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今、話題の働き方「テレワーク」特集Vol.9 在宅勤務手当の支給方法や導入事例を紹介

2020.10.22

 働き方改革や新型コロナウイルス感染症拡大防止対策により企業にテレワークが浸透する一方で、自宅の環境整備費や通信費など、従業員の経済的負担が懸念視されている。従業員の負担の軽減や生産性の向上のために、「在宅勤務手当」を検討する人事・労務担当者もいるのではないだろうか。

 今回は、在宅勤務手当の概要や支給方法について紹介する。各企業における導入事例なども参考にしながら、自社のサポート体制に役立ててほしい。

目次

●在宅勤務手当とは
●在宅勤務手当の支給方法
●在宅勤務手当の導入事例
●まとめ

在宅勤務手当とは

 「在宅勤務手当」とは、在宅勤務を行う従業員に対して企業が支払う手当を指す。ここでは、在宅勤務手当の概要と、導入の背景について説明する。

在宅勤務手当の概要
 従業員が自宅でテレワークを行うためには、業務が行える環境を整えるためにデスクやチェアを確保する他、通信回線の整備が必要となる。また、テレワーク開始後は光熱費や通信費がかかるため、それらの費用を企業が補填する目的で在宅勤務手当が検討・導入されている。

 在宅勤務手当は、テレワークによって支給する必要がなくなった通勤手当や出張費を原資とするケースが多い。そのため、元々の通勤手当を超えない範囲で支給されることが多いようだ。また、通勤手当が削減されながらも業務によって出社する必要性がある場合は、立替精算で交通費を支給するなどの方法がとられている。

在宅勤務手当導入の背景
 在宅勤務手当導入の背景には、「働き方の多様化」と「新型コロナウィルス感染症の影響」の2点が挙げられる。

 まず、働き方改革で働き方の選択肢が広がり在宅勤務者が増えたことが大きい。在宅勤務手当があることは企業の魅力アップや従業員のエンゲージメントの向上・定着に繋がるため、優秀な人材の確保が期待されている。

 また、新型コロナウイルスによる影響でテレワークが促進されると、さまざまなメリットが挙げられる反面、従業員の経済的負担や身体的・精神的課題も浮彫りになった。これらの課題を解消するだけでなく、従業員のモチベーションを向上させ効率・生産性を高めるために、各企業が工夫をこらして在宅勤務手当を支給するようになった。

在宅勤務手当の支給方法

 在宅勤務手当の支給方法には、大きく分けて「現金支給」と「現物支給」がある。ここでは、それぞれの具体例を紹介する。いずれの場合も、非課税対象の「通勤手当」とは異なり課税対象となることに注意しよう。
 
現金支給
 在宅勤務手当を現金支給する場合、継続的に一律で支給するケースと、一時的な環境整備を主目的として上限を設けて支給するケースとがある。金額の相場は、継続して支給する場合は月額3,000円~1万円、臨時手当として支給する場合は1万円~5万円が主流のようだ。具体的な使途目的には以下のようなものがある。

・デスクやチェアなど備品購入費
・Wi-Fiなどインターネット環境の整備費
・電気代などの光熱費、通信費
・オンライン飲み会・ランチ代

また、上記の目的以外に、テレワークでは対応しきれない業務のために出勤しなければならない従業員に対して「緊急出勤手当」を導入している企業もある。

現物支給
 在宅勤務手当として現物を支給する場合は、事前のアンケートをもとに備品を購入する、企業が用意したカタログなどから従業員が備品を選択するなどの方法がある。支給備品として考えられるものを以下に紹介する。業務環境を整えるものや疲労を軽減するものなど、従業員の実態やニーズに合ったものを選ぶと良いだろう。

・パソコンテーブル、チェア
・ノートパソコンスタンド、スマートフォンスタンド
・デスクライト
・ワイヤレスイヤホン、ワイヤレスヘッドホン
・マウステーブル、キーボードスライダー
・プライバシー保護液晶フィルター
・ブルーライトカットメガネ
・チェアクッション
・アームレスト、フットレスト
・コンパクト冷風機・加湿器・空気清浄機
・USB充電器

在宅勤務手当の導入事例

 在宅勤務手当にはさまざまな運用方法があるため、どのように導入・活用したら良いのか悩むこともあるかもしれない。ここでは、各企業が実施する在宅勤務手当をその目的とともに紹介する。

最大7万円の在宅勤務手当を支給(株式会社ブリーチ)
 株式会社ブリーチでは2020年4月に、全従業員を対象として最大7万円(単身者は5万円)の在宅勤務手当の支給を決定した。同社では新型コロナウイルス感染症対策として出張などの禁止やオンライン会議化を推進し、原則在宅勤務としていた。在宅勤務により発生したデスクやチェア・モニターの購入やオンライン設備の構築などの費用負担を考慮した上で決定に至ったようだ。

参考:「【新型コロナ】株式会社ブリーチ 最大7万円の在宅勤務手当を支給」

テレワーク補助を月1.5万円へ増額(株式会社ヌーラボ)
 株式会社ヌーラボでは、元々支給されていたテレワーク補助を月額1万円から1.5万円に増額した。同社ではテレワークの導入にあたり3万円の環境整備のための補助に加え、長時間の在宅勤務で高騰する電気代やネットワーク環境維持のための費用として月1万円の継続的な支給を2020年2月から行っていた。その後約半年間のテレワークの実施を経て削減された通勤費や出張費などを受けて同年7月に増額を決定しており、今後も削減されたオフィス維持費などが従業員宅の環境構築にあてられるよう更なる増額を計画しているそうだ。

参考:「ヌーラボ、社員へ支給するテレワーク補助を月1.5万円へ増額。長期的なテレワーク環境構築を見据え、東京事務所の縮小も決定」

休憩を促す「おやつ手当」を支給(株式会社アジャイルウェア)
 株式会社アジャイルウェアではテレワーク時のお菓子・飲み物代を補助する「おやつは1日200円まで!手当」を導入し、在宅勤務1日につき200円の手当を支給している。同社には「適度な休憩が生産性を上げる」という考えのもとオフィスに各種お菓子やドリンクを好きなタイミングで好きなだけ飲食できるフリーカフェを設けていた。しかし、テレワークの導入によって物理的に利用できない状況になったため、自宅でも定期的・意識的に休憩がとれる環境を作り、在宅勤務での更なる生産性の向上に努めているそうだ。

参考:「社員に休憩を促す『おやつは1日200円まで!手当』の支給を決定」

全社員に2万円の環境改善手当・自宅用ディスプレイを支給(株式会社アジャイルウェア)
 株式会社アジャイルウェアではテレワークの長期化を見据え、オフィスに近い作業環境を実現しスピード感のある開発体制と生産性を維持すべく、全社員に自宅用ディスプレイの支給を決定した。また、作業用デスクやPCチェアなどの環境整備の他、アンケートの課題で多く上がった「腰痛・肩こり・運動不足」を解消するための手当として1人につき2万円を支給している。

参考:「全社員に2万円の環境改善手当・自宅用ディスプレイを支給~コミュニケーション不足解消のため仮想オフィスの運用も開始~」

オンライン飲み会・ランチ代を毎月最大8,000円まで補助(バリュークリエーション株式会社)
 バリュークリエーション株式会社では、テレワーク中に利用できる福利厚生の1つとして、オンラインでの飲み会やランチ代を毎月最大8,000円まで補助することを決定した。従来の対面での補助制度をオンラインにも応用することで、業務での関わりが薄い従業員や他部署メンバーとの親睦を深めることを目的としている。

参考:「オンラインの飲み会、ランチ代を毎月最大8,000円まで会社が補助」

「こんなときに出社ごめんね手当」の支給(株式会社アジャイルウェア)
 株式会社アジャイルウェアでは、出社が必要な一部の従業員に対し、「こんなときに出社ごめんね手当」を支給している。新型コロナウイルスの感染リスクを考慮したもので、電車などの公共交通機関で出社した場合は1日あたり4,000円と往復の交通費、自家用車で出社した場合は1日あたり2,000円と駐車場代が支給される。

参考:「一部従業員の出社を限定的に再開『こんなときに出社ごめんね手当』の支給決定」

まとめ

 「在宅勤務手当」には、従業員の経済的負担を軽減するだけでなく、モチベーションや生産性の向上にも効果がある。テレワークの継続が予想される昨今、企業の魅力アップや人材獲得のためにも、在宅勤務手当の導入を検討してみてはいかがだろうか。

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