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今、話題の働き方「テレワーク」特集Vol.8 オンボーディングの進め方とポイント

2020.12.22

 企業における早期離職を解決するための施策として、「オンボーディング」が注目されている。働き方改革やコロナ禍によってテレワーク化が進む昨今、オンラインでのオンボーディングを取り入れたいと考える人事・労務担当者もいるのではないだろうか。

 今回は、オンボーディングの内容やテレワークにおけるオンボーディングの進め方とポイント、実際にオンボーディングを取り入れている企業の取り組みを紹介する。オンボーディングの知識や事例を理解することで、組織づくりや人材育成に役立ててほしい。

目次

●オンボーディングとは
●テレワークでのオンボーディングの進め方
●テレワークでのオンボーディングのポイント
●オンボーディング事例
●まとめ

オンボーディングとは

 「オンボーディング」とは、新たに採用した従業員に対して行う継続的な教育プログラムを指す。ここでは、オンボーディングの目的やメリットを紹介する。

オンボーディングの目的
 「オンボーディング」の主な目的は、新たに入社した従業員の「早期戦力化」と「離職防止」の2つだ。船や飛行機に乗っているという意味の「on-board」から派生した言葉で、新規メンバーが早期に活躍できるよう、企業全体でサポートすることを意味している。

 新入社員を対象とした集団研修との違いは、対象に中途採用者や中堅人材、幹部クラスも含むこと、継続的なプログラムであることだ。オンボーディングを企業全体で行うことによって、新メンバーが能力を最大限に活かしながら早期に業務の流れを身につけることが期待されている。

オンボーディングのメリット
 オンボーディングを取り入れることによって、企業には以下のメリットがあると考えられている。

・新メンバーの即戦力化
・教育期間の短縮
・新メンバーの離職防止
・採用費用の削減
・個人・チームのスキルアップ
・チームの結束力の向上
・エンゲージメントの向上

 オンボーディングは企業全体で新メンバーのサポートを行うため、他の従業員と良好な人間関係を築きやすいとされている。それによりチーム力や企業への帰属意識が高まり、企業全体の業績の向上に繋がる可能性が高い。

テレワークでのオンボーディングの進め方

 働き方改革や新型コロナウィルス感染症の影響により、テレワークでのオンボーディングを検討することもあるだろう。ここではテレワーク体制におけるオンボーディングの進め方を紹介する。

オンボーディングに必要な準備をする
 オンラインでのオンボーディングがスムーズに進められるよう、以下の点について事前に準備を進めておこう。

・研修スケジュールの作成
・書類・資料の作成
・PC・スマートフォンなどの備品の準備
・IT環境の整備
・ICTツールの導入

社内ルールの周知
 実際にオンボーディングが始まったら、まずは業務を行う上で必要な手続きやルールを周知しよう。不明点に応じた社内の問い合わせ先や企業独自のルールなどを学ぶ機会をあらかじめ提供しておくと、新メンバーが安心して次のステップに進みやすいだろう。

企業理解
 次に、企業理念や経営方針を学ぶ機会を設けよう。事前に経営理念や事業内容などが記載された資料を配布しておく他、資料をクラウド上で共有しながら読み込む、オンラインで社長や経営陣が企業の沿革や今後のビジョンを話すなどの時間を設定すると良い。

ツールの使用方法
 オンラインでのやり取りがメインとなるテレワークでは、IT環境の整備やICTツールの導入が欠かせない。ICTツールにはコミュニケーションツールや労務管理ツール、オンライン学習ツールなどがある。ツールごとにセットアップや使用方法についてのマニュアルを作成しておき、研修時に共有できるようにしておくと良いだろう。

業務内容の理解
 オンボーディングが進んできたら、具体的な業務の内容、自社のサービスや製品、クライアントの情報などを説明する。直属の上司や先輩社員がオンラインミーティングで指導する他、あらかじめ撮影しておいた動画を共有する方法がある。また、ミーティングの様子は記録に残しておくことで新メンバーが随時振り返りに利用することができるだろう。

業務の実践
 研修後もテレワーク業務が継続される場合は、オンラインで業務を行う。チャットツールなどでフォローしながら仕事を依頼する、クライアントとのWeb会議に同席し議事録をまとめてもらうなど、実際の業務に関わることが即戦力への近道となるだろう。

テレワークでのオンボーディングのポイント

 他者との物理的な距離が生まれるテレワークでのオンボーディングは、より細やかな配慮が必要となる。ここではテレワークでオンボーディングを実施する際のポイントを紹介する。

メンター制度、ブラザーシスター制度を取り入れる
 テレワークによる不安感を減らすために、メンター制度やブラザーシスター制度を取り入れる方法がある。これらの制度では、新メンバーに対して1人または複数の先輩スタッフがつき、業務やメンタル面のフォローを行う。年齢が近い従業員同士が組むことで、より相談や共感しやすい状況を整えると良いだろう。

コミュニケーションを活性化させる
 入社当初からテレワークが続く新規メンバーにとって、モチベーションを維持しつつ、疎外感を感じずにいられる仕組みも重要だ。そのためには、既存メンバーとの交流機会を意識的作ると良いだろう。例として、以下のような取り組みが効果的だ。

・Web会議で朝礼を行う
・定期的にミーティングや面談を行う
・ツール内に雑談用・相談用のチャットを設ける
・ミーティングの前に雑談時間を設ける
・オンラインランチやコーヒーブレイクの時間を設ける

目標を細かく設定する
 新メンバーの様子や作業ペースを把握しにくいテレワークでは、目標を細かく設定することで、新メンバーの不安感や負担感を軽減できる可能性がある。こまめに進捗状況や目標の達成度を確認したり、業務の終了時に振り返りを行ったりすることで、新メンバーの成長度やオンボーディングの進み具合を詳細に把握することができるだろう。

 

オンボーディング事例

 オンボーディングを取り入れている企業では、新メンバーの即戦力化や定着率の向上のためにさまざまな施策が行われている。ここでは、実際にオンボーディングを行っている企業の具体的な取り組みを紹介する。

役割ごとに複数のメンターをつける
 現場の上司に加え、役割ごとにメンターをつけている企業がある。勤怠管理など些細な質問に対応する「サポート担当」、業務の達成状況を確認する「教育担当」など、役割ごとにメンターをつけることで、上司がサポートしきれない部分を複数人でフォローできるだろう。それにより、新規メンバーは「誰に何を相談すべきか」が明確になり、メンターは負担が分散できるというメリットにもなる。

些細な疑問を相談できる場を設置する
 新メンバーが気軽に相談できる場を、オンライン・オフライン双方で設けている企業もある。オンライン上で相談窓口を開設している他、オフィス内にサービスカウンターを設置して対面でのサポートを行っている。些細な疑問を気軽に相談できるだけでなく問い合わせの手段を選択できることが、新メンバーに安心感を与え、不安を解消することに繋がるだろう。

「横のつながり」を強化する
 ある企業では、メンター同士や同期メンバーなど、横のつながりを意識した交流の機会を意図的に設けている。例として、企業が費用を補助する形で「メンターランチ」や「同期会」を開催するよう促している。コミュニケーションの機会を企業側から提供することで、従業員同士の繋がりを強化し相互理解を深めることができると言えるだろう。

目標とアクションプランを表明する
 自身の目標とアクションプランを表明することで、新メンバーの能動的な姿勢とモチベーションを高めようとしている企業もある。やり方は、入社3ヶ月後の目標とそのためのアクションプランを1ヶ月ごとにシートに記入し、他者とも共有する。入社当時の思いを振り返ったり、他者のシートを見ることでモチベーションを生んだりするきっかけになる取り組みだ。

まとめ

 オンボーディングでは、新規メンバーが早期に活躍できるよう企業が一体となってサポートしていくことが大切だ。実際に顔を合わせることが少ないテレワークでのオンボーディングでは、より細やかなケアやフォローが必要となるだろう。各企業の取り組み事例を参考にしつつ、企業の実態に合わせてより効果的なオンボーディングプランを組み立ててみてはいかがだろうか。

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