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福利厚生サービスとは?自社に合うものを見つけ、社員満足度向上につなげよう

2021.08.06

企業が従業員に支給する賃金以外の報酬を指す「福利厚生」。「従来の福利厚生の内容を見直したい」「従業員がより満足するような内容を検討したい」と考える担当者もいるのではないだろうか。

今回は、福利厚生制度の歴史や目的、種類、近年注目を集めている「福利厚生サービス」を導入するメリットについて紹介する。それぞれのポイントをおさえ、自社の体制の参考にしてほしい。

目次

●福利厚生の歴史
●福利厚生の目的
●福利厚生の種類
●福利厚生サービスを導入するメリット
●まとめ

福利厚生の歴史

福利厚生は、時代の流れとともにその性質を変えている。まずは、福利厚生がどのような歴史を辿ってきたのか、時代背景などをふまえて見ていこう。

福利厚生の誕生は明治時代
福利厚生の始まりは、明治時代。当時は、「富国強兵」のスローガンとともに製造業や軍事産業が盛んになる一方で、低賃金や過酷な労働環境が問題となり、労働力不足が深刻化していた。労働力を確保すべく、企業が住居や食事施設などを提供することで従業員の生活保障を試みたことが福利厚生誕生のきっかけとされている。

戦後~バブル期の福利厚生
戦後になると福利厚生に関する法律が次々と制定され、現在の福利厚生のベースができた。この時代に象徴されるのは、大企業を中心として企業の保養所や社員寮が建設されるなど、企業が管理する「ハコモノ」を従業員に提供していることだ。バブル経済によって企業の羽振りもよく、さまざまな施設や設備への投資が行われた。

バブル崩壊後の福利厚生
1990年代にバブルが崩壊すると、これまで福利厚生の主流となっていた「ハコモノ」を保有・維持していくことが困難に。企業はコスト削減のためにこれらの施設を手放さざるを得なくなり、福利厚生費を抑制する手段として福利厚生のアウトソーシング化が広まっていった。

近年の福利厚生
社会情勢や従業員のライフスタイルの変化にともない、近年の福利厚生は「ハコモノ」から「ヒトモノ」へと変容を遂げた。育児・介護のサポートや余暇の充実など、従業員のワークライフバランスやニーズを考慮し、「従業員がより豊かに生活できるような施策」を取り入れる企業が増加している。

福利厚生の目的

福利厚生を導入することで、企業にはどのような効果があるのだろうか。ここでは、福利厚生を導入する目的をおさえよう。

従業員の満足度の向上
福利厚生を導入する一番の目的は、従業員の現状への満足度を上げることだ。従業員の生活や健康を保障し、企業に対する満足度や信頼度が上がれば、モチベーションや生産性の向上にもつながるだろう。それにより、離職率の低下や労働力の定着といった効果も期待されている。

企業のイメージアップ
魅力的な福利厚生を導入することで、企業のイメージアップにつながるという効果もある。近年は「売り手市場」であるため、いかに自社の魅力を構築できるかが求人のポイントだ。ユニークな内容で他社との差別化をはかったり、充実した内容で賃金以外の付加価値をアピールしたりすると、優秀な人材の確保につながるだろう。

福利厚生の種類

福利厚生には大きく分けて「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」の2つの種類がある。それぞれの具体的な内容を紹介する。

法定福利厚生
「法定福利厚生」とは、法律で義務付けられている福利厚生のこと。具体的な内容は以下の通りで、企業が保険料を負担したり税金を納付したりすることによって従業員に還元できる仕組みをつくっている。

・健康保険
・厚生年金保険
・労災保険
・雇用保険
・介護保険
・子ども・子育て拠出金

「子ども・子育て拠出金」とは、企業が全額負担する税金のことで、「児童手当」や「子育て支援事業」「仕事と子育ての両立支援事業」などに充てられるものだ。

法定外福利厚生(企業が従業員に提供するもの)
法定外福利厚生とは、企業が独自に定める福利厚生のこと。企業によって種類や内容が異なり、その数は多岐に渡る。法定外福利厚生のうち、企業が従業員に提供するものは以下の通りだ。

・住宅関連(住宅手当、家賃補助、社宅・独身寮、持ち家補助 など)
・健康・医療関連(健康診断、メンタルヘルスケア など)
・育児・介護支援関連(育児休業の上積み、託児施設、育児補助、介護休業・看護休暇の上積み など)
・慶弔・災害関連(慶弔・災害見舞金、遺族年金、遺児年金、遺児育英年金 など)
・文化・体育・レクリエーション関連(運動施設、保養所、文化・体育・レクリエーション活動支援 など)
・自己啓発・能力改発関連(公的資格取得・自己啓発、リフレッシュ休暇 など)
・財産形成関連(財形貯蓄制度、社内貯金、持株会、個人年金 など)
・その他(社員食堂・食事手当 など)

法定外福利厚生(外部の福利厚生サービス)
近年は、新しい仕組みとして外部が提供する「福利厚生サービス」を導入して福利厚生を充実させている企業も多い。福利厚生サービスとは、これまで総務部や人事部が行っていた福利厚生の業務を外部のサービス会社に委託すること。

福利厚生サービスは、主に決められたセットの中から好きなもの選べる「パッケージプラン」と、一定のポイント内で好きなものを自由に選択できる「カフェテリアプラン」の2種類を主力としている場合が多い。具体的なサービス内容は提供している会社やプランなどによって異なるが、主なものは以下の通りだ。

・宿泊・旅行支援(海外ツアー、航空券付きセットプラン、日帰りツアー など)
・疾病予防・健康増進支援(人間ドック、禁煙支援、スポーツクラブ・フィットネス、ウォーキングイベント など)
・自己啓発支援(資格取得、通信教育、パソコンスクール、カルチャースクール など)
・育児・介護支援(産後ケア、ベビーシッター、育児・介護用品、両立支援セミナー、コミュニティサイト など)
・エンタメ補助(映画、カラオケ、レジャー施設、スポーツ観戦、温泉・スパ など)
・冠婚葬祭補助(婚活、結婚式場、葬祭、仏具、墓石 など)
・住生活支援(リフォーム、引っ越し、ペット、家事代行、法律・マネー相談 など)

福利厚生サービスを導入するメリット

福利厚生サービスを導入するメリットのひとつは、サービス会社が窓口業務から運営までを代行してくれるため、担当者の負担やコストを削減できるという点だ。面倒な手続きが不要、かつ低コストで導入できるため、中小企業でも気軽に導入しやすいだろう。

また、従業員がライフスタイルやニーズに合わせて柔軟に利用できることもメリットのひとつだ。特に「カフェテリアプラン」は多様なサービスの中から自分の好きな福利厚生のみを選んで利用できるため、企業が直接運用するよりも従業員のニーズに合わせやすく、従業員の満足度も向上しやすいと言える。

まとめ

従業員の満足度や生産性を上げることを目的とした「福利厚生」。時代の流れと共に企業が提供する内容も変化しており、近年は従業員がそれぞれのニーズにあわせて福利厚生を選択できる「福利厚生サービス」も登場している。従業員が働きやすい環境を整えるためにも、社内の福利厚生制度を一度見直してみてはいかがだろうか。

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