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これからのデジタル社会で生き残る3つの方法

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1.採用大手が起こした個人情報売却問題の功罪
2.監視社会による犯罪の減少、格差の拡大
3.デジタル社会で生き残る「デジタリアン」
4.その1「業務を熟知すること」
5.その2「デジタルツールに詳しくなること」
6.その3「人たらしになること」
7.最後は、資本家か経営者しか残らない

採用大手が起こした個人情報売却問題の功罪

 2019年8月2日、大手企業による不祥事のニュースが飛び込んできました。私自身、日頃からこういったニュースはチェックしていますし、残念ながら、この手のニュースは最近よく見聞きすることでもあったので、さほど驚かずにその内容を見ていたのですが、今回ばかりは驚きを隠すことができませんでした。
採用大手による個人情報売却問題です。

 このニュースを驚きと共に読み進めていく中で、私はあることに気付いたのです。
それは、前回の記事(IoTが人を監視し、AIが人を殺す社会をサバイブする https://officenomikata.jp/column/10605/)にも通ずる、今後のデジタル社会での生き残りのための布石が隠されているのではないかということです。

 採用大手の個人情報売却問題は、いったい何が問題だったのか?
この問題の本質は、「サービス上で集めたデータを勝手に売り捌いてしまったこと」と言えます。これが大炎上した理由でもあります。
ご存じない人はいないと思いますが、今では、私たちのインターネット上でのあらゆる活動は必ずどこでも監視されています。私たちがサービスを利用すれば、この人は「何を見た」「何を買った」「何を調べた」「どのページで買うのをやめた」などすべての情報を取られています。

 とはいえ、これらはあらゆる企業で行われていることであり、このような行動履歴を分析するのは、当たり前と言えば当たり前です。Google Analyticsを代表とするようにWebでの行動分析ツールは日々進化しています。
しかし、採用大手のケースの場合には、この情報に個人情報まで付けて、しかも有料で販売していたのです。このままではうかうかインターネットを利用できなくなってしまいます。

 では、一人の利用者として取れる対策はどんなものがあるのでしょうか?
具体的には、偽名でアカウントを作成したり、捨てメールアドレスを作成してアカウント登録をする等が考えられます。

 しかし結局のところ、本人確認をしなければ登録できないサービスでは、このような事業者側の優位的な地位を利用するような犯罪は断固として責任を追及しなくては、利用者の個人情報を事業者に勝手に売買されてしまう可能性は消すことはできず、これからのデジタル社会は発展を阻害されてしまうという部分まで解消できそうにありません。

 一方で、これらのデータを欲しがっている人が居ることも事実です。みなさんの会社でも万が一、費用対効果が合えば欲しいと思いませんか?
私なら買うかもしれません。(笑)
求職者による内定辞退は、企業側からすれば入社の約束をしたのに破棄されるという許し難い事実であることは変わりません。もちろん、労働者の権利を守るという観点も理解できますが、約束が不履行になることを是認していいということ自体がナンセンスではないでしょうか。簡単に約束不履行にする応募者は、社会人としての感覚が麻痺していると言えるでしょう。
企業としては法律には逆らえないため、そうなる前に内定辞退率を把握したいとなるのは至極当然の話です。

 このように、これからもインターネット上の監視社会は増々進みます。どこの企業も得られたデータは活用しようと力を入れます。様々なITツールやシステムを導入してデータの取得、活用、そして新規事業の立案と新しい仕事がどんどん生まれています。「データサイエンティスト」などはその好例でしょう。

 見方を変えれば、デジタル社会になり、データがどんどん活用され人々がより便利な社会生活ができるようになる社会に向かっていると言えます。その通過点の出来事が、今回の問題と言っても過言ではありません。

監視社会による犯罪の減少、格差の拡大

 前述の例のように、インターネット上のデータはどんどん取得され分析されています。しかし、監視されていること自体は悪いことばかりでもありません。
例えば、リアルの世界でも監視カメラ(IoT)により監視される範囲が広がっています。
(IoTが人を監視し、AIが人を殺す社会をサバイブする https://officenomikata.jp/column/10605/

 そのメリットは、犯罪件数が減少し、犯罪者の検挙率が上がっていることです。これ以外にもマイナンバーの導入で脱税も一切できなくなる時代になるでしょう。近い将来、悪いことはできなくなるということです。

 これ自体はとても素晴らしいことですし、「正直者が馬鹿を見る時代がいよいよ終わるのです。みなさんの職場でも理不尽さを感じたことはありませんか?それがことごとく解消されていくことになるのです。真面目に一生懸命仕事をしてきた人にとってより良い社会が待っているのです。

 しかし、監視社会の負の側面も同時に理解していただく必要があります。
監視社会による影響は、「格差の拡大」です。
なぜ格差が拡大するのでしょうか?
分かりやすい実例をご紹介します。

 現在、中国では政府主導のもと、「信用スコア」をもとに個人を格付けする社会を構築しようとしています。「信用スコア」とは、年齢、学歴、職業に加え公共料金の決済状況などを数値化したものです。これにより、その人の社会的信用を判断し、不動産賃貸物件の保証人の有無や自動車や不動産のローン審査に影響を与えると言われています。

 自分の行動の一挙手一投足がすべてスコア化されるということです。

 これはつまり、「間違いが許容されにくい社会になっていく」ということです。
うまくやれる人はどんどん成功し、うまくいかない人はどんどん不自由になる社会だと言い換えてもいいでしょう。
事実、現在でもすでに企業は信用調査会社により格付けされているのはご存じだと思います。
それがデジタル社会の進歩により、企業だけでなく、個人にまで容易に影響が及ぶということです。そしてこの監視社会への流れは、誰にも止めることはできません。
では、どうやってこのデジタル社会で生きていいけばいいのでしょうか?

デジタル社会で生き残る「デジタリアン」

 それはベジタリアンならぬ、デジタリアンになることです。(笑)
デジタル社会に慣れることです。デジタル社会に溶け込むことです。

 企業の場合、既得権益を持っている企業はそのやり方に固執し、いつまでも変えられず、今までの成功体験をもとに事業継続を行っています。そこにベンチャー企業が登場し創造的破壊を見事に成功させることにより、既得権者は駆逐されています。歴史は繰り返すのです。

 フィンテックが一番の例でしょう。この先、銀行業務は無くなる、銀行自体がなくなると言われています。
そんな状況の中、DX(デジタルトランスフォーメーション)というキーワードが各企業で盛んに飛び交っています。

 既存の商品やサービスをデジタル化したり、マーケティングをデジタル化する前に、先ずは人がデジタル化しなければいけない、特に企業の上層部がデジタル化できなければ経営の舵取りができなくなってきているのです。

 最近起きた7ペイの問題は、デジタルトランスフォーメーションがうまく機能していない例だと言えます。
ご覧になった方も多いでしょう。謝罪会見で社長が出て来たのは良かったのですが、デジタルに関する質問に答えられませんでした。「企業トップがこの程度のITリテラシーなら、起こるべくして起きた」と思われても仕方がありません。
そしてそのこと自体が更に炎上するきっかけにもなってしまいました。

 この7ペイの問題、ひいては企業トップや経営陣の IT リテラシーなどからも分かる通り、デジタル社会というのは、一度乗り遅れてしまうと大きなダメージを受けてしまう社会でもあり、一方で、弱者でも一発逆転できるチャンスを秘めている社会なのです。
現に、ちょっと前に「億り人(おくりびと)」という言葉が流行りました。「億り人」というのは億万長者のことで、これは正にデジタル社会の恩恵を受けることができますが、先行者利益が大切だということです。私はビビッて乗り遅れました。(苦笑)

 つまり、何かをデジタル化するのではなく、自分をデジタル化することが先なのです。
具体的に、デジタル社会で生きていくための3つの方法を提示します。

その1「業務を熟知すること」

 今、日々行っているあなたの作業は、1年後にもあなたが同じ方法でやり続けていると思いますか?
おそらく自動化されている作業が殆どではないでしょうか。
では、あなたは1年後に何をしていると思いますか?
その作業の自動化の設計をしているか、もしくは、別の部署や別の仕事をしているのかもしれません。もしくは・・・

 作業自体は無くなりません。その作業を人がやるか、コンピュータがやるかの違いだけですが、これまで述べてきたように、傾向として、人がやる作業がどんどん減っていきます。
人が行う作業を減らすためにあなたが積極的にそのデジタル化に参画するのです。会社から使われていた立場から、デジタルを使う側に回るのです。人を使うのもデジタルを使うのも業務を知っていなければ使いこなせません。その会社で、その部署で一番業務を知っている人になればいいのです。
自分たちで自分の仕事をなくしている、奪っているように見えるかもしれませんが、これができなければ、私たちはデジタリアンにはなれません。

その2「デジタルツールに詳しくなること」

 業務知識が豊富になれば、次はそれをデジタルの仕組みにアウトプットすることです。その為には、世の中にあるデジタルツールを全て把握することが大事になります。
デジタル社会の進化により、社内のシステムは「作る」から「利用する」に変わっています。

 今では、通信回線の進化やセキュリティの向上でクラウドなどのサービスが簡単に安く利用できる時代になりました。
自社向けのオリジナルシステムを作り利用することは非効率になり費用対効果が悪くなってきています。そもそも大規模システムを何年も掛けて作っているうちに時代が変わってしまう時代です。そんな変化が早い時代に合わせるために、既存の各サービスを利用して柔軟にデジタル化して対応していく時代になったのです。サービスの数もものすごい勢いで増えています。この各デジタルサービス、デジタルツールの取捨選択が肝になります。

その3「人たらしになること」

 最後に一番大事な要素をお伝えします。それは「人たらし」になることです。
「人たらし」と聞くと悪いイメージを想像する人が多いと思います。しかし、現実はまるで逆で、現在成功している人の殆どが「人たらし」です。
私のいう「人たらし」というのは、人間味がある人のことです。
その最たる例が、ソフトバンクの孫社長です。孫さんは今や通信会社ではなく投資会社のト
ップであると豪語しています。
結果として各分野のIT企業のトップにことごとく出資を成功させています。しかも、その資金の投入の仕方においても、もの凄く安く株を買っているようです。これも孫さんの人柄の成すところでしょう

 では、私たちはどうすればいいのでしょうか?孫さんと同じことができるのでしょうか?明日から、いえ、今日から「人たらし」になるにはどうすればいいのでしょうか?

 それは、みんなに愛されることです。愛されることを意識して日々生活することです。デジタル社会が進み、信用スコアが導入され、格差社会が広がる中、自分の身を守るのは自分しかいません。
スキルを磨き武器を手にすることも大事ですが、敵と戦うのではなく、「敵を作らない
」ことを強く意識すべきです。最近流行りの孫氏の兵法で「戦わずして勝つ」のように。

 社内では人望が厚い人が生き残ります。能力が高いというだけでは生き残れません。知識があり能力があり人望がある人。こういう人を会社は選びます。

最後は、資本家か経営者しか残らない

 先ほどちょっと触れましたが、使う側と使われる側はこれからドンドン明確に線引きされていきます。
使われる側がデジタルに置き換わっていくので、必然的に残る職種は、経営者か資本家だけ
になります。これは何も会社を作ったり独立起業しましょうという話ではありません。社内においても、ひとりひとり、みなさんがいかに3つの能力を手にし、経営者マインド、資本家マインドを持って仕事をするか、できるのかということです。

 デジタル社会では、この生き方しか生き残れなくなっていきます。
ですから、みなさんには愛される人間になってほしいと思います。