円安長期化、対応に格差「希望為替レート」中央値140円 TSR調査
株式会社東京商工リサーチ(以下:TSR)は、2022年6月から2026年6月まで実施した「為替に関するアンケート調査」を分析。その結果、円安の長期化に伴い、企業の円安への受け止め方や適応状況に差が広がっていることが明らかになった。特に価格転嫁が難しい小売業や運輸業では円高を望む声が強く、業種や取引構造によって円安の影響に格差が生じているようだ。
円安へのマイナス評価は減少も、大企業が中小企業を上回る
TSRの報告によると、2026年6月時点で、現在の為替水準が経営に「マイナス」と回答した企業は40.7%となり、2024年6月調査(54.4%)から13.7ポイント低下。企業が価格転嫁や経営計画の見直しを進め、円安への適応が進んだことが背景にあるとみられている。
一方、規模別では、大企業の41.1%が「マイナス」と回答し、中小企業(40.6%)を初めて上回ったことが判明。急速な円安が企業の想定を超え、大企業でも負担感が高まっている実態がうかがえる。
希望為替レートは140円まで上昇、業種で温度差
また、企業が望む為替レートの中央値は、2022年6月の110円から2026年6月には140円まで上昇。円安を前提とした経営への適応が進んでいるものの、実勢レートとの間にはなお20円以上の開きがある。
業種別では、小売業や運輸業で「135円未満」の円高水準を望む企業が半数を超えている。仕入価格や燃料費の上昇を販売価格へ転嫁しにくいことが背景にあるようだ。
一方、建設業や製造業では150円以上を許容する企業も一定数あり、取引条件の見直しや価格転嫁が進む企業では、円安への適応が進展していることがわかった。
出典元:「円安適応」に企業間格差 ~ 「為替アンケート」で透ける苦悩 ~(株式会社東京商工リサーチ)
まとめ
今回の調査では、円安そのものよりも「円安へ対応できる企業と、難しい企業の差が拡大している」実態が浮き彫りとなった。従来の「輸出企業は恩恵、内需企業は打撃」という構図だけでは説明できず、価格転嫁のしやすさや顧客との取引形態が企業業績を左右する要因となっているようだ。
企業にとっては、為替変動を前提とした資金計画や収益管理に加え、調達先や契約条件の見直しなどリスク分散への対応がこれまで以上に重要になるだろう。コスト増を吸収する業務改善や生産性向上、価格改定に関する社内外へのていねいな説明など、円安が常態化する経営環境を見据えた体制づくりを進めたい。














