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法人登記とは?手続き方法や注意点を解説!

2022.04.01
オフィスのミカタ編集部

会社を設立した時には法人登記を行う必要がある。法人登記は法律で義務付けられているため、会社設立に際して必ず行わなければならない手続きの一つだ。登記をしていない場合はペナルティを課される可能性があり、注意を払わなければならない。本記事では、法人登記の手続き方法や注意点を解説するので、担当者は参考にしてほしい。

目次

●法人登記とは
●法人登記の申請方法
●法人登記に必要な書類
●登記事項に変更が生じた場合
●まとめ

法人登記とは

会社などの法人を設立する際にはさまざまな手続きが必要となるが、忘れてはならない手続きの一つに「法人登記」がある。まずは法人登記の概要について見ていこう。

法人登記の概要
法人登記とは、商号(社名)や本社所在地、代表者の氏名や住所などの事項を法務局に登録・開示できるようにする手続きのこと。法律で義務付けられている手続きの一つであり、法人設立の登記をして初めて法人格を得ることができる。

法人の種類は株式会社に加え、合同会社・合資会社といった「持分会社」や一般社団法人、一般財団法人やNPO法人なども含まれるが、どのような場合も登記を行う必要がある。

法人登記を行うメリット
そもそも起業をする場合、法人を設立せずに個人で事業を営むことも可能だ。しかし、法人登記を行い法人を設立することで、次のような2つのメリットを得られる。

1つ目のメリットは「社会的信用性の向上」だ。法人登記により、資本金や役員などが明らかになり、金融機関の融資や取引先の拡大などに役立てることができるだろう。

2つ目に「税制面」でのメリットが挙げられる。個人事業を行っている場合、利益が多くなると所得の負担が大きくなる(最大45%)。これは、所得が増えるほど税率が高くなる累進課税制度が適用されるためだ。一方、法人にかかる法人税は法人の規模によって固定されている(最大23.2%程度)ため、一般的には、利益が多い場合には法人化することで節税効果が得られるだろう。

法人登記と商業登記との違い
法人登記と似た言葉に「商業登記」がある。「法人登記」は、一般的に株式会社・一般財団法人など法人の設立において必要となる登記のこと。一方「商業登記」は、法人の設立だけでなく、会社の住所移転や役員変更、商号変更、増資や株式分割など、会社の経営上何らかの変更があった場合に必要な登記のことを言う。実務上同じ意味として使用されることも多いが、厳密には定義が異なるため覚えておきたい。

法人登記を行わないとどうなる?
法人登記には登記申請期限が設けられている。登記期限内の申請を怠ると、最高で100万円以下の過料を納めなければならない可能性がある。具体的な期間は、登記の発生事由が発生した時から、本社の所在地においては2週間、支店の所在地においては3週間以内となっている。申請期限を守り、正しく登記申請を行おう。

法人登記後に行うことは?
法人登記が完了した後、法務局において「登記事項証明書」と「印鑑証明」を取得するのが通常の流れだ。銀行での法人口座開設や、税務署・地方事務所への届け出に必要となるため、登記が完了したら忘れずに取得しよう。

法人登記の申請方法

法人登記を行う場合、申請方法は主に3つある。ここからは、代表的な申請方法をみていこう。

1.法務局に直接出向いて申請する方法
本社所在地を管轄する法務局へ直接出向き、法人登記申請を行うことができる。必要書類等に不備がなければ、受理されてから7日〜10日で法人登記を完了できる。提出書類に不備があった場合は、指定された期限内に再提出をしなければならない。

会社設立日は、法務局が申請を受け付けた日(または、不備書類があった場合は再提出の日)となる。設立日を指定したい場合は、配達日指定の郵便を利用するのが良いだろう。

注意点として、提出書類に不備がある場合を除き法務局側からの連絡はないため、登記の完了は自身で確認を行う必要がある事を覚えておきたい。

2.郵送で申請する方法
管轄の法務局宛に必要書類一式を郵送で申請する事も可能だ。郵送方法は問われないが、重要書類を郵送することから、追跡可能な簡易書留や特定記録などを利用することをおすすめする。この場合、会社設立日は書類が法務局に到着した日付になる。会社設立日を指定したい場合は、配達日指定などを利用することをおすすめする。

郵送の場合も書類に不備があるケースを除き、法務局からの連絡はないため自身での確認が必要だ。書類に不備があった場合の対応は、1の方法と同様の手順か、期限内に再度郵送し訂正を行う方法がある。

3.オンラインで申請する方法
法務局が用意する、登記・供託オンライン申請システムを利用し、登記申請を行うこともできる。1や2の方法と異なり、不備事項があった際の訂正は専用ソフトで行うことができるなど、インターネット上で様々な手続きが完結でき、利便性に優れている方法と言えるだろう。

ただし、この申請方法を利用する場合、専用ソフトをダウンロードする必要があるほか、オンライン登記に必要な申請人の電子署名・電子証明書なども事前に準備することが求められる(電子定款があれば、電子署名・電子証明書は不要)。

法人登記に必要な書類

法人登記に必要な代表的な提出書類は以下の通り。

1.登記申請書
2.定款
3.発起人の同意書
4.代表取締役を選定したことを証する書面(5.があれば不要)
5.代表取締役、取締役、監査役の就任承諾書
6.代表取締役の印鑑証明書
7.取締役、監査役の本人確認証明書
8.設立時取締役及び設立時監査役の調査報告書及びその附属書類
9.払込みを証する書面
10.資本金の額の計上に関する設立時代表取締役の証明書
11.委任状
12.印鑑届出書

ただし、申請内容や申請方法によって、提出書類は異なる。書類の過不足がないよう事前に法務局のホームページを参考にするか、電話などで直接確認するとよいだろう。

登記事項に変更が生じた場合

会社設立時だけでなく、登記事項に変更が生じた場合も登記申請が必要だ。

登記事項に変更が生じた際に行う手続きは「変更登記」と言う。変更登記は主に以下の場合に必要となる。

・住所変更
・役員変更
・事業目的の変更
・法人の解散時 など

設立時の登記と同様に、変更登記が必要となる事由が発生してから2週間以内に登記を行わなければならない。これを怠った場合も、代表者に対し100万円以下の過料が課される可能性がある。

また、最後に法人登記を行ってから12年間(一般社団法人や一般財団法人は5年間)変更登記が行われていない場合は、官報に広告が出され、一定の期限内に事業を継続している旨の届出を出す必要が生じる。申請を怠ると、会社が解散したとみなされ、会社が消滅することになってしまうため、速やかに登記申請を行うことが重要だ。

まとめ

会社設立の際に義務付けられている法人登記。登記を行うことで、対外的な信用を担保でき、銀行からの借り入れがしやすくなるといったメリットが得られる。法人登記を怠るとペナルティを課されるリスクもあるため、会社設立後には速やかな法人登記手続きを行うことが大切だ。法人登記を行う際には必要書類や申請方法をあらかじめ確認し、不備のない登記申請を行えるようにしよう。

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