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企業がメンター制度を取り入れる目的は?メリット・デメリットまで徹底解説

2019.08.29

若手社員が離職するのを防ぎ、社内の人間関係を良くしていくため、「メンター制度」を取り入れる企業が増えてきました。メンター制度をしっかりと導入していくためには、意味や特徴・メリット・デメリットを理解しているといいでしょう。これから、企業が取り入れているといいメンター制度についてご説明しますので、参考にしてみてください。

1.メンター制度の概要と目的

メンター制度とは、英語の「Mentor(メントール)」からきています。直訳では「助言者」となり、上の人が指導や相談をするという意味です。ただし、メンター制度は直属上司以外が相談を受けるなどのルールがあります。また、導入する上で目的や概要も知っているといいでしょう。これから、メンター制度の意味をご説明します。

1-1.メンター制度の概要

メンター制度とは、配属部署の上司以外の社員が指導や相談を受けて、新入社員などをサポートする制度です。経験のある先輩社員が相談役を担っています。メンターは助言者という意味ですが、配属されている部署の直属上司が行うとは限りません。直属の上司だと、話しにくいこともあるとされ、他の部署にいる人が相談を受けているのです。メンター制度の相談では、業務内容やノウハウと共に、職場での人間関係や個人的な悩みも聞いています。メンター制度が導入されるのは、心身を病む人や退職する人が増えたからです。特に新入社員が孤立してしまう場合があり、それを防ぐために多くの企業が導入しています。

相談や指導をする人を「メンター」と呼び、指導を受ける人を「メンティー」といいます。メンターは定期的に相談を受ける場を設け、後輩が自発的に成長できるサポートをすることが特徴です。メンター制度では、基本的に1対1で相談や指導を行っています。1対1の場にすることで、相談がしやすくなるからです。ただし、相談役の上司は信頼されている必要があり、高圧的な態度で接してはいけません。悩みを抱えている後輩が安心して相談できる環境を作らないと、意味がなくなってしまいます。

1-2.メンター制度の目的

メンター制度の目的は、離職率を下げることです。若手社員が入社しても、すぐに退職や休職をする人が増えてしまい、それを解決することが課題になりました。若手社員が離職しやすいのは、「仕事の悩みがつらい」「相談できる人がいない」などが原因ということが分かり、経験のある先輩上司が話を聞ける環境を設けたのです。また、年功序列制度を採用していない企業では、「後輩に抜かれてしまう」「嫉妬してしまう」などの悩みが多く、同僚や後輩社員にライバル心や競争心を持ってしまう傾向があります。このような状態になると、結果的に社員が孤立して、離職率も上がってしまうのです。

メンター制度は相談相手を確保して、社員の孤立を防ぐことが目的です。また、社内の繋がりを重要視していて、精神的不安を解決することで、社内間トラブルも防いでいます。多くの社員が精神的に充実した状態で仕事ができれば、それぞれの業務効率も上がり、最終的に業績も向上するでしょう。社内でのコミュニケーションを大切にするためにも、メンター制度を導入しているのです。メンター制度では、個人的な相談など多岐に渡って話すため、相談役の上司は後輩のことを良く知ることができます。これは、上司が昇進した時に有効で、多くの後輩の気持ちを理解しやすくなる方法です。相談を受けている人は社内でも評価され、キャリアアップの可能性もあります。

2.メンター制度と類似の人材育成

メンター制度と似ているものとして、「企業の人材育成」があります。具体的には「OJT」「コーチング」などです。この段落では、人材育成の詳細をご紹介します。

2-1.OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)

OJTとは「オン・ザ・ジョブ・トレーニング」のことです。第一次世界大戦中にアメリカでできました。後輩に技能を教える際、できるだけスピーディーに教えられる技能を身に付けるために、訓練をする方法です。企業でのOJTは、職場の先輩や上司が後輩へ、仕事の知識や技術を上手に習得させることをいいます。意図的かつ計画的に適した指導をするのです。つまり、OJTは効率良く業務内容を教えることに特化していると言っていいでしょう。一方、メンター制度は業務内容を教えるだけではありません。後輩の相談や悩みに答える目的もあるため、効率ではなく、精神的な状態を確認しながら行います。

2-2.コーチング

コーチングとは、ビジネスシーンで起きた問題の解決をするために指導することです。自発的なやる気を引き出すのに効果があり、個人目標を達成したい時に用いています。組織の人材育成をする場合、コーチングだけでなくメンタリングも重要です。どちらも個人指導になりますが、先輩や後輩を支える役割を担っています。メンタリングは仕事以外の相談や悩みも含まれていて、コーチングよりもサポート範囲が広いことが特徴です。

3.メンター制度導入のメリットとデメリット

メンター制度を取り入れることで、どのようなメリットがあるのでしょうか。具体的には、「コミュニケーションの活性化」が期待できます。ただし、「相談役の業務負担」などのデメリットも考慮することが大切です。これから、メンター制度のメリットとデメリットを詳しくご紹介します。

3-1.メリット

メンター制度を導入するメリットは、社内でのコミュニケーションを活発化できることです。悩みを抱えていた後輩は、先輩上司と会話や相談をしていくことで、繋がりが深くなります。つまり、メンター制度でメンタリングチェーンができるのです。また、後輩であるメンティーの成長だけでなく、相談を受けるメンター自身の成長にもなります。メンターとしての自覚が出ると、仕事にも意欲が出てくる場合が多いです。よって、お互いが成長し合えるため、社内での関係強化や業績向上に役立つでしょう。

後輩は、社内で悩みを解決していくことで、働きやすい環境を作れます。今までは精神的に孤立していても、メンターと関係を強化することで、居場所を見つけられます。つまり、職場での居心地が良くなり、離職率が低くなるのです。部署以外で関係性が強まると、業務における情報交換の場ができるのもメリットです。

3-2.デメリット

メンター制度はメンティーの精神的な悩みを解決しやすくなりますが、メンターの仕事が増えてしまうのはデメリットです。メンターは業務をしていくうえでも、重要なポジションになっています。その際、自分がいる部署の後輩にも目をかけないといけないため、多くの負担があるのです。日々の業務内容と並行して後輩の相談もしていくので、時間や手間がかかるでしょう。会社によっては、業務時間以外の休憩時間で相談をしている場合があります。十分に休憩時間がとれないと、メンターとメンティーそれぞれがストレスを感じるので、注意が必要です。

メンター制度では、基本的に他の部署に配属されている上司がメンターになります。しかし、企業の規模や部署配置によっては、直属の上司がメンターになる場合もあるでしょう。一緒に業務をする先輩がメンターになると、相談しにくくなるのがデメリットです。また、メンターによって、サポート度合いも異なります。よって、メンター制度を導入する時は、メンターの研修をして適正にサポートできる体制をとることが大切です。さらに、メンターの貢献度を評価して、適性の確認もするといいでしょう。