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人事総務担当者必見!時差出勤のメリットと導入時に注意すべきこと

2020.01.07

 通勤時間をずらすことで交通混雑を緩和できるとして、大企業などを中心に取り組みが進んでいる「時差出勤」。2020年夏に開催を控えた東京オリンピックによる交通機関への影響を懸念し、その対策の一つとして今後導入したいと検討している企業もあるのではないだろうか。

 時差出勤を導入する際、人事総務担当者としては、企業におけるメリットを理解しスムーズな運用をすることが求められる。今回は、時差出勤が注目されている理由や導入することで得られるメリット、導入時に注意すべきポイントを見ていく。

目次

●時差出勤とは
●時差出勤を導入する3つのメリット
●時差出勤を導入する際に注意すべきこと3つ

時差出勤とは

 東京都が行っている「時差Biz」においても、新しいワークスタイルを実現する取り組みとして、時差出勤を推奨する動きが広がっている。実際に、時差出勤とはどのようなワークスタイルなのだろうか。ここでは、時差出勤が注目されている理由やフレックスタイムとの違いについて見ていこう。

時差出勤制度とは
 時差出勤とは、従業員が勤務時間を自由に選択できる制度だ。導入方法にはいくつかあるが、一般的には「8時~17時」「10時~19時」など、企業が定めるいくつかの始業および終業時間の中から、社員自身が自分の生活スタイルに合わせて選ぶことができる。企業が定める1日の実労働時間を守る範囲で出退勤時間を選択するため、基本的には、時差出勤を導入しても1日の労働時間や月の総勤務時間に変わりはないだろう。 

時差出勤が注目される理由
 時差出勤が注目されている理由の一つとして、2020年夏に実施される東京オリンピック、パラリンピックの影響が挙げられる。大会時に想定される交通混雑を回避する施策としても推奨されており、2019年夏には、都庁や首都圏の企業においても大規模なテスト導入と検証が行われた。また、導入の際に業種や職種が限定されやすいテレワークと比べ、さまざまな企業で取り入れやすいという面からも注目が集まっていると言えそうだ。

フレックスタイムとの違い
 フレックスタイムは「年」「月」「週」単位で勤務時間が定められている。コアタイムやフレキシブルタイムなど、一定のルールを設ける企業もあるが、定められた勤務時間を守ればスケジュールの組み方は自由だ。出退勤時間を社員にゆだねるため、より自由で柔軟な働き方を実現することを目的とした制度と言えるだろう。

 一方、時差出勤は1日の労働時間を定めるのはあくまで企業であり、社員はその範囲内で出退勤時間を選択することになる。交通混雑を回避するためにつくられた制度であり、フレックスタイムとは目的が異なる点も踏まえておきたい。

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人事総務担当者必見 東京オリンピック・パラリンピックが仕事に与える影響と企業として取り組むべきこと

時差出勤を導入する3つのメリット

 時差出勤を導入することによって、企業や社員にとってどのような効果があるのだろうか。ここでは、期待できるメリットを見ていく。

メリット①通勤時のストレス軽減
 朝から満員電車に乗って通勤することで疲労を感じる社員もいるのではないだろうか。時差出勤を導入することで、社員はラッシュ時を避けて通勤することが可能となり、ストレスの軽減にもつながる。毎朝のストレスから解放されることで日中の業務に注力しやすくなることも期待できそうだ。会社全体で見れば、社員ひとり一人のストレス軽減によって、少なからず生産性がアップするケースも考えられるだろう。

メリット②時間の有効活用
 早朝に出勤し仕事を夕方の早い時間に終了させることで、時間が有効的に使える社員もいるだろう。その時間を、資格取得や自己啓発の時間に充てることも可能だ。社員がスキルアップすることで、それを仕事に活かせる場合もある。本人だけでなく企業にとっても有益な時間と言えそうだ。

メリット③ライフワークバランスの向上
 時差出勤が可能になると、社員自身のライフスタイルに勤務時間を合わせることができる。育児や介護などの都合で短時間勤務を選択するしかなかった社員がいた場合、始業と終業の時間調整が可能になることで長時間勤務が可能となるケースもあるだろう。送迎や通院など育児や介護との両立がしやすくなることで、ライフワークバランスの向上も期待できそうだ。

時差出勤を導入する際に注意すべきこと3つ

 時差出勤を社内制度として導入する際には、社員が混乱しないためにも、就業規則に選択可能なすべての「始業時刻」「終業時刻」を記載するなど、事前の準備が欠かせない。また、トラブルにつながらないよう運用することも重要だ。ここでは、時差出勤の導入において注意すべきポイントを紹介する。

①各部署の業務内容から対象者を検討する
 時差出勤を導入する企業によっては、全社員を時差出勤の対象にできないケースも考えられる。「一定の時間帯に必ず多忙となることが予想される部署」「来客、電話対応を必要とする部署」「顧客の営業時間と社員の勤務時間にずれが生じる」など、自社の各部署における業務内容をしっかりと理解し、導入方法とその対象者を検討することが重要だ。時差出勤に適さない部署や社員がいる場合、交代制のシフトを指定するなど不公平感が生まれないよう配慮したい。

②社員の労働時間を正確に管理する
 時差出勤を導入すると社員ごとに始業時刻が異なるため、労働時間は対象の社員一人ひとり管理することが必要になる。深夜労働や実労働時間の把握、残業代の計算など、正確に勤怠を管理できる仕組みも考えておくと良いだろう。早朝出勤など、時差出勤に慣れないうちは、社員が生活リズムを崩してしまうケースも考えられるため、健康や体調への配慮も忘れずにしよう。

③コミュニケーション不足への対策を行う
 時差出勤によって、部署内や他部署とのミーティングなどに出席できないケースも考えられる。この場合、コミュニケーション不足が発生する可能性があることも念頭に置き、業務上不都合が生じないよう対策をとることも必要だ。時差出勤対象者だけでなく、他の社員でも対応できるように業務を平準化、マニュアル化するなどの対策も効果的だろう。

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まとめ

 時差出勤を導入することで、社員が感じる通勤の負担やストレスが軽減されるだけでなく、企業においても生産性の向上などさまざまな効果が期待できそうだ。一方、労働時間の管理がしにくくなる、コミュニケーションが不足するといったリスクが生じる可能性もあるため、十分な対策を考えておく必要もあるだろう。

 また、2020年に開催される東京オリンピックの影響として危惧される交通機関の大混雑を踏まえ、時差出勤を対策の一つとして検討するのも良いかもしれない。自社に適した時差出勤のスタイルを検討し、スムーズな導入を目指してみてはどうだろうか。

(参考:東京オリンピック期間中の働き方はどうするの?混雑への働き方対応調査
(参考:人事総務担当者必見 東京オリンピック・パラリンピックが仕事に与える影響と企業として取り組むべきこと

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