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1on1ミーティングとは メリット・デメリットと導入手順を解説

2021.09.30

人材育成の手法の1つである「1on1」。国内でも大手企業が導入したことで話題となり、導入する企業が増えている。「1on1の効果を知りたい」「1on1の導入を検討したい」と考える方もいるのではないだろうか。

今回は、1on1の概要やメリット・デメリット、導入する際の手順を紹介する。目的や効果、注意すべきポイントをおさえ、関係性構築や人材育成に役立ててほしい。

目次

●1on1ミーティングとは
●1on1のメリット、デメリット
●1on1の導入手順
●まとめ

1on1ミーティングとは

「1on1ミーティング」(以下、1on1)とは、部下の成長促進を主な目的として行われる、上司と部下による1対1の定期的な対話のことだ。まずは、1on1の特徴や通常の面談との違い、求められる背景や具体的な内容について見ていこう。

1on1の特徴と「人事面談」「評価面談」との違い
1on1は、週に1回や1カ月に1回など、定期的に実施するのが一般的だ。1回の実施時間を30分から1時間程度にし、短時間・短期間のサイクルを繰り返すことで質の高い対話と人材の育成につなげることを目標としている。

半期や1年に1度行われる「人事面談」や「評価面談」が上司が目標や成果を確認する、課題点を指摘するといった一方的なコミュニケーションであるのに対し、1on1は対話型のコミュニケーションであるという違いがある。また、「人事面談」「評価面談」は、名前通り「評価の伝達」を目的としている。これに対し、1on1は評価の場ではなく、対話を通じ、部下の抱える悩みや課題に寄り添いながら、成長を促進させることを主目的としているという点も異なる。

1on1が求められる背景
1on1が求められる背景には、現代社会が「VUCAの時代」と呼ばれることが関係している。VUCAとは、「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」の頭文字をとった言葉で、変化が激しく予測が難しい状態を指す。移り変わりや不確実性の高い状況が当たり前となった昨今には、これまでの経験や判断軸が必ずしも通用するとは限らず、誰もが「正解」を持たない時代とも言える。対話によって個々人やチームの状況、課題点、改善策を導き出すことにより、時代の流れに対応できる社員を育成することが1on1に求められていると言えるだろう。

1on1の内容
1on1で話す内容は、目的や業務の状況、部下のニーズなどによって決定するとよいだろう。フランクな対話を重視しつつ、雑談のみで終わることがないよう、事前に話す内容を整理しておこう。目的別に1on1の内容をまとめると、以下のような例がある。

【コミュニケーションを増やしたい】
・家族構成、育児や看護の状況
・趣味、得意なこと
・休日の過ごし方
・継続して行っている習慣 など

【業務の不安を取り除きたい】
・現在取り組んでいる業務、テーマ
・課題、困っていること
・一緒に働いているメンバーとの関係性
・ストレスを感じること
・上司が力になれること など

【業務に前向きに取り組んでほしい】
・業務の中での気づきや学び
・よかったと思えること
・力を入れた業務
・次にチャレンジしたいこと
・取得したいスキル
・利用したい制度 など

【今後のキャリアを考える機会を提供したい】
・自身の強み
・やりがい、大切にしていること
・今後のキャリアの希望、方向性
・上司が支援できること など

1on1を実施する際のポイント
1on1は部下の話を聞いて成長を促す時間であるため、上司は「傾聴」を意識し、部下の話に耳を傾けることが重要だ。上司にとって必要なことを一方的に伝えたり、途中で話の腰を折ってしまったりすると、部下の話す意欲が落ちてしまうため、注意が必要だ。部下の話を聞くことに集中し、時折相槌や共感、質問を挟んだり、言語化が難しい場合はフォローを入れたりするなど、部下が話やすい雰囲気づくりを心がけよう。部下が「話してよかった」と思える時間になれば、よい対話が行えたと言えるだろう。

1on1のメリット、デメリット

1on1のメリット、デメリット

1on1を導入することによって、企業やチーム、上司と部下にはどのような影響があるのだろうか。ここでは、1on1のメリットとデメリットをそれぞれ紹介する。

◆ 1on1の<メリット>
1on1を取り入れるメリットは、以下の通りだ。

・定期的な振り返りが行える
・業務状況が把握しやすい
・継続学習のサイクルが機能する
・優秀な人材の育成につながる
・部下の成長と自立が促せる
・チーム内・企業内の課題が洗い出される
・上司と部下のコミュニケーションが増加する
・相談しやすい関係性が生まれる
・上司と部下の相互理解が深まる
・ハラスメントの防止・解決につながる
・個々人の強み・弱みを発見しやすい
・モチベーションが向上する
・エンゲージメントが高まる
・離職防止につながる
・上司のマネジメント力が高まる
・部下のキャリア開発を支援できる
・評価に対する納得度が増す

定期的な対話を行い部下の成長が促されることによって、チームや企業にもよい影響が期待できると言えるだろう。

◆ 1on1の<デメリット>
一方で、1on1には以下のデメリットもあると考えられる。

・上司・部下ともに時間を確保する必要がある
・スケジュールの調整が難しい
・効果が出るまでに時間がかかる
・雑談で終わってしまう可能性がある

定期的に時間を確保する必要がある、即効性の効果を感じにくいなどの理由から、上司・部下ともに負担に感じることもあるだろう。これらのデメリットに対処するためには、1on1の特徴や目的を意識したうえで内容を整理し、時間を効率的に使うことが大切だ。

1on1の導入手順

1on1を導入する際には、場当たり的ではなくしっかりとしたステップを踏んでいくことが大切だ。ここでは、1on1の導入手順を紹介する。

【ステップ1】1on1の意味や目的の周知
まずは、部下に1on1を行う意味や目的を周知することが重要だ。一方的に実施する旨を伝えるだけでは「何を話せばよいのかわからない」「評価に影響するか不安」「業務が忙しく時間がとれない」などネガティブな印象を与えかねない。そのため、部下がポジティブに臨めるような説明を行ったり、業務環境を整えたりする必要がある。事前に「業務やワークライフバランスについてフランクに対話する場であること」「中長期的な成長のために設ける時間であること」など、目的を説明したり、他企業での導入事例などを共有し、部下の理解を得よう。

【ステップ2】スケジュールや場の決定
次に、1on1を実施するスケジュールを決定する。その都度設定をすると業務の関係で優先度が下がってしまう可能性があるため、「毎週火曜日の14時から15分間」「毎月第2・第4水曜日の10時から30分間」など、定期的な予定として組み込むとよいだろう。その際、クライアントとの打ち合わせや家庭の事情などでどうしても都合がつかない場合は「必ず1週間以内に日程を振り替える」などのルールを設けておこう。

また、今後のキャリアなどの明るい話題をする際はオープンなカフェやラウンジ、退職やハラスメントなどの深刻な話題の場合は他者の目がない会議室を使用するなど、1on1で話す目的や話の内容や部下の性格によって場所を選ぶことも大切だ。

【ステップ3】1on1の実施と記録
1on1で話した内容は、きちんと記録をとっておこう。過去の記録を共有しながら話をすることで、部下やチームの成長の軌跡を確認できたり、今後の対応が容易になったりするという効果がある。互いの認識を揃えたり、担当が変わっても過去の記録を参照しやすくしたりするためにも、クラウドツールなどを利用して上司・部下それぞれが記録を確認できるようにするとよいだろう。

【ステップ4】継続的な実施と振り返り
1on1は、継続したコミュニケーションや振り返りを行うことによって効果が期待できるものだ。1on1の最後にまとめの時間を設けたり、次回話す内容を共有するなどして、部下が「有意義な時間だった」「次回はこんなことを話してみよう」と感じられるような対話を心がけよう。

まとめ

定期的な1対1のコミュニケーションを行うことで、さまざまなメリットが期待される「1on1」。一方で、時間や工数を要するという課題もあるため、導入を検討する際はそれぞれのポイントをおさえたうえで、しっかりと事前の準備をしておくとよいだろう。効果的な1on1を行い、部下の成長促進につなげてみてはいかがだろうか。

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