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IoTが人を監視し、AIが人を殺す社会をサバイブする

「5年以内にロボットが人間を殺し始める」

 このセリフは「ゼロ・トゥ・ワン」の著者であり、ペイパル創業者であるピーター・ティール氏と共に「ペイパルマフィア」と呼ばれ、現在では、宇宙事業を手掛けるスペースX社と電気自動車開発、販売で注目を集めるテスラ社の創業者で、世界的に著名な経営者であるイーロン・マスク氏のものです。このコメントは当時、大きな話題になりました。

 また同様に、2018年3月に亡くなった理論宇宙学者のスティーヴン・ホーキング博士もAIについて警鐘を鳴らしていたのもご記憶にある方も多いのではないでしょうか。

 さらに、数年前に流行した「シンギュラリティ」という言葉をご存知でしょうか?
(注)シンギュラリティとは・・・人工知能(AI)が人類の知能を超える転換点。それがもたらす世界の変化のことをいう。

 例えば、AIがさらに進化し続けた場合、「シンギュラリティ」が起き、スパムメールを削除するようにその元凶である人間を削除することが起きるという「歴史の転換点」が発生すると言われています。国内に目を向けてみたとき、実際に「AIが人を殺す」兆候が出始めています。

 最近の具体例を見てみましょう。

10年後に残る仕事、消える仕事の違いとは

(*1)オズボーン氏の論文『雇用の未来』の中で、コンピューターに代わられる確率の高い仕事として挙げられたものを記載
(*1)オズボーン氏の論文『雇用の未来』の中で、コンピューターに代わられる確率の高い仕事として挙げられたものを記載

 では、AIに殺される仕事と殺されない仕事とはいったい何が違うのでしょうか?
 一説にイギリスのオックスフォード大学の研究によると、今後10~20年で約半分の仕事は自動化されるという予測もあります。ここで言えるのは、残る仕事は今は存在しないクリエイティブな仕事、消える仕事はまさに存在している仕事だということです。

具体例①
 2018年、もはや日本のひとつの風物詩となった渋谷のハロウィーンで通行中の車両へ飛び乗ったり、横転させたりといった器物損壊事件では、街中の監視カメラのリレー方式によって犯罪者を特定、追跡し、AI顔認証でスピード逮捕になりました。これは今まで出来なかった大量の画像データの収集と解析をIoTとAIを使って自動化したことにより成し得た成果です。

具体例②
 金融業界はAIやRPAによって再編が起きています。三菱UFJ銀行が9500人分、みずほ銀行が1万9000人分、三井住友銀行が4000人分の業務量の削減を発表し、海外でもドイツ銀行が1万8000人の削減を発表しました。その原因は、これは今まで人手に頼っていた部分をRPAという技術を用いることにより機械的な処理が可能になったためと言われています。業界の構造的な部分もありますが、明らかに「技術の進歩」によっておこった事実です。

具体例③
 損保ジャパンが4000人を削減しグループ会社である介護サービスを行う子会社に人員を移すと発表がありました。これも前述の銀行と同じようにRPAによる業務の自動化で人材の再配置を可能にした大事な例です。

 これらは先のマスク氏やホーキンス博士が危惧していた「5年以内にロボットが人間を殺し始める」という発言に近づく出来事だといえます。現実のものとして、しかもこの日本で起きているのです。

ドラマ「集団左遷」が現実のものに

 また、AI の影響で会社組織の動きが従来と大きく異なってきています。
 分かりやすい例として、毎週日曜日21時から、福山雅治さんが出演していた「集団左遷」というドラマがありました。ご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。

 このドラマは、銀行が舞台となっており、福山さん扮するいちサラリーマンが不正をする上司と戦うというストーリーを描いているのですが、その中で銀行本部が支店を切るシーンが登場します。そのシーンの一部をご紹介しましょう。
※簡略しております。

 部下「私たちは頑張ってはいけないのですか?」
 上司「全体最適化に向けて統廃合の計画を進めております」
 部下「目標を達成するので、頑張らせてください」
 上司「会社の未来を考えて、痛みを伴うことは理解してください」
 上司「(頭の中)IT企業と組んで超効率的な経営を目指す~リストラが何?どうした?」

 つまり、本部側の人間が会社の未来を守るために「リストラは、全体最適の為に仕方がない」と言い、かたや支店側の人間は「自分の保身のためにそうはさせない」と突っぱねるのです。このドラマを見て、恐怖を感じた方もいらっしゃるかもしれせんが、実は、このような事態はすでに起こり始めているのです。

会社は全体最適化を目指し合理的に動く巨大な生物

 このようにサラリーマンは「歯車だ」と言われますが、会社という枠組みから考えるとそれも言い得て妙です。まさに、このドラマのように歯車の一つでしかないのです。

 会社は事業継続のために全体最適を考えて動いています。部分最適では、非効率、非合理的だからです。一応、社員のことも考えてリストラ計画を立てますが、その中身は、必要な部署に必要な人を配置するという「全体最適化」であることを忘れてはいけません。

 そして残念ながら、その計画から漏れてしまった人は、別の部署や別の会社に異動になってしまいます。会社自体がサバイブするために、変化を繰り返しているのです。

経団連もトヨタも諦めた「終身雇用」

 また先日、追い打ちをかけるように経団連会長のコメントや、日本を代表する大企業トヨタの社長までが終身雇用の崩壊を告げたのは記憶に新しいのではないでしょうか。この会見で明確になったのは、大企業と言えども、会社はもう社員全員を守れない、自分の身は自分で守れということです。

 これまで「護送船団方式」で守られていた金融業界をはじめ、いわゆる一流企業の大手の社員の方は「とんでもない話だ」と思うかもしれませんが、残念ながらこの時代の流れの中では必然の出来事だと言えます。

 これらのコメントは、まさに全体最適のためです。マクロ的な視点から、将来の日本の人口動態を見ても、人口減少、GDP低下、マーケット縮小は「すでに起こった未来」なのです。

 

図:「我が国の人口の推移」(総務省 ホームページから抜粋)[*1]
図:「我が国の人口の推移」(総務省 ホームページから抜粋)[*1]

 

この日本でサバイブできる人、できない人

 一方、時代や社会が変わっても、落ち着いている人もいます。彼らは、サバイバルレースに勝ち残っているどころか、ますます収入をアップさせ、活躍の場を広げています。グローバルに、クリエイティブな仕事をし、社会の持つ問題解決に奔走しているのです。

図:所得金額階級別にみた世帯数の相対度数分布(厚生労働省 ホームページから抜粋)[*2]
図:所得金額階級別にみた世帯数の相対度数分布(厚生労働省 ホームページから抜粋)[*2]

 では、生き残る人とそうでない人にはいったいどんな違いがあるのでしょうか?

人間は環境(コンフォートゾーン)に慣れてしまう

 サバイブできる人とできない人の違いの中で最大の要因は、「危機感を持っているかどうか」です。語弊を恐れずに申し上げれば、「新卒で銀行に入れて良かった」や「大企業に入れて良かった」といった話は、現在の日本では過去の話です。

 これは、企業規模に関係なく、「ぬるま湯」につかっている人たちは、サバイバル能力が無いということです。人は誰しも気付かないうちに「コンフォートゾーン」に居続けようとします。しかし今高い収入を得ている人は現状に満足せず、自らコンフォートゾーンを抜け出し、次のステージを目指して努力しています。そしてふと振り返ったときに「そんなところでぬくぬくしなくて良かった」と言えるのです。

 彼らは「コンフォートゾーン」に居続ける恐怖を知っているのです。

今、目の前にある仕事から立てる「問い」

 では「コンフォートゾーン」を抜け出すためにはどうすればいいのでしょうか?それにはこの問いを立てるところから始めてみましょう。

 今のあなたの仕事は、5年後に残っていると思いますか?
 逆に、今のあなたの仕事は、5年前に存在しましたか?

 いかがでしょうか。この問いに答えられるでしょうか?
「10年ひと昔」と言いますが、今では「5年ひと昔」といっても過言ではありません。

 この歳月の流れが速く感じるようになったのも、ITの進化がもたらしたものです。また同様に、ITの進化は、時代の流れを早くしただけではなく、格差の大きさも助長してきました。格差が大きくなると危険なのは、「一生涯、格差を逆転できなくなる」ことです。教育の格差が収入の格差を生み、やがては貧困へと繋がります。

図:貧困率の推移
図:貧困率の推移

 このように5年先が見えてきたときにもう一度自分に問いを投げかけてみて下さい。

 ・今目の前にある仕事は必要ですか?
 ・今の仕事はあなたでなければ出来ない仕事ですか?
 ・あなたが会社に求められている本質は何ですか?

 まさにここに答えがあります。これこそがリストラにあわずにサバイブする方法なのです。参考までにお伝えすると、英語が話せるようになる、簿記の試験に合格する、これは答えではありません。最も大切なのは、これらのスキルをどうやって仕事に活かせるか?ということです。

 例えば、楽天では公用語が英語、さらに言語は言語でもプログラミング言語も使いこなせなければいけないわけです。これは、知識の習得ではなく、「知識」を活用し「知恵」に転換している好例です。このように、知恵を得るために、あなたは何をしなければならないのでしょうか?

変化へのキーワードは「意識の再インストール」

 これまでに延べてきたように、会社組織に属する以上、社内のルールや時流からは逃れられません。それらを理解して入社している以上は、(違法でない限り)「郷に入っては郷に従え」ということもあるでしょう。

 しかし、ルールは常に変化しているというのも事実です。もしまた社内ルールが変わってしまったときに、ルールだけに合わせてしまうとサバイブすることができません。

 ここで大切なのは「意識改革」です。AI に負けない、会社にとって必要な人材になるためには、意識改革しかないのです。

 ではどのように意識改革をすればいいのでしょうか?

意識改革の方法

 具体的に、意識を改革する方法をお伝えしたいと思います。人間が優れているのは、記憶を掻き消したり、入れ直すことが出来る部分ですからこれを有効に活用します。

 方法としては、パソコンの再インストールをイメージしてください。パソコンというのは人間の脳を模して造られています。記憶するところがあり、処理(考える)するところがあり、整理することも出来ます。これにならって人間も新しいことを吸収するときは、パソコンの再インストールをイメージして新しいことにチャレンジすることが意識改革への近道です。過去に拘る必要はありません。一気にバージョンアップしましょう。

 そのために、理想の先生を見つけてください。その先生の言うことを素直に全部聞いてください。そして実行してください。その際に気を付けることは先入観を捨てることです。もう一つ、先生は一人にしてください。これだけで、意識改革は成功します。

「お前はもう死んでいる」と言われないために

 これまで述べてきたように、「AIが人を殺す」社会は、あなたの仕事の喪失、社会的にあなたを抹殺してしまうという意味があります。しかし、実は「ぬるま湯」につかっている人は「お前はもう死んでいる」と言われても気付かないのです。

 自分が「ぬるま湯」に浸かっているのかどうかを把握し、意識改革をすることができれば、AIができない仕事ができるようになります。

 ここでアンケートを取りたいと思います。
「お前はもう死んでいる」から生還の方法を知りたい方は、いいねを押してください。数が多ければ続編でお知らせいたします。

 最後までお付き合いいただきまして誠にありがとうございます。


[注釈]
[*1] 図:「総務省」ホームページから(我が国の人口の推移)
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h28/html/nc111110.html

[*2] 図:「厚生労働省」ホームページから(所得金額階級別にみた世帯数の相対度数分布)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa09/2-2.html

 
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