バックオフィス業務のDX、工数が半減するのは複数SaaSをノーコードで連携・自動化できるから 人事労務も電帳法対応も【Yoom株式会社】
バックオフィス業務のDX のために複数のSaaSを活用し、それぞれは便利であっても、何か更新があれば同じ情報を活用SaaSの数だけ入力しなければならず、工数がかかっているという担当者は少なくない。こうした手間を減らすべく登場したのが、さまざまなSaaSと連携した独自の業務ツールを作成できる、ノーコードプラットフォーム「Yoom」だ。Yoom株式会社代表の波戸﨑駿氏に話を伺った。
数百万にもなり得るAPI Yoomなら月額0円から
──バックオフィス業務のDXのためにさまざまなSaaSを利用している担当者の方は多いと思いますが、貴社に相談する企業様はどういった点に悩まれていますか。
お客様にもよりますが、共通するのは複数のSaaSを導入されていて、その操作や登録にかなりお時間を取られているといったことですね。例えば新入社員の入社対応で、人事や労務の方は従業員を管理する「SmartHR」、業務関係で「Google」、勤怠では「freee」など、いくつものツールのアカウント発行・登録作業が生じているケースは少なくありませんが、入社するのが1人ならそれほどの工数ではなくても、月に10~20人入社するとなると、かなりの工数がかかります。このあたりを効率化、自動化したいとご要望を受けることが多いです。
──なぜ、「Yoom」を開発したのですか。
増え続けるSaaSに対し、API(Application Programming Interface)を活用している方が少ないと感じていました。APIはシステムのコネクタのような役割を果たしますが、通常は人が手作業でやっているようなものを、自動でできるようになる、ソフトウェアやプログラム同士をつなぐものです。APIを使うと、例えばそれぞれのSaaSツールの「ログイン情報」「従業員情報」など、個人情報に関わる認証処理などいくつものSaaSにまたがっている情報連携が自動でできるようになります。
ただ、APIを使うためには基本的にはエンジニアが専用のシステムを開発する必要があります。1つのSaaSツールのAPIを自動化したい、システムを連携したいとなると、開発期間は早くて2 週間、通常であれば1カ月近くかかってきてしまいますし、それを外注しようとすると、普通に数十万、複雑なツールなら数百万にもなってしまいます。でもAPIをノーコードで使えるようにすれば時間的にもコスト的にも抑えられるので、活用いただけるのではないかと考えたんです。実際「Yoom」は無料から始められるようにしています。
──フリーが無料から、スタンダードの月額ライセンス料が1人1200円から、プロが1人1600円からと、料金プランも導入しやすいですね。
API連携による自動化で工数が半減するケースも
──現時点で、100サービス以上連携できそうですが、どのように開発を進めてきたのでしょう。
オープンAPIツールに関しては直接システムの開発が可能ですが、クローズのツールに関しては企業様をドアノックしていますね。ただ、Yoomを使ってくださっているお客様からのご要望でAPI連携のご提案をさせていただいているので、連携先の企業様にとってもユーザーメリットの拡大につながるので、快く受け入れていただいています。
──導入までにはどれくらい時間がかかるものですか。
実施されたい内容によっても異なりますが、例えば、あるアプリに従業員情報が登録されたら、それを他のツールに連携するとか、通知するといった簡単な業務フローであれば、5分、10分で連携完了です。通常であれば1カ月などかかる連携ですが、ここがノーコードの価値です。
──導入後はどのような効果が得られると言われていますか。
例えば今急成長を遂げられている宅配スーパー「OniGO」様は、2021年8月に1号店をオープンし、その際は店舗と本部スタッフ併せて約20人だった従業員が、約半年で100〜150人増えて、2023年2月には500人を超えるまでになったそうです。そのスタッフの情報管理をスプレッドシートで行っていたところ、データが壊れてしまうというトラブルが発生し、その際はどうにか対応できたものの、今後を考えて「kintone」に情報を集約することになりました。合わせてSmartHRで従業員管理を、ジョブカンで勤怠管理を行っていたため、それらのすべてを連携したかった。
そこでご担当者様が調べたところ、Yoomにたどり着いたそうです。結果、「kintone」と「SmartHR」をYoomと連携し、それまで手作業だった作業が自動反映になり、全体の工数が半減したともお聞きしています。
他にも、契約関連、法務や管理部門ですと、「クラウドサイン」や「freee サイン」で契約書の送付を自動化したり、最近では電子帳簿保存法対応で請求書のPDFを自動で格納したり、さらにそれを会計ソフトにも自動で帳票登録したりするお客様もいらっしゃいます。
連携の上限はなし 今後はAI活用した自動化も
──連携が難しいケースはありますか。私たちが対応できていないツールをお使いの場合、すぐに価値を見出してはいただけないのですが、もちろん新たな開発は常に続けています。
逆に、連携するツールも上限は設けていませんので、お客様のご要望があれば柔軟・迅速に連携を進めるなど、サポートをさせていただいています。またYoomで連携させた後も、作業によっては人による確認・認証をワークフローに組み込ませるなど、人の目が介在する仕組みも取り入れています。
──今後の展望についてお聞かせください。
まずはあらゆる規模のお客様にYoom活用していただき、業務効率化によりコア業務に集中するためのサポートをしていきたいと思っております。特にSaaSをある程度使いこなしてはいても、複数にわたるが故の不便さを感じていらっしゃるバックオフィス担当者の方にはぜひ検討していただきたいです。
現在は複数SaaSを連携できることがYoomの強みですが、近い将来はAIを活用した業務の自動化──より幅広い業務に関して、自動化できるようにしていきたいと考えています。