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人事考課とは?人事考課の目的、重要な視点や注意点を解説

2022.02.14
オフィスのミカタ編集部

人事考課とは、従業員の業績や能力を査定し評価する制度だ。給与や昇格、部署配置など処遇を決定する際の判断基準となるため、従業員が納得できる公平な評価を行う必要があるだろう。本記事では、人事考課を行う目的や注意点などを解説する。人事考課の導入や改善を検討中の担当者は参考にしてほしい。

目次

●人事考課とは
●人事考課の目的
●人事考課の評価基準
●注意すべき人事考課エラー
●人事考課を効果的に行うステップ
●まとめ

人事考課とは

人事考課を自社で導入する場合は、その役割を正しく理解しておく事が重要だ。まずは、人事考課の定義や人事評価との違いについて見ていこう。

人事考課とは従業員の報酬決定に直結する評価のこと
人事考課は、企業が従業員の業務成績や能力に対して評価を行う制度である。具体的には、経営者や人事部、管理職が従業員の業績や能力を査定。その結果に基づき、従業員の給与や、昇格・昇進などの処遇を決定するものだ。

人事考課は定期的に実施するのが一般的で、半年あるいは1年に1度といった間隔で行われることが多い。人事考課は、その結果により従業員の処遇に直接かかわる制度のため、「公平性の担保」や「従業員の納得を得ること」が極めて重要である。

人事考課と人事評価の違い
人事考課と似た言葉に「人事評価」という言葉がある。双方の違いは、その最終目的にある。人事考課が「従業員の待遇決定」を目的としているのに対し、人事評価はあくまでも「従業員の評価決定」が目的となる。2つの言葉を同じ意味合いで使っている企業も多いが、上記のような違いがあることを知っておくと良いだろう。

人事考課の目的

ここからはさらに踏み込んで、企業側からみた人事考課の目的を確認していこう。

従業員の能力を可視化し、組織運営を円滑にする
人事考課を行う目的のひとつに、従業員の業績や能力を可視化することが挙げられる。そうすることで、従業員の能力に見合った給与や賞与が決定できるため、人的コストの最適化につながるだろう。組織運営を円滑に進めることも可能となる。

従業員の成長を促し生産性を高める
適切な人事考課により、企業の生産性アップが見込まれるだろう。相応の評価を受けることができた従業員のモチベーション向上が期待できるからだ。人事考課は、従業員が自分の行動を振り返ることのできる貴重な機会であり、向上心を高めるためにも丁寧に取り組みたい。

企業の方針や理念に基づいた行動指針を周知する
人事考課は、企業の方針や理念に基づいた行動指針を明文化し、周知できる機会であることも知っておこう。人事考課を通して企業と従業員の双方が目指す姿を共有することで、企業の団結力強化につなげられると良いだろう。

人事考課の評価基準

ここからは、人事考課を行う上で重要となる3つの評価基準を紹介する。

<1>業務考課
業務考課は、考課対象期間に「どの程度目標を達成できたか」を査定するものだ。企業への貢献度や売上への寄与度など、数字による成績を目安にするため公平性を保つことができる。

一方で、管理部門など数字に結びつきにくい業務を担当する従業員は、査定が低くなりやすい側面もあわせ持つ。あくまで業務に対する貢献度を総合的に判断することを意識しておきたい。

<2>能力考課
能力考課では、従業員が仕事を通して得たスキルや、自身のスキルアップのために取得した資格なども含め評価を行う。先述した業務考課で評価がつきにくい業務を行う従業員を適切に評価するための、重要な基準となる。

<3>情意考課
情意考課は、従業員の業務態度や業務に対する行動などを評価するもの。業務への貢献度にかかわらず、業務に対する従業員のモチベーションなどを考慮して評価を行う。

注意点として、評価者の主観が入りやすく、主観による評価の優劣につながるリスクがあることを知っておきたい。直属の上司などの評価者だけでなく、業務にかかわる様々な立場の人からの評価を集めるなど、客観的な評価を行う必要があるだろう。

注意すべき人事考課エラー

人事考課にを行う際に注意すべきヒューマンエラーのことを「人事考課エラー」と言う。あらかじめ知っておきたい人事考課エラーの一例を紹介するので、予防措置を講じるなど、適切な制度構築に役立ててほしい。

ハロー効果により生じるエラー
ハロー効果とは、従業員の持つ目立ちやすい優れた印象が記憶に強く残る現象のこと。人事考課においては、ハロー効果により他の評価ポイントが、実際以上に高い評価となってしまうケースがあり注意が必要だ。

先入観から生じるエラー
「学歴」「年齢」「性別」など、本人のスペックにより抱く先入観で評価を行ってしまうことを言う。「女性よりも男性の方が」「学歴が高い方が」といった先入観を持たないように注意したい。

親近感から生じるエラー
「出身地が同じ」「趣味が似ている」など、業務とは関係のない個人的な共通点に親近感が生じ、高評価をつけてしまうケースもある。

帰属に起因するエラー
従業員本人が努力して得た業績であるのにもかかわらず、景気などの外的要因により、努力を否定するかのような見方をしてしまうことも考えられる。

上記のようなヒューマンエラーを完全に避けることは難しい。しかし、起こりうる人事考課エラーを理解し、常に意識しておくことで、「不当に評価してしまう」といったリスクを遠ざけることができるだろう。

人事考課を効果的に行うステップ

ここでは、基本的な人事考課のステップを紹介する。

<ステップ1>評価の基準値を設定する
まずは、評価を行う際の「基準値」を設定しよう。評価者によって評価点が不明瞭になることを防ぐため、評価基準や評価項目、基準値を明確にしておく必要がある。企業理念や企業の戦略に基づいた評価項目を設定し、それに基づき「重視するポイント」や「評価基準値の平均」など、より詳細な基準を決定しよう。

<ステップ2>目標を設定する
評価基準の設定が済んだら、従業員が個々に取り組むべき目標を設定するステップに移る。従業員の意向を踏まえ、大きすぎる目標設定をせず、「頑張れば達成できそう」な現実的な目標を設定することがポイントとなる。

<ステップ3>評価者による評価を実施する
つづいて、ステップ1で定めた企業基準に従って従業員を評価するステップだ。先に述べた「人事考課エラー」に注意して、評価を実施しよう。業務にかかわる複数の評価者を含めるなど、客観的な視点で評価を行いたい。

<ステップ4>フィードバック面談を実施する
最後は、ステップ3の評価をもとに、上長から従業員へフィードバックを行う。人事考課における最も重要なステップと言えるだろう。

従業員に人事考課の結果を伝え、結果に対するフォローを行う。フィードバック面談を実施する際には、相手に対する評価を客観的に伝える姿勢が重要となる。人事考課の結果をもとに、従業員の自主性を引き出し、モチベーションの向上につなげられると良いだろう。

まとめ

人事考課とは、従業員の業績や個々の能力を査定し評価する制度のこと。企業のコスト最適化や従業員のモチベーション向上に役立つだろう。自社の生産性を高められるほか、企業と従業員の円滑なコミュニケーション手段としても有効である。一方で、注意点や導入する前に検討しなければならないことも多い。自社においては、企業理念に沿った目標を設定し、効果的な人事考課制度を検討してほしい。

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