは難しいだろう。まずは社内対応で改善が見込める業務を中心に現状を正しく把握し、最も負担となっている業務についていかに効率化するかを検討してみてはいかがだろうか。
電帳法への対応の不備は、税務調査時の申告取消しや罰則の発生といったリスクにつながる。その場しのぎの対応とならないよう注意していただきたい。
参考:電子帳簿等保存制度特設サイト(国税庁)