ガバナンス強化で関係性が企業評価に直結 名刺管理から始めるリスクマネジメントとは
コンプライアンス意識の高まりにより、社内だけでなく、社外との関係性が企業評価に直結する。在宅勤務やオンライン商談など、ワークスタイルが変化する中、リスクチェックにも変革が求められる。そこで法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」では、名刺からリスク情報を検知する「反社チェックオプション powered by Refinitiv/KYCC」を展開。事業担当者の酒井悠作氏に話を伺った。
さまざまな評価軸で企業の信頼が問われる時代に
企業活動で欠かすことのできない、利害関係者との関わり。社会がコンプライアンスに対する意識の高まりを見せる中、誰とどのような関係を構築するかが、企業の信用問題に大きく影響を与えるようになってきている。一方、新型コロナウイルス感染症の拡大により、ワークスタイルが大きく変化した。リアルでの出社やオフラインでの面会が制限される中で、各企業では商談や会議をオンラインに置き換える動きが進んでいる。そうした中で、リモートによる商談の増加によって、商談相手の正確な情報の把握が難しくなりつつある。こうした状況に対して、法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」では、企業のガバナンス強化を後押しすべく「反社チェックオプション」を展開している。
「Sansan」は、名刺をスキャナーやスマートフォンアプリで読み取るだけで、独自のオペレーションシステムによって名刺情報を正確にデータ化し、企業内の人脈を可視化。営業活動の強化を実現できる。名刺管理サービスとしては83%のシェアを誇り、導入企業はおよそ8000社に上っている。最近では、対面の名刺交換の機会が減少する中で、オンラインでの面談で活用できる、オンライン名刺のサービスを開始。また、メールの署名欄から接点情報の蓄積を可能にする「スマート署名取り込み」など、さまざまな出会いのデータ化に取り組んでいる。
一方、社会のガバナンスに対する意識の高まりにより、企業活動におけるリスクチェックの重要度が増している。近年では、反社会的勢力だけでなく、人権問題やマネーロンダリングなど企業を脅かすリスクの多様化とESGへの関心の高まりから、さまざまな評価軸によって、企業の信頼性が評価されるようになっている。
「取引先だけでなく、接触するさまざまな企業のつながりによって、自社の信頼性が失墜し、取引先との取引停止やブランド毀損、金融機関からの融資停止といった状態に陥る事案が増加しています」(酒井氏)
Sansanが実施したアンケートによると、営業職のおよそ40%が、コンプライアンスチェック・反社チェックの結果により、取引を取りやめた経験があると回答している。
いま求められるリスクチェック体制の変革
一方で、ワークスタイルの変化は、ガバナンス業務にも大きな影響を与えていると、酒井氏は指摘する。まず、取引する相手情報の特定が難しくなっている。これまでは、対面での商談により、相手先のオフィスに出向き、名刺交換をすることで、相手情報を特定することができた。しかし、テレワークの普及により、オンラインでの商談が増える中、画面越しのやりとりで、かつ名刺交換ができないため、相手先の正確な情報の把握が難しくなっている。また、リスクチェックが必要な案件も増加している。商談がオンラインでできるようになったため、従来に比べて商談数が増加。リードタイムが短縮したことにより、リスクチェックが必要な案件が増加している。こうした背景から、リスクチェック体制の変革が企業活動にとって喫緊の課題となりつつある。
しかしながらリスクチェック体制の変革は一筋縄ではいかない。まず信頼できる情報源の確保が難しい。インターネットの普及によりさまざまな情報にアクセスできるようになっている。しかし情報が氾濫し必要な情報にアクセスするのが難しくなっている。また情報の質もまちまちで、信憑性の高い情報源の確保ができていないケースが多い。また人力でリスクチェックを行う場合、時間や労力がかかり、ノウハウが蓄積できず、チェック基準の一貫性が担保できない点に課題があった。
名刺管理から始めるリスクマネジメント
そこでSansanでは、2020年4月から「反社チェックオプション」を展開。「反社チェックオプション」では、名刺をSansanシステムでスキャンするだけで、自動的に信頼性の高いリスクデータベースと結合。そのため、チェックにかかる工数を大幅に削減できる。チェックのための申請も必要ない。またリスク情報は、予め指定した社内の担当者に通知。担当者が詳細を確認し、取引の可否を判断、設定することで、例えば取引不可と判断された場合、リンクする企業情報を所有する社員へ、自動的に通知がされるようになっている。このように業務負担をかけることなく、リスクマネジメントを実現することができる。
一般的なリスクチェックでは、契約の直前にリスクチェックを行うケースが多い。そのため、相手先のリスクを把握した段階では、業務リソースを大きく割いたにも関わらず、商談をストップしなければならない事態に陥ってしまう。しかし反社チェックオプションでは、名刺情報を取得した段階で自動的にチェックするため、早期にリスク情報の把握が可能となる。また反社会勢力との関与だけでなく、人権問題やマネーロンダリングなど、さまざまなリスク情報に対応している。
「よく保険のように例えてもらっています。リスクチェックは何かあってからでは遅いです。軽微なリスクであっても、認識しているかどうかで大きな違いがあります。反社チェックオプションでは、さまざまなリスク情報を網羅的に把握できるので、企業活動に支障が出ることのないように対応することができます」(酒井氏)
企業活動において利害関係者との関わりは必要不可欠だ。一方、社会のガバナンスに対する意識は年々高まっており、今後さまざまなリスクに対して、企業は対応する必要が出てくることが予想される。さらにオンラインでの商談は今後も続くことが予想され、相手先の正確な情報の把握は重要となってくる。リスクマネジメントの仕組みを整備することが、今後の企業活動にとってますます重要になっていくだろう。
コンタクト情報
Sansan株式会社
URL:https://jp.sansan.com/












