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ストレスチェックが義務化?企業がやるべきことを徹底解説!

2020.04.03

 2015年から義務化されたストレスチェック、実施の対象となった企業では「どうやるの?」、「どういう仕組みなの?」といった疑問があるのではないだろうか?この記事では皆様のそのようなお悩みを徹底解説する。従業員のため、良い労働環境を作るためにストレスチェックはしっかりと行っておきたい検査だ。できればシステム化も視野に入れておこう。

ストレスチェックとは

 ストレスチェックは、企業の生産性を挙げたいなら必ず導入したい工程だ。労働者に選択解答式の簡単な質問に答えてもらい、それを集計分析して労働者自身がどのようなストレスを抱えているのかを調べるのがストレスチェックという検査である。以前は任意で行うものだったが、2015年12月に「労働衛生安全法」が改正され、労働者に対してストレスチェックを行うのは、企業の義務となった。

企業がストレスチェックをする目的

企業がストレスチェックをする目的

 ストレスチェックにはどのような目的があるのだろうか。労働者自身にとっては、自分のストレスの原因を探る事ができるようになるので、おのずと改善すべき点を探せるだろう。

 では、企業にとってメリットはあるのだろうか。

 もちろん、企業にとっても従業員のストレスに対する気づきは重要な目的を持ってくる。労働者自身のストレスは、意外と自身で気が付いていない事が多い。よって、企業として本人のストレスに気づきを与えてあげるきっかけとなるのである。

 また、職場の環境改善にも大いに役に立つだろう。もし、ストレスチェックで高いストレス状態にある従業員を見つけたのであれば、心身に異常をきたす前に医師に面接をし、助言をもらったり、会社としても、職場環境を改善するなどの対策がとれるだろう。

 また、鬱などのメンタルヘルス不調を未然に防ぐ事も可能となる。

ストレスチェックの対象者

 まず、ストレスチェックは会社に所属する人間すべてが対象ではない、という事を知っておこう。では、企業がストレスチェックを行う場合、対象となるのは誰なのであろうか。

 厚生労働省は「常時使用する労働者」と定めている。「常時使用する労働者」とは、契約期間が1年以上、または週の労働時間が通常労働者の3/4以上ある労働者と定義されている。ここで注意が必要になってくるのは、ストレスチェックの対象者はあくまでも「使用する労働者」という事だ。

 つまり、役人や社長といった人間は、会社に所属しているがストレスチェックの対象にはならないのである。これは、役員や社長は「使用者」であって「労働者」ではないからだ。

 また、派遣会社から社員を派遣してもらっている会社なら、派遣社員はストレスチェックの対象となるのか気になるところだ。実は、派遣会社から派遣されている社員に対しては、会社がストレスチェックを行う義務はないのである。これは、派遣社員のストレスチェックを行わなければならないのは「派遣元の会社」となるからだ。

 ただし、派遣先の会社でストレスチェックを行うかどうかについて、衛生委員会等での審議を踏まえて会社としてルール化することは可能だ。

企業はいつストレスチェックするのか

 企業がストレスチェックを行うのは、従業員のためにも企業のためにも必要な事だ。そこで、50人以上の労働者がいる会社には、1年に1回実施するよう義務が課せられている。

 では、ストレスチェックはいつ行うのがよいのだろうか。

 実は、ストレスチェックは特定の日に行わなければならないという決まりはない。会社側でストレスチェックを行うタイミングはコントロールできるのだ。ただし、もしストレスチェックを実施しなかった場合は、最大で50万円の罰金が課される。

 これは、ストレスチェックを行ったけれど、労基署へ報告を怠った場合も同様だ。報告を怠っただけだとしても、ストレスチェックは行われなかったと見られてしまうのである。よって、ストレスチェックを1年に1度必ず行うのはもちろん、行った後は速やかに労働基準監督署まで報告書を提出したほうがよい。

企業がやるべきこと

企業がやるべきこと

 ストレスチェックを行うにあたり、企業としてやるべきことは幾つかある。ストレスチェックの実施はもちろんだが、面接指導が必要と評価された、高ストレス状態の労働者から申し出があった時は、医師による面接指導が義務付けられているのである。また、医師の意見を考慮したうえで、就業上の措置も必要となってくるだろう。

 また、一定以上の集団ごとにストレス状況を分析し、職場環境の改善を試みるなどの集団分析も必要だ。また、高ストレス状態の労働者から、医師による面接指導の申し出があったとしても、それを理由に労働者を不当に扱う事は法律上禁止されている。労働者に対する不利益取扱いの防止も、企業として徹底しなければならない。

 そして、実施者と実施事務従事者の選定もしなければならない。また、面接指導をする医師の選定も必要となる。実施者とは医師や保健師、厚生労働大臣が定める研修を受けた看護師や精神保健福祉士のことである。そして、実施事務従事者とは、ストレスチェックの補佐業務を行う人間となる。施事務従事者は社内から選定する必要があり、総務などの役職の人間が行う事となる。

 ちなみに、どの役職にやらせなければならないと決まっている訳ではないが、人事権の無い労働者が担当しなければならないとされている。これは、診断結果の守秘義務が課せられていることと大いに関係がある。

 以上概略を述べたが、次の段落からさらに細かく見ていこう。

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ストレスチェックの実施

 厚生労働省が定める「常時使用する労働者」に対して、ストレスチェックを実施する。ストレスチェックは、調査票を用いて行うのだが、その調査票には「仕事のストレス要因」「心身のストレス反応」「周囲のサポート」の3領域が含まれていることが前提となる。その前提を踏まえたうえで、どのような調査票を使用するかは企業によって選択可能となのだ。

 ただし、どの調査票を使えばよいのかわからないという企業もあるだろう。そのような場合は、「職業性ストレス簡易調査票(57票)」を使用しよう。

 この「職業性ストレス簡易調査票(57票)」は、標準的な調査票となっており、国も使用を進めているものである。ストレスチェックを実施するにあたり、注意しておきたい事がある。それは、実施者から直接本人に通知をするという事。そして、本人の同意なしに診断結果を事業者に提出してはいけないという事だ。

面接指導の実施

 面接指導の実施とは、ストレスチェックの結果で「医師の面接指導が必要」と診断された労働者から依頼があった場合、医師に依頼して面接指導を行う事だ。これは、企業に義務付けられた事となるので必ず行わなければならない。そして面接指導の結果、医師から就業上の措置が必要か否かについて意見を聴き、それを踏まえたうえで、労働時間の短縮などの必要な改善処置を行っていくのである。そして、この面接指導の結果は、事業所にて5年間保存しなけらばならない。

集団分析の実施

集団分析の実施

 集団分析とは、部署や課ごとのストレス状況を分析し、その結果を踏まえてそれぞれの職場環境を改善することだ。集団分析は10人以上の単位であれば、労働者の同意は不要となる事も知っておこう。集団分析の利点としては、個人が特定しにくいという点が挙げられる。

 また、職場環境の改善は、必ずしも行わなければならないものではない。しかし、労働者にとって良い職場環境を作る為にも、集団分析の結果を踏まえて改善の努力をするべきだろう。

労働者に対し不利益な扱いの防止

 高いストレス状態にある労働者が、医師との面接指導を申し出たとして、その労働者に対して不当な取り扱いを行う事は法律で禁止されている。また、高ストレスの労働者が、面接指導が必要と評価されたのに申し出なかった、事業者へのストレスチェックの結果の提出に同意しなかった等の理由により、不当な取り扱いを行う事も禁止だ。不当な取り扱いとは、具体的には解雇、雇い止め、退職勧奨、不当な動機・目的による配置転換・職位の変更を行うことである。

ストレスチェックは忘れずに!

 ストレスチェックは企業としての義務だけでなく、労働者にとって働きやすい環境を作る為にも必要なことだ。

 50人以上の労働者がいる会社では、一年に一回必ず行わなければならない。よって、毎年決まった日に実施するなど効率的なシステムの構築も検討するとよいだろう。ストレスチェックは毎年1回必ず実施し、その結果をもとに良い労働環境を作っていこう。

<ストレスチェックサービス資料>
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