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源泉徴収税額はどのように決まる?意外と知らない所得税と計算方法

2019.08.29

会社の人事や経理をするうえで、従業員の給与の「源泉徴収」について理解しておくことは大切です。また、人事や経理を担当していなくても、サラリーマンとして会社から給与をもらう立場の人も源泉徴収について知っておいて損はありません。そこでこの記事では、源泉徴収税額がどのように決まるのか、源泉徴収の流れや計算方法とともに紹介します。

源泉徴収税額とは

源泉徴収税額とは、企業や個人事業主が従業員に給与等を支払う際に、予め差し引く所得税と復興特別所得税のことです。毎月の給与から少しずつ所得税を差し引き、従業員に代わって雇用元が税務署に納め、1年の最後に年末調整をすることで所得税の過不足に関する帳尻を合わせます。そのため、給与のほかに一定の収入を得ていたり、医療費控除を申告したり、特別な事情がない限り従業員は確定申告を行う必要がありません。会社がこれらの計算や税負担を担うことで、社員がそれぞれに申告する手間は少なくなり、かつ国としても作業量を減らすことが出来ています。

源泉徴収税額の計算方法

源泉徴収税額の計算は、国税庁HPから閲覧できる「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」を用いて計算するのが一般的です。この表は随時更新されるので、常に最新のものを使うようにすることが大切です。特に、年ごとに更新されるため、前年の税額表を算定に使わないよう注意しましょう。源泉徴収税額には、所得税のほかに本来の所得税額に2.1%を乗じた「復興特別所得税」が加算されます。なお、源泉徴収税額ならびに具体的な数値を確かめたい場合には、税額表を確認しながら手計算で算出するほか、自動計算サイトなどを使って計算することもできます。

源泉徴収の流れ

源泉徴収をする際は、どのような手順で進められるのでしょうか。具体的な流れについて詳しく紹介します。

1.扶養親族の数の確認

まず最初の段階として、扶養親族の数を確認する必要があります。扶養親族を確認するには、従業員から提出されている「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を準備します。申告書内に扶養親族の数が記載されているので確認します。そして源泉徴収税額を確認するために「源泉徴収税額表」を準備します。なお、給与所得者の扶養控除額(異動)申告書は、毎年更新が必要な書類です。企業や個人事業主は、その年の最初の給与を支払う前まで、当該年の申告書の提出を受けなければなりません。前年の年末調整に係る書類の提出を従業員に依頼するタイミングで、翌年分の扶養控除等(異動)申告書の提出も求めると忘れにくいでしょう。

2.社会保険料などを差し引いて所得税額を算出

次の段階として、社会保険料などを差し引いた課税対象額を算出する必要があります。源泉徴収額を計算するために、まず給与から社会保険料などを差し引いた給与を算出します。次に「源泉徴収税額表」を開きます。税額表は、一定の給与額ごとに区切られていて、扶養親族の人数による所得税額がそれぞれ記載されています。その中から該当する給与と扶養親族の人数の欄を見つけ、最終的な源泉所得税額を、決定します。なお、源泉徴収税額表の所得税は、「月額」と「日額」に分かれています。月額はサラリーマンなど、月額で給与の支払いを受けている人、日額は日払いを受けている人などが対象になります。それぞれ所得税の額が異なるため、正しい欄で税額を確認するよう、注意が必要です。

3.所得税を源泉徴収した後の給与額を決定

源泉徴収税額を確定した後のステップとして、給与額を決定します。源泉徴収税額と社会保険料分を差し引いた分が給与となります。労使協定による控除額(社宅の家賃や財形貯蓄など)がある場合はこれも忘れず差し引きます。

4.徴収した所得税を税務署に納付

最後のステップとして税務署への納付を行います。従業員から徴収した所得税は、翌月10日までに税務署に納付しなければなりません。所得税の納付は「源泉所得税の所得税徴収高計算書(納付書)」を使用して行います。管轄の税務署のほか、金融機関などにも備え付けられています。事前に準備しておきましょう。納付書には、源泉徴収の対象となる従業員の人数や給与の総額、源泉徴収税額などを書く欄があるので、全て間違いなく記入します。

その後記入済みの納付書と現金を揃えて、管轄の税務署か金融機関窓口で納付します。金融機関によっては金融機関用の納付用紙を記載しなければならないので、窓口で確認しましょう。毎月10日の納付期限に遅れると、不納付加算税というペナルティ的な税金がプラスでかかるので注意が必要です。なお、給与の支給人員が常に10人未満であることなど、一定の条件を満たすと、半年に一度の納付で良い特例を受けることができます。ただし、特例を受けるためには申請書類の提出が必要です。

源泉徴収と年末調整の違いは?

源泉徴収と混同されやすい言葉に「年末調整」があります。2つの言葉は語感が似ているものの、その内容は大きく異なります。どちらも税金に関わる言葉ですが、源泉徴収は毎月の給与から天引きされる暫定の所得税の徴収、年末調整は1年間を総合して所得税額を確定することを指します。年末調整によって、所得税の過納が判明すれば正しい所得税との差額が還付されます。反対に納めた所得税が不足していると、更に多く税金を支払うことになります。

 サラリーマンは毎月源泉徴収され、年末調整が行われることで所得税を納付することになります。しかし、自営業などは雇用されておらず、源泉徴収や年末調整自体がないため、1年間の所得について確定申告を行う必要性が生じます。なお、事業主の確定申告には、白色申告や青色申告といった、事業主向けの申告があり、要件を満たせば一定額の控除を受けることが可能です。

給与以外の源泉徴収について

毎月の給与に関しては説明しましたが、それ以外の所得の源泉徴収についても紹介します。従業員に支払われる金額には、給与以外のものもあるため、それぞれ適切な源泉徴収を行う必要があります。

賞与の源泉徴収

賞与(ボーナス)についての源泉徴収は、場合によって計算方法が異なるため注意が必要です。通常のケースは、前月の賞与から社会保険料などを差し引き、「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」に当てはめて税率を求めます。賞与の金額が前月給与の10倍を超える場合は、賞与から社会保険料を控除した額の1/6と、前月の給与から社会保険料を控除した額を足して、「月額表」にあてはめて税額を確定します。その後、前月の給与に対する源泉徴収税額を引き、それに6をかけたものが賞与から源泉徴収する金額となります。

なお、前月給与の支払いがなかった場合は、賞与から社会保険料を控除した額の1/6を「月額表」にあてはめて税額を確定し、その額に6をかけたものが賞与から源泉徴収する金額となります。

退職金の源泉徴収

退職金に関する源泉徴収も給与所得とは算出の仕方が異なります。退職金は、一時金であれば退職所得、年金形式であれば雑所得となり、通常の所得に比べて控除などの恩恵があるため税負担は少なくて済むことが特徴です。控除を受けるためには会社側に「退職金受給に関する申告書」を提出する必要があり、これを出さないと一律で20%の所得税が課されます。ただし、確定申告により還付や追加納税ができます。確定申告の手間を軽減するには、退職時に書類の提出を忘れず行うことが大切です。