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総務担当者必見! 「攻めの総務」に必要なことと取り組み事例

2019.12.24

 総務の仕事といえば、「縁の下の力持ち」といったサポート的な業務をイメージする人が多いのではいだろうか。しかし近年では、総務に求められる役割も変わりつつあるようだ。これまでの「守り」ではなく、「攻めの総務」「攻めのバックオフィス」として戦略的に社内の業務改善に取り組むという考え方が広がっている。

 実際に、総務担当者として「攻め」に転じ、「戦略総務」を行うためにはどのような取り組みをするべきなのだろうか。今回は、「攻めの総務」が求められる理由や必要なこと、企業における具体的な取り組み事例を見ていく。

目次

●攻めの総務が求められる理由
●攻めの総務になるために必要なこと3つ
●攻めの総務を目指した取り組み事例

攻めの総務が求められる理由

 これまで総務に求められていた役割は、管理部門としての部署間の調整役や、従業員が安心して業務に取り組める環境づくりといったサポート業務や日々の細かなルーティンワークが主だった。なぜ今、「攻めの総務」が求められているのだろうか。ここでは、その理由について見ていこう。

経営におけるスピードの変化
 企業間競争などが激化している中、経営にもスピードが求められている。変化やスピードに適応し、生産性や企業価値の向上、競争力の強化を図るためには、総務が企業変革の中心部署となり動くことが求めらる。そのためには、従来の管理型業務ではなく経営視点での戦略的業務が必要になるだろう。

労働力の減少
 深刻な人材不足が叫ばれる中、優れた人材を確保し雇用を安定させることは総務の重要な役割だ。そのためには、従業員エンゲージメントの向上を図ることもカギとなる。働きやすい環境整備に留まらず、ダイバーシティや福利厚生など、近年総務が取り組むべきことは多く、積極的に施策を講じる姿勢が求められる。

ワークスタイルの多様化
 働き方改革が進み、企業にもワークスタイルの変革が求められるようになったことも理由の一つと言える。時短勤務や在宅勤務など、さまざまなワークスタイルに対応し、社員が快適に働ける職場環境を実現させることも総務の大切な役目となる。これまでの型にはまった働き方にとらわれず、柔軟対応を率先して行う意識を持っていたい。

攻めの総務になるために必要な3つのこと

 会社を飛躍へと導く総務。一段階レベルアップを図り「攻めの総務」になるためには、どのようなスキルが必要なのだろうか。ここでは、攻めの総務になるために必要なことを紹介する。

①状況を正確に把握し管理する
 総務には、四大経営資源と言われる「人」「モノ」「カネ」「情報」すべてを把握し管理する役割がある。社員の残業状況などを把握し、心身の健康を保つことも重要な仕事だ。また、会社の備品などを新たに購入する場合は、「何を実現したいのか」「何のために必要なのか」といった使用目的や用途を明確にする必要がある。そのためには、会社の状況を正確に把握し、社員の立場に立ってイメージする力が求められるだろう。その他にも顧客情報や財務、労務といった多種多様な情報は正確かつ効率的に管理する仕組みを積極的に考えたい。

②迅速な問題解決力
 社内で何か問題が起こったとき、スピーディーに情報をキャッチして調査し、それに対する的確な解決策を導き出すことも必要だ。内容によっては、コンプライアンス違反やリスクマネジメントなど、会社の危機に直結する可能性もある。内部では解決しきれないケースもあるため、外部の専門家とのネットワークを構築しておくことも大切だ。

 また、「気付く力」により一層磨きをかけ、迅速な対応をこなしていく中で、総務としての専門性を身に付けることができるだろう。専門性を高めることで社内でも一目置かれる存在となる。

③信頼関係の構築とコミュニケーションの活性化を図る
 総務は、さまざまな部署と連携して仕事をすることが多い。スピーディにわかりやすく報告、連絡、相談を行うことが重要だ。これを積み重ねることにより、信頼関係が構築でき総務として高い評価を得ることにもつながるだろう。

 また、自らが社内コミュニケーションを活性化させる仕掛け人となり、目的に応じたイベントの企画も積極的に行いたい。社員に働きやすい職場だと感じてもらうためには、ムードメーカーとして活き活きと働く姿を見せることも効果的と言えるだろう。

攻めの総務を目指した取り組み事例

 「攻めの総務」になるためには、どのような取り組みが効果的なのだろうか。ここでは、実際に企業が行っている具体的な取り組み事例を紹介する。

事例①「ランチツケ払い」制度の導入
 これまで行っていたコミュニケーションの活性化のためのランチ補助制度に、ツケ払いを可能にした新たな制度を導入した企業がある。これにより、社員の立て替え精算の負担がなくなり、経理担当者の業務削減も実現した。さらに、会計から社内処理までをより効率的に行うため、アプリの活用も開始したという。その結果、請求書のデータ管理が簡略化でき、これまで多くの時間を割いていた処理作業が僅か10分で済むようになった。業務効率化を目指した攻めの姿勢が伺える取り組みだ。

事例②「コーポレートルールブック」の作成
 就業規則や賃金規定、社内ルールを一元管理するために「コーポレートルールブック」の作成を行った企業もある。それまでは、ルールのテキスト化は社内で徹底していたものの、使うツールや様式はさまざまで、新入社員が入社した際や部署移動などがあった場合、業務の引継ぎがスムーズにいかないことが課題となっていた。これを一つにまとめ管理することで、全社員が簡単に社内ルールのキャッチアップができるようになったという。社内ルールの浸透と共有に効果的な取り組みと言えるだろう。

まとめ

 近年の労働人口の減少による人材不足や企業競争力の強化、ワークスタイルの多様化など、企業が成長し発展していくためには、全ての部署に新たな変革が必要だ。その中でも、利益に直結しないノンコア業務と言われていた総務自らが変革を起こすことは、企業の継続的な発展にもつながると言えるのではないだろうか。そのためには、これまで当たり前とされていたことに新たな風を吹き込み、総務としてのレベルアップを図ることも重要だ。会社を飛躍させる「攻めの総務」を目指してみてはどうだろうか。