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ハラスメント意識上昇を約9割が実感も防止策に不十分との声 Job総研

2025.04.30

パーソルキャリア株式会社が運営する調査機関『Job総研』は、543人の社会人男女を対象に「2025年 ハラスメント実態調査vol.1」を実施した。同社は2021年から2023年の調査でハラスメント被害率に変化がなかった一方で、対策への不十分さを感じる人の割合が増加していることに注目。本調査では、直近1年のハラスメント意識や勤務先での対策の変化に加え、職場での被害経験や解決について明らかにした。

調査概要

調査対象者:現在職を持つJobQ Town(ジョブキュータウン)登録者
調査条件:全国/男女/20~50代
調査期間:2025年4月9日〜4月14日
有効回答数:543人
調査方法:インターネット調査
出典元:Job総研『2025年 ハラスメント実態調査vol.1』を実施しました(パーソルキャリア株式会社)

直近1年でハラスメント意識や対策はどう変わった?

直近1年でハラスメント意識や対策はどう変わった?

本調査ではまずはじめに、直近1年間のハラスメントへの意識について質問。その結果「上がった派」が88.2%で大多数を占めたことが明らかになった。「上がった派」の年代別では「40代:93.5%」が最も多く、次いで「30代:90.9%」「50代:87.5%」「20代:84.4%」との結果が報告されている。

続いて、直近1年間の現職場のハラスメント対策を尋ねる項目では「強化された(59.3%)」が6割近くに及んでいる。また、現職場のハラスメント防止策の有無については「ある(60.0%)」「ない(19.7%)」「有無を知らない(20.3%)」との回答が寄せられたという。

ハラスメント対策「不十分」が約6割

ハラスメント対策「不十分」が約6割

次に本調査では、防止策ありと回答した人を対象に実際の対策内容について質問。「相談窓口の設置(66.3%)」「ガイドラインの周知(52.5%)」「ハラスメント研修・教育の実施(49.7%)」が回答の上位に並んでいる。

さらに、回答者全体の543人を対象に尋ねた「職場のハラスメント防止に必要な対策」への回答は「明確なガイドラインの配布(43.3%)」「匿名の報告・相談環境や制度(42.0%)」「管理職に向けた教育・研修(40.3%)」が上位であった。

また、現職場のハラスメント防止対策への印象については「不十分だと思う派(58.6%)」が過半数となったことが判明。「パワハラ防止法」強化の必要性についても「必要性を感じる派(82.9%)」が大多数を占めたという。

過半数がハラスメント被害を経験 最多は「パワハラ」

過半数がハラスメント被害を経験 最多は「パワハラ」

続いて本調査では、職場でのハラスメント被害について質問。被害を受けた経験が「ある(55.1%)」と回答した人が過半数を占めたことが明らかになった。受けたハラスメントの種類としては「パワーハラスメント(パワハラ)(73.2%)」「モラルハラスメント(モラハラ)(31.4%)」「セクシュアルハラスメント(セクハラ)(26.1%)」が多いようだ。

また、受けたハラスメントの内容としては「個人を否定するような言動(55.9%)」「能力を否定するような言動(51.5%)」「精神的な攻撃や嫌がらせ(41.5%)」などが多く挙げられている。

ハラスメントへの対応「相談していない」「わからない」の声

ハラスメントへの対応「相談していない」「わからない」の声

受けたハラスメントへの対応については「誰にも相談していない(27.4%)」「対応の仕方がわからない(20.4%)」と、半数近くが対応できていない様子がみられた。何かしらの対応をとった人では「社内の信頼できる人に相談した(23.7%)」「家族や配偶者・親族に相談した(22.1%)」が上位に挙げられており、まずは誰かに相談したという人が多いようだ。

さらに本調査では、被害経験ありと回答した299人に、職場ハラスメントによる退職・検討経験を尋ねており「ある派(82.2%)」が大多数を占めたという。そのうち47.8%は実際に退職したことも明らかになった。また、回答者全体の543人を対象とした「ハラスメントが解決されることはあるか」を尋ねる項目では「解決はないと思う派(68.7%)」が7割近くに及ぶ結果となっている。

まとめ

多くの人が直近1年間でハラスメントへの意識が上昇したと回答しているものの、職場の対応策については不十分さを感じている人の方が多数派であった。さらに、パワハラ防止法強化の必要性を8割超が実感しており、大半の人がさらなる対策を講じるべきだと考えていることが明らかになった。

実際に過半数が被害を経験していることや、ハラスメント被害を受けた人の半数近くが、被害へ対応できなかったと回答していることからも、対策の不十分さは明白だ。ハラスメントの発生を防ぐことはもちろん、被害者へのケアについても注力していく必要があるだろう。

本調査ではハラスメント被害を受けた人の多くが退職を検討し、約半数は実際に退職するに至ったとの結果も報告されている。ハラスメント被害が及ぼす影響の強さが示唆されたと言えるだろう。改めて自社の対策状況について見直す機会としていただきたい。