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人生100年時代 健康にはたらくためにVol.1 GW明けに要注意!5月病を発症する原因と対策

2020.04.28

 就職や職場の配置転換などで環境の変化が大きい新年度は、緊張や意気込みで気持ちが張りつめている人も多いだろう。しかし、5月初旬に訪れるGWを境に気持ちが途切れてしまい、「疲れが取れない」「やる気が起きない」「食欲が出ない」などの症状が出た場合は「五月病」のサインかもしれない。

 今回の特集では、人生100年時代といわれる中、長く健やかにはたらくために必要な健康をテーマに、この時期に陥りやすい「五月病」について紹介する。人事・労務担当者として、従業員の健康を守るために理解しておきたい五月病の基本的な知識と対策方法を見ていこう。

目次

●GW明けに注意したい五月病
●五月病にかかりやすい人とは?
●五月病の症状
●五月病の予防方法
●五月病かもしれないと感じたときの対処法
●まとめ

GW明けに注意したい五月病

 5月の連休が終わる頃によく耳にする「五月病」。まずは五月病がどのような病気なのかを確認しておこう。

五月病とは

 新年度から約1カ月が経過するとやってくるGW頃に、なぜか身体の不調を感じたり、気力が湧かなかったりする状態を「五月病」と呼ぶ。最初は「寝つきが悪い」「食欲がない」といった症状から始まり、体調が悪化すると連休が終わってからも欠勤が続くこともある。この時期に体調不良を訴える従業員がいる場合は、五月病を疑って何らかの対策を講じる必要があるだろう。

五月病の原因

 五月病の原因は、主に強いストレスが関係すると言われている。例えば、新年度がスタートし新しい環境での生活が始まったり、新たなプロジェクトを任されたりしたことが気付かぬうちに緊張や疲れとなり、ストレスとして蓄積することもある。このほかにも、転勤や部署移動、生活リズムの乱れなども五月病を引き起こす原因と言われている。

 また、五月病は症状に対する呼び名であり、医学的な病名ではない。五月病の背景には、「うつ病」「不眠症」といった精神疾患や、「適応障害」「パーソナリティ障害」「パニック障害」「発達障害」などの障害が隠れている場合もあるようだ。

五月病にかかりやすい人とは?

五月病にかかりやすい人とは?

 五月病は特定の人だけに起こるものではなく、誰でもその症状が出る可能性がある。より五月病になりやすい傾向を持つ人の特徴を理解し、該当する従業員に対しては特に注意を払って様子を見よう。

大きな目標を達成した人

 企業の大きな売上につながるプロジェクトの遂行や資格取得のための試験など、難関や大きな山場を乗り越えた人は「燃え尽き症候群」の状態に陥ることがある。目標達成を目的にやる気で満ち溢れていた気持ちが、達成したことで気持ちの向け先がなくなってしまい、やる気の低下につながり五月病として現れることもあるようだ。就職試験を乗り越えてきた新入社員や、難関試験に合格した従業員に対しては十分なフォローアップをしていきたい。

責任感が強く完璧主義な人

 真面目・完璧主義などの性格的な特性によって五月病になりやすいタイプの人もいる。これらのタイプの人は責任感が強いため、周囲に相談できずに自身の中で仕事や悩みを抱え込んでしまうこともあるようだ。それが次第にストレスとなり、体調不良などにつながり五月病を発症する場合が考えられる。初期のうちに対処できるよう、部署やチームで業務量を分散するなど、一人に負担がかからない職場環境を構築することも大切だ。

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五月病の症状

 五月病対策では、従業員の不調のサインを見逃さないことが大事になるだろう。実際に五月病の症状にはどのようなものがあるだろうか。身体症状と精神症状に分けて見ていこう。

身体症状

 五月病でよく見られる身体症状として、次のようなものが挙げられる。

・朝起きられない
・なかなか寝つけない
・動悸
・めまい
・食欲不振
・頭痛

 朝起きられないや寝つきが悪いなど、睡眠の乱れは日中の作業効率の低下にもつながる。また動悸やめまい、頭痛などといった身体症状は、外部からは一見分かりにくいだろう。作業効率が落ちていたり、体調不良を理由に遅刻や早退・欠勤が続いたりする従業員に対してはヒアリングなどの時間を設けるのも良い。

精神症状

 五月病の症状として挙げられる精神症状には、以下のようなものがある。

・やる気が起きない
・会社に行きたくない
・イライラする
・不安や焦りを感じる

 これらの症状は自覚症状と呼ばれ、症状を持つ本人は自覚があるものの、周囲からは分かりにくいこともある。「細かいミスが目立つ」「元気がない」など、以前と比べて様子の変化を感じる場合は、必要に応じて本人と面談を行うなどして対応策を考えたい。

五月病を予防する方法

五月病を予防する方法

 五月病を予防するためには、従業員自身が正しい知識を持ち、自分で対策をすることも重要だ。ただ、従業員の健康を守ることは人事や労務担当者の大事な役割の一つとも言えるだろう。ここでは、従業員に対して周知しておきたい五月病対策について見ていこう。

予防法①生活リズムを整えストレスを解消する

 五月病の予防に最も効果的と言われているのは、ストレスを溜めないように心がけることだ。「適度な運動」「趣味の時間を作る」など、ストレス発散の機会を作ることをおすすめしたい。長期連休となるGWは普段と比べて生活リズムが崩れがちだが、起床や就寝時間はある程度決めておくのも良いだろう。GW明けに仕事のリズムへと戻しやすいよう、一定の生活リズムの中で生活することも重要だ。
 
 仕事面では誰かに相談したり、同じ立場の人同士が課題を話し合える場を作ったりするのも有効だ。不安な気持ちや悩みを話せる相手がいるという安心感だけでも、ストレス解消につながるだろう。

予防法②食事に気をつける

 「幸せホルモン」とも言われるセロトニンの分泌がストレスの緩和にも役立つと言われているため、上手く食事に取り入れることで五月病予防も期待できる。セロトニンの分泌を助ける食材には、魚や肉、大豆製品に含まれるトリプトファンや、青魚や鶏肉、バナナ、アボカド、ナッツ等に含まれるビタミンB₆、ご飯やパンといった炭水化物が挙げられる。このほか、食事をよく噛んで食べることや、楽しい雰囲気で会話をしながら食べることで、よりセロトニンが分泌されるため食材だけでなく食べ方にも気を付けたい。

 一方で、五月病予防には逆効果と言われている食べ物もある。特にストレスによる、お酒やカフェイン、甘いものの摂りすぎには注意したい。嗜む程度に留めることが必要だ。

五月病かもしれないと感じたときの対処法

 十分に気を付けていても、完全に五月病を予防することは難しい。そのため、五月病かもしれないという変化が見られた場合は、早めに対処することが大切だ。適切な対処方法は症状の種類によっても変わるため、それぞれの状況に応じた方法や併用を検討しよう。

生活習慣を整える

 症状が比較的軽度の場合は、食事や睡眠リズムなどの生活習慣を見直すことで改善されるケースもあるだろう。朝起きたら陽を浴びることで体内時計がリセットされ、睡眠リズムも整いやすい。また22:00~翌2:00の間は、疲労回復にも役立つと言われている成長ホルモンが分泌されるため、なるべく早寝を心がけたい。

趣味に打ち込む

 予防法でも先述したように、趣味に打ち込むときにはセロトニンという幸せを感じるホルモンが脳内に作られ、ストレス解消に役立つ。一日や一週間のなかで、不安な気持ちを忘れ充実した時間を持つことは、気持ちも前向きにしてくれるだろう。成果は気にせず、楽しむ気持ちが大切だ。

病院に行く

 上記の方法では対処できない場合、精神科や心療内科などの医療機関を受診しよう。診察では、自覚症状のヒアリングやストレス状態のチェックなどのカウンセリングを受け、明らかなうつ症状がある場合は、薬物治療も選択肢の一つとなるだろう。症状が重くなると、その分治療も長引く可能性があるため、不調を感じたら自分で判断せず、早めに専門家に相談することが重要だ。

まとめ

 年度始めの緊張が不調となって身体に現れる「五月病」。大事なイベントを終えたタイミングや新しいことを始めたとき、また責任感が強い人などは、特に注意が必要だ。GW明けは従業員の変化に注意を払い、「もしかしたら」という症状に気付いたときは、早めに声をかけるなどして対応しよう。従業員一人ひとりの健康を守り、活き活きとはたらける職場を構築するためにも、適切な五月病対策を検討してほしい。

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