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総務省行政管理局の「オフィス改革」 変わる需要に応えるからいきいきと働ける【前編】

2023.09.13
オフィスのミカタ編集部

新型コロナウィルスの感染拡大をきっかけに、テレワークをはじめとした新しい働き方を浸透させる活動が活性化した。2015年から「オフィス改革」を継続している総務省 行政管理局では、他の省庁と比べてもテレワーク実施率やペーパーレス化が進んでいる。オフィス改革を進める総務省 行政管理局 管理官室の田村寿氏と池田南美氏に、これまでの経緯や現状について伺った。前後編の2回でお届けする。

総務省行政管理局の若手でオフィス改革チーム発足&発信

総務省行政管理局でオフィス改革チームが発足したのは2015(平成27)年のことだ。チーム発足のきっかけは、松本文明政務官(当時)が海外の施設を見学した際、先進的なオフィスに感銘を受け
「ぜひ総務省でも取り入れたい」
と考えたことだという。少子高齢化など社会課題がある中、行政機関においても効率的かつ質の高い運営が求められている。特に国家公務員の働き方改革の重要性は高く、つい先ごろも国家公務員のなり手不足を受け、人事院が「週休3日」の働き方を可能とするよう、内閣と国会に勧告したほどだ。効率的な働き方改革を行うには、単に残業時間を減らすだけでなく、業務を抜本的に見直すことが必要だ。そこで行政管理局では従来とは異なるアプローチとして、1年生職員を中心とした若手メンバーでオフィス改革チームが発足した。

「チームとしての成果は大きく2つ感じられています。1つは、職員が働き方について深く考えるようになり、若手職員でも総務省の活動を対外的に発信できるようになったことです。この点は若手職員の育成という面にも寄与しました。もう1つは、オフィス視察を受け入れる体制が整ったことです。受け入れによってオフィス改革チームの活動が広く知られるようになりました」(池田氏)

特に若手職員が中心となって行動することで「自ら率先して考え・動く」習慣が生まれ、オフィス改革チーム以外でも積極的に行動し、発信する風土へと変わった。これは組織全体のパフォーマンス向上にもつながっている。

実際に行政管理局では国内の企業や自治体、海外政府の視察も受け入れており、現時点で5400人を超える視察者が訪問。多くの視察者が感銘を受けるポイントはワークショップ等での使用を念頭に設置した特徴的な会議室で、部屋を囲む3面の壁全体がホワイトボードになっており、室内の色彩も豊かで自由な発想が生まれやすいデザインとなっている。

また、視察を機にペーパーレス化が進んだり、フリーアドレス制が採用されたりなど、オフィス改革は民間企業や行政機関に広がっている。さらに2018年にはアメリカ行政学会でも講演を行うなど、発信においても海外にまで展開。各所に影響を与えてきたオフィス改革の取り組みは、これまでに「人事院総裁賞」や、内閣官房内閣人事局が行う「ワークライフバランス職場表彰」、「JFMA賞(日本ファシリティマネジメント大賞)」において奨励賞を受賞している。

変わる働き方のニーズに対応し続けることが重要

総務省行政管理局では、オフィス改革以前は、紙媒体を使用することが多く、「デスクスペースが狭くなる」「自分のデスクに行かないと仕事ができない」「積み上げられた紙によって周りが見えない」などの課題を抱えていた。その結果、コミュニケーションが円滑に進まない状況も生まれていた。

実務上も課題があった。例えば紙の文書を参照する際、一人の職員が使用していると「他の職員の使用が終わるまで自分の業務が進まない」「誰が文書を持っているのか分からない」などの声が多く上がった。

「紙媒体を主とする場合、公文書と私文書が混在して誤廃棄をしてしまうリスクもあります。文書は国民の皆様の大切な財産ですので、適切な管理が必要です。そのためにも、ペーパーレス化が進んでいるのです」(池田氏)

デジタル庁が所管する電子政府に関する部署は、もともと行政管理局が所管していたため、電子政府らしいオフィスレイアウトをコンセプトとして、オフィス改革が始まった。

2015 年に始まったオフィス改革では「フリーアドレス」と「近代的な曲線のデスク」を取り入れた。しかしフリーアドレスでは人事情報や機密情報を扱う管理職のパソコンが背後からのぞき込めてしまうという懸念が発覚し、管理職のデスクは固定化させることに。

またフリーアドレスでは探したい人がどこにいるのか分からないという課題も生じたため、課室ごとにエリアを固定するものの、エリア内の座席移動を自由とするグループアドレスを導入。現在もこの形が続いている。それでも最終的に課長と係員の距離は10.7mから1.2mに縮まり、約9割の職員が「満足」「仕事がしやすくなった」とアンケートに答えている。

「(行政がまさかと)びっくりされる方もいますが、幹部へ説明を行う際もパソコンを持ち込んで画面を見せながら話している光景が当局では日常になっています。印刷する手間や印刷ミスが防げるので効率的に業務が進められます」(池田氏)

改革はさらに続いた。まず曲線的なデスクだと自分の使用範囲が分からなくなったり、外部から受け取った紙媒体の資料が滑り落ちてしまったりするケースがあったため、直線的なデスクに戻した。新たなデスクにはローラー付きを採用し、業務状況に応じて迅速に対応できるレイアウトの可変性を残したという。

「たとえオフィス改革を行ったとしても、職員の需要は変わり続けます。出産や子育てといったライフイベントによっても理想の働き方は変わるので、常に最適な環境は何かを考え、働く職員の声に耳を傾け続けることが大切だと考えています」(池田氏)。

後編はこちら

総務省行政管理局の
「オフィス改革」
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