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タレントマネジメントとは?社員の個々の才能や素質を生かした人事制度

2021.07.12

タレントマネジメントという人事制度がここ数年、注目されている。人材の流動性が高いアメリカで優秀な人材を定着させるための手法だが、日本でも雇用形態の多様化やDXの推進が浸透するにつれ、今日では多くの企業で採用されるようになった。
しかし、実際に取り入れてみたいと思っていても、何から手をつけたらよいのか、そもそもどのような制度であるのか理解が難しいという方も多いだろう。本記事では、タレントマネジメントの概要について丁寧に解説していく。

タレントマネジメントとは

タレントマネジメントとは「タレント=才能・素質のある人材」「マネジメント=管理」を組み合わせた言葉で、社員に才能・素質を生かした業務を任せて自社の発展に寄与してもらうための人事制度だ。社員にとっては自身の得意な分野を生かした仕事でやりがいを見いだすことができ、企業にとっては自社の成長を促進できる合理的な制度と言えるだろう。

企業内の優秀な社員に集中して人事制度の環境整備を行う
タレントマネジメントの解釈には2種類ある。
ひとつが新入社員から役職者まで、すべての人材に対してタレントマネジメントを適用し、幅広い人材の適性を把握して人材配置に活用する方法だ。
もうひとつが、リーダー候補となるような優秀な人材を社外に流出させないことと、優秀人材の行動特性をもとに環境整備を行う生産性向上を目的とした、優秀層のみにアプローチをする限定的な活用方法だ。

本記事では、日本で導入されている事例が多い、後者のタレントマネジメントに焦点を当てていく。

タレントマネジメントが普及した背景

タレントマネジメントが日本でも普及した背景として、グローバル化と少子化が背景として、語られることが多い。

かつて日本の多くの企業は、専門職種以外はゼネラリストとしての人材開発をしていた。しかし、企業がグローバル化による国内外の競争の過程において、業務の効率化が進み、人材を適材適所に配置することが重要になった。ジョブ型雇用という概念もこのような背景を踏まえ、浸透が進んでおり、タレントマネジメントも等しく、個人の能力・素質に着目する企業が増えた。

また、少子化によって優秀な人材の獲得競争は年々激化し、転職という文化も当たり前になった労働環境において、将来のリーダー候補に自社で長く活躍してもらうためには、彼らにキャリアプランやスキルアップの明確な道筋を示す必要がある。タレントマネジメントはそのような側面にも活用することができる。

タレントマネジメントのメリット・デメリット

タレントマネジメントを取り入れる際のメリット・デメリットを紹介する。

タレントマネジメントのメリットは人材の適切配置による生産性向上
前述の通り、タレントマネジメント自体が個々人の持つ能力を引き出すことによる、生産性向上を目的とした人事制度でもあり、これが大きなメリットである。

タレントマネジメントのデメリットは失敗ができないこと
人材戦略という企業経営の根幹にかかわる取り組みのため、失敗が大きな損失に繋がること自体がデメリットとも言える。実際に、リスクを重く見て導入を足踏みしてしまう企業が多く存在する。

タレントマネジメントを導入する手順

タレントマネジメントという人事制度を、リスクを減らしメリットを享受するためには、どのように導入・検討を進めると良いかを紹介する。

経営目標をSMARTで明確にする
SMARTとは、目標を明確するための大切な要素の頭文字をとった言葉だ。

「S」Specific:明確な
誰が見てもわかる明確な説明をする

「M」Measurable:測定可能
目標の達成までの道のりを客観的に判断できるようにグラフなどの数値で表す

「A」Achievable:達成可能
達成可能な現実的な目標なのか確認する

「R」Related:関連
設定した目標が所属する部署・さらには会社にためになるのか確認する

「T」Time-bound:期限
目標を達成するまでの期限を設定する

以上のことを意識しながら、どの立場から見ても分かりやすい経営目標を設定してほしい。会社としての目標が明確になることで、社員個々人がどうあるべきかの指針ができ、どういったタスクマネジメントが必要なのかがはっきりとするだろう。

人事戦略としてのKGIを設計する
KGIは売上高や利益率など数値データを含めた経営目標達成指標のことを指す。経営目標を細分化することで、自社に必要な人材の定義を導き出すことができる。採用だけではなく、いつまでに、どういった結果を出してもらうことを期待するのかを定義し共有することで、人材育成にも役立ててほしい。

タレントプールを作りKPI管理を行う
KPI(重要業績評価指標)は、組織の目標達成状況を定点で観測するために利用される指標だ。自社の強みとなる人材をデータベース化(タレントプール)してKPI管理し、目標達成に際して必要な人材をどこに投入するのか検討する。また、次世代リーダー候補の育成の指針にKPIの活用も欠かせない。どんなキャリアパスを描いていくのか、本人の希望も交えながらKPIを活用して方向性を示すことをおすすめする。

タレントマネジメントの本質的目的

タレントマネジメントはデータ活用による人材の最適な配置・定着・活躍による会社全体の生産性向上が目的だ。データの収集それ自体に力を入れすぎて、活用まで行き着かないとなったら本末転倒である。生産性向上というタレントマネジメントの本質的な目的を見失わないよう注意をしたい。

まとめ

タレントマネジメントは人材戦略のひとつとして、今後も導入する企業は増えるであろう。
しかし、経営の根幹に関わる施策であるため、しっかりとした要件定義なしに始めてしまうと大きな損失を引き起こすリスクもある。
大きなメリットもあるが失敗が許されない施策であることを十分に認識し、専門企業へのコンサルタント依頼など、外部リソースの活用も視野に入れて導入を検討してみてほしい。

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