「与信限度額」引き上げ約4割、新リース会計基準「知らない」約7割 TSR調査
株式会社東京商工リサーチ(以下:TSR)は7月31日~8月11日、企業を対象に「与信ルールと新リース会計」に関するアンケート調査を実施した。
調査概要
調査期間:2026年7月31日~8月11日
調査方法:インターネットによるアンケート調査
有効回答:6356社
出典元:「与信限度額」 企業物価上昇で約4割が引き上げ「新リース会計基準」、「知らない」企業は約7割(株式会社東京商工リサーチ)
※資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義
物価上昇を受け与信限度額を引き上げる企業が4割
TSRはまずはじめに、2023年以降に与信限度額の考え方を見直した企業3011社に、限度額の変更状況について質問。その結果「限度額を引き上げた先の方が多い(29.2%)」「一括して与信先に対する限度額を引き上げた(6.7%)」と、合わせて36.0%の企業が、与信限度額を引き上げる方向で見直していたことが明らかになった。
企業規模別では大企業が39.5%、中小企業が35.6%となり、大企業が3.9ポイント上回っている。また、与信限度額を引き上げた企業506社では、2023年と比較した同一取引先への平均引き上げ率が21.6%となった。
また、大企業の平均引き上げ率は18.8%だったのに対し、中小企業は21.8%に。原材料費や人件費、物流費などの上昇によって取引価格が上昇するなか、中小企業では取引先から提示された価格を与信額に反映せざるを得ないケースもあると考えられる。
新リース会計基準「知らない」が約7割
続いて、2027年4月から上場企業・大会社を対象に適用が始まる新リース会計基準について質問。68.8%の企業が「知らない」と回答した。「知っている」と回答した割合は、大企業では64.5%だったのに対し、中小企業では28.2%となり、36.3ポイントの差が生じている。
さらに、新リース会計基準を「知っている」と回答した企業のうち、財務指標の変化を踏まえて自社の与信規定を見直した企業は18.3%にとどまったことが判明。大企業では75.7%、中小企業では74.2%が「見直す予定はない」と回答している。
まとめ
物価上昇によって取引金額が膨らむなか、与信限度額を引き上げる企業が増えている。一方、2027年4月から適用される新リース会計基準への対応は十分に進んでいない実態が明らかになった。特に、新基準を「知らない」企業が68.8%に上り、制度を認識している企業でも与信規定を見直した割合が18.3%にとどまっている点は、今後の与信管理における課題といえる。
新リース会計基準は、会計処理の変更にとどまらず、取引先の財務諸表や財務指標の見え方にも影響する。取引先の実態や信用力が変わっていなくても、会計基準の変更によって自己資本比率などが変化すれば、従来の審査ルールでは信用力を正しく評価できなくなる可能性がある。
経理担当者には、自社の会計処理への対応だけでなく、取引先の財務情報をどのように評価するかという視点も求められるだろう。新基準の適用対象となる取引先を洗い出し、財務指標への影響を確認するとともに、必要に応じて与信限度額や信用格付けの判断基準を見直すなど、制度変更を与信管理の仕組みまで落とし込んでいきたい。













