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テレワークの福利厚生は?知っておきたい福利厚生のトレンドや導入方法を解説

2022.04.22
オフィスのミカタ編集部

新型コロナウイルス感染症の流行や働き方改革により、テレワークを導入する企業が増えている。従業員にテレワークを推進する一方で、従来の福利厚生制度ではカバーしきれない課題が増え、テレワーク向けの福利厚生制度を導入したいと考える担当者もいるのではないだろうか。

本記事では、テレワークに対応した福利厚生事例の紹介や導入方法について解説する。福利厚生の見直しを行う際の参考にしてほしい。

目次

●福利厚生とは
●テレワークの普及で福利厚生の見直しが必要に
●テレワークに対応した福利厚生支援
●テレワーク向けの福利厚生事例
●新しい福利厚生を導入する際のポイント
●まとめ

福利厚生とは

福利厚生とは、従業員やその家族の生活向上を目的として企業が提供する、給与以外の報酬・サービスのことを言う。

福利厚生の種類は、「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」の2つに大別できる。一つ目の法定福利厚生とは、法律で実施が義務付けられている福利厚生だ。どの企業にも設けられている最低限の福利厚生制度であり、健康保険や介護保険、雇用保険などが該当する。

もう一方の法定外福利厚生は、企業側が自由に決めることができる福利厚生だ。従業員を経済的に支援することやモチベーションの維持・向上を目的として、企業理念にあった独自の制度を定めているケースが多い。具体的には、家賃補助や記念日に使える有給「アニバーサリー休暇」などが該当する。

テレワークの普及で福利厚生の見直しが必要に

近年、新型コロナウイルス感染症の流行によりテレワークが急速に普及している。東京都が2022年1月に実施した調査によると、都内企業(従業員30人以上)のテレワーク実施率は57.3%。緊急事態宣言期間に比べると低下傾向にあるものの、新型コロナウイルス感染症流行以前に比べると、テレワーク実施率は高い水準で推移していることが伺える。

そのような状況のなか、現状の福利厚生制度ではテレワークを想定しておらず、福利厚生の見直しが喫緊の課題となっている企業も多いようだ。

テレワーク移行に伴い、多くの企業で課題となっていることは次の通り。
●水道光熱費や通信費など生活費の増加
●従業員間のコミュニケーション不足
●従業員のフィジカルヘルス・メンタルヘルスの悪化 など

上記のような課題を解決するために、各企業においては、時代に合った福利厚生制度の再構築が求められている。

参考:『テレワーク実施率調査結果|東京都』

テレワークに対応した福利厚生制度

先に述べたテレワークでの課題を解決するために、新たな福利厚生支援を検討、導入する企業も増えている。ここでは、テレワークに対応した福利厚生制度の代表的な例を紹介するので参考にしてほしい。

在宅勤務(テレワーク)手当
在宅勤務手当とは、テレワーク移行に伴い発生する光熱水費やディスプレイ、備品購入などに対する補助を行うもの。子育て世代の従業員に対するベビーシッター費の補助を行う場合もある。

コミュニケーション手当
コミュニケーション手当とは、従業員同士のコミュニケーション不足の解消を目的として、オンラインランチや就業後のオンライン飲み会などの飲食物の補助を行うもの。部活動支援などユニークな制度を導入する企業もある。

食事補助
食事補助とはテレワークを行う従業員に対し、昼食代などの飲食費を企業側が負担するもの。コロナ禍において在宅時間の増加による、健康志向のニーズ向上が背景にある。また、テレワークにより通勤する必要がなくなり、運動不足などによるフィジカル・メンタルの両面への対処が求められている。健康に配慮した食事の提供を行うことで、テレワーク特有の健康問題への対処として取り入れる企業もある。

テレワーク向けの福利厚生事例

ここからは、各企業で導入されているテレワーク向けの福利厚生事例を紹介する。

<事例1>Google
検索エンジンなどのオンラインサービスを提供・運営しているGoogleは、社員とその家族の皆様が身体的、経済的、精神的に良好な状態を維持できるように、世界水準の福利厚生の提供を目指している。オフィスまたは国や地域によって異なる場合があるが、次のような福利厚生施策がある。

・柔軟な働き方と休暇制度の実施
ほとんどの職種で週2日の在宅勤務が可能であるほか、リモートワークの実施や年に4週間はどこからでも勤務可能とするなど、フレキシブルな勤務が行えるよう支援している。

<事例2>サイバーエージェント
サイバーエージェントでは、「挑戦は安心とセット」という考えをもとに、従業員が長く働き続けられる人事制度や福利厚生を取り入れている。

・テレワーク環境の整備
IDによるセキュリティ管理やセキュリティ管理を行っている安全な経路を使ったVPN回線の提供、多人数の同時接続によるVPN回線の遅延回避対策を実施している。このほか、ビデオ会議システムを導入したり、業務用フォルダをクラウド化したりするなど、従業員がストレスなく業務を継続でき、パフォーマンスを維持できるような福利厚生を整えている。

<事例3>リクルートグループ
リクルートは働く場所の柔軟性や、働く日・時間に柔軟性を持たせ、リモートワークでも安心して働き続けられるよう支援を行っている。

・働く場所の柔軟性を高めるリモートワーク
一部の職種を除き、理由・回数を問わないリモートワークを全社導入し、通勤交通費は実費支給へと変更。これまで認められていなかった、特急料金も条件付きで許可できるようになるなど、遠方通勤がしやすい体制を整えている。

<事例4>ZOZO
ZOZOは個性的な社風を表現し、ユニークな制度を取り入れ、従業員の私生活を豊かにすることを目指している。リモートワークをする日数に応じて毎月手当を支給しているほか、次のようなテレワーク向きの施策がある。

・家族時短
仕事とプライベートをバランスよく充実させるため、育児や介護、ペットや同居人など社員が「家族」と認識する人や動物のサポートが必要な場合は、1日最大2時間の時短利用が可能になる制度。自宅で仕事をすることで、向き合う必要のある家庭の事情に配慮できる福利厚生を整えている。

・部活動支援
従業員によるスポーツや趣味の集まりを、部活動費用を企業側が負担し公式に支援する制度。従業員同士のコミュニケーション支援に有効な施策として注目されている。

新しい福利厚生を導入する際のポイント

最後に、実際にテレワークに特化した福利厚生制度を導入する際に意識したいポイントをみていこう。

1.制度導入前に就業規則の見直しを行う
新たな福利厚生制度を導入する場合は、就業規則の改定が必要だ。主に改定が必要となる項目は以下の通り。テレワーク勤務時の服務規程などの基本事項を盛り込むほか、就業規則に追加すべき項目に漏れがないよう注意し見直しを行おう。

・テレワーク勤務の定義と対象者
・テレワーク勤務時の服務規程
・テレワーク勤務時の労働時間
・テレワーク勤務時の休憩
・テレワーク勤務時の時間外労働等 など

2. 皆が利用できる不公平感のない内容とする
従業員のエンゲージメント向上のために導入した制度であっても利用できない人がいる場合、従業員間で不公平感が生じてしまう懸念がある。健康支援への施策などは、皆が利用できる内容を構築することが望ましい。

3.外部にもアピールできる福利厚生の内容を検討する
企業内では従業員のエンゲージメント向上や生産性向上という観点が重要だが、福利厚生制度の内容によっては外部へのPRを行うツールとしても活用したい。そうすることで採用時の企業の魅力付けの強化や、知名度の向上につながることも期待できるだろう。

まとめ  

テレワークの普及が進み、福利厚生の見直しも企業の課題の一つとなっている。各企業においては、従業員の健康やエンゲージメント向上につなげ、自社で働くメリットを感じてもらえるような福利厚生を用意することが理想だろう。時代に合った福利厚生を整備し、従業員のモチベーションを上げるとともに、外部へのPRも期待できるような制度を構築してほしい。

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