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2024年度企業の社内不正事案「情報持ち出し」が約46%で最多 DDS調査

2025.04.24

デジタルデータソリューション株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:熊谷聖司、以下:DDS)は、社内不正被害の実態を明らかにすべく、2024年度社内不正被害にあった経験のある企業220社を対象に、実態調査を実施。全国の警察が受理した企業情報の持ち出しなど営業秘密侵害に関する相談件数(※)は、近年増加傾向にあるとして、その実態を明らかにしている。

※出典元:警察庁「令和6年における生活経済事犯の検挙状況等について」

調査概要

調査主体 :デジタルデータソリューション株式会社
調査対象者 :社内不正被害にあった経験のある企業(一部企業に追加調査を実施)
サンプルサイズ :220社
調査年月 :2024年4月~2025年3月
調査手法 :アンケート調査
出典元:2024年度社内不正被害に関する実態調査(デジタルデータソリューション株式会社)

最も多い社内不正被害は「情報持ち出し」で業界別は「製造業」が最多

最も多い社内不正被害は「情報持ち出し」で業界別は「製造業」が最多

DDSは2024年度に社内不正が発生した企業のうち、約46%が「情報持ち出し」に関するものであったことを報告。その内訳は「退職者による情報持ち出し:約29%」「在籍中の従業員による情報持ち出し:約15%」「派遣・業務委託者による情報持ち出し:約2%」となっている。2023年度と比較すると、退職者による情報持ち出しは43%から29%へ減少しているが、在籍中の従業員による情報持ち出しが11%から15%へ増加したという。

また、社内不正が多い業界としては「製造業」と「サービス業」が挙げられており、この2つの業界で発生した社内不正事案の内訳として、情報持ち出しや労働問題が約6割を占めている。製造業とサービス業は社内不正が多い業界として3年連続で上位にランクインしたことも明らかになった。

情報持ち出し被害が発覚したきっかけは?発覚した時期は4〜5月が最多

情報持ち出し被害が発覚したきっかけは?発覚した時期は4〜5月が最多

続いてDDSは、情報持ち出しの発覚経緯で最も多いのは「他の社員からの報告(19%)」であることを報告。次いで「社内データ削除の発覚(15%)」が続くという。また、2023年度から増加している「機器パスワードの消失(11%)」は約1割を占め、DDSは退職予定者による意図的な情報隠しが背景にあるとみている。

本調査では、持ち出される情報について、顧客情報や技術に関する機密情報、業務データなど、他社で利用価値のある情報が含まれる傾向があることも明らかになった。

さらにDDSは、調査の結果、人材の入れ替わりが活発な4~5月に情報持ち出しの発覚が多く、過去3年間も毎年4~6月に集中する傾向があることを報告している。

まとめ

社内不正事案において圧倒的に多いのが「情報持ち出し」であることが明らかになった。特に人材の入れ替わりが多い4〜5月に発覚するケースが多い傾向となっており、今が最も注意すべき時期と考えられる。

2024年4月から施行された「不正競争防止法の改正」では、デジタル空間における模倣行為の防止や営業秘密・限定提供データの保護強化が行われた。この改正により、技術上の秘密の使用等による被侵害企業は、相手方の使用行為の立証が容易になっている。

企業は従業員らによる情報の持ち出しに注意すると同時に、転職者を受け入れた際の情報の持ち込みに対しても十分に注意しておく必要があるだろう。情報の持ち込みが発覚した際の対応についても、事前にガイドライン等を定めておく必要がありそうだ。従業員への注意喚起も含め、自社の対応について見直す機会としていただきたい。

不正競争防止法 直近の改正(令和5年)(経済産業省)