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エンゲージメントとは?必要性やメリット、調査方法や向上させる施策

2022.04.25
オフィスのミカタ編集部

エンゲージメントとは、組織に対する従業員の愛着心を意味する言葉で、双方が信頼し成長に貢献し合う関係を指す。エンゲージメントを高めることは企業の成長に繋がるため、近年注目されている経営手法だ。そこで本記事では、エンゲージメントの概要・必要性や得られるメリット、エンゲージメントの調査方法や効果的な施策について紹介する。

目次

●エンゲージメントとは?
●エンゲージメントを高めることで得られるメリット
●従業員エンゲージメントの要素
●従業員エンゲージメントの調査方法
●従業員エンゲージメントを高める施策とは
●まとめ

エンゲージメントとは?

「エンゲージメント(engagement)」とは、組織に対する従業員の愛着心を意味する言葉のこと。人事領域においては、「従業員と組織が互いに信頼し、成長に貢献し合う関係」を意味する。その考え方は、「従業員が成長し、仕事へのモチベーションを高めることは、組織の成長に繋がる」「組織の成長は、従業員の成長や仕事へのモチベーションを高めることに繋がる」という理論に基づいている。

従業員と組織との間に深い絆や結びつきがある状態は、「エンゲージメントが高い」と表現される。エンゲージメントが高い組織では、従業員が自身と組織の成長に向けて意欲的に取り組む特徴がある。お互いの絆を深めながら成長し合えるため、企業経営にプラスの効果が期待できる。

エンゲージメントが注目されている背景
エンゲージメントの重要性は、組織経営において注目されている。その背景は、次の通りだ。

・人材の流動化
終身雇用制度の崩壊や職業観の変化などに伴い、労働者がより良い待遇や環境を求めて転職する動きが加速。少子化による人材不足もあいまって、人材が流出している。

・多様な働き方
国が主導している「働き方改革」により、副業の解禁やテレワークの推進がなされている。多様な働き方が可能となったことで、理想の職場を求めて転職するケースが増えている。

エンゲージメントの高い組織を実現できれば、人材の流動化や多様な働き方への対応が可能となる。組織が人材を確保し成長し続けるためにも、エンゲージメントは重要な施策と言えるだろう。

従業員満足度・ロイヤルティとの違い
エンゲージメントと混同されやすい言葉として、「従業員満足度」と「ロイヤルティ(Loyalty)」がある。それぞれの意味は以下の通りだ。

従業員満足度:従業員の労働環境や待遇、働きがいなどに対しての満足度を指す
ロイヤルティ(Loyalty):忠誠心を意味する言葉。組織に対する従業員の忠実度を指す

従業員満足度とロイヤルティ、エンゲージメントとの違いは、その結びつき方にある。エンゲージメントは、会社と従業員が互いに関わり合いながら、結びつきを深めている。一方、従業員満足度は従業員からみる環境や待遇などに対する会社の評価であり、会社側の取り組みに応じて満足度は変化する。ロイヤルティは、会社と組織が主従の関係にあることを表しており、会社に対しての従業員の忠誠心を意味するだろう。

エンゲージメントを高めることで得られるメリット

ここからは、エンゲージメントを高めると、組織にとってどのようなメリットがあるのかを見ていこう。

【メリット1】組織の生産性向上
エンゲージメントを高めると、組織の生産性向上が期待できる。従業員が組織の方向性などに共感していることで、仕事上の意見を出したり問題を解決したりするなど、自発的な行動が期待できるためだ。自身が組織の成長に貢献していると感じることで仕事へのモチベーションも高まるため、課題などに対して積極的に行動するようになるだろう。

【メリット2】従業員の離職率の低下
エンゲージメントが高い場合、従業員は組織のビジョンなどに共感し、働くことの価値を見出している。労働環境や待遇といった「条件」だけで会社と繋がっている訳ではないため、従業員の離職率を低下させることが可能だ。人材の流出を防止できるため、定着率も向上するだろう。

従業員エンゲージメントの要素

ここからは、エンゲージメントの高い組織を目指す際に知っておきたい、従業員のエンゲージメント要素を紹介する。

会社ビジョンへの共感
エンゲージメントを高めるためには、従業員が会社のビジョンに対して共感することが大切だ。ビジョンとは、企業の進む方向性を示すもの。ビジョンに対して共感することで自身の目指すべき方向を意識でき、目的を持った行動ができるようになるだろう。

仕事のやりがい
仕事のやりがいを創出することも、大切な要素となる。長期的な視点で考えた場合、給与や福利厚生などの待遇だけでなく、従業員の特性に合わせて活躍できる環境を整えることも重要だ。

例えば、能力に応じて従業員を適材適所へ配置したり、従業員が希望した業務に挑戦できる社内フリーエージェント制を導入したりといった施策が考えられるだろう。

働きやすい環境
働きやすい環境も、要素の1つとなる。仕事へのモチベーションを維持するためには、心身ともに健やかな状態であることが理想だ。

例えば、社員同士がコミュニケーションを取るために社内イベントを計画したり、時間外勤務や休日出勤を減らしてワーク・ライフバランスを向上したりするとよいだろう。

従業員エンゲージメントの調査方法

従業員エンゲージメントを調査すれば、組織にとって解決すべき課題を把握し、現状を可視化できる。従業員エンゲージメントを調査する方法としては、アンケート調査を活用するのが一般的だ。アンケート調査は比較的手軽にできる調査方法のため、定期的に実施している企業も多い。ここからは、社内調査「エンゲージメントサーベイ」について見ていこう。

アンケート調査:エンゲージメントサーベイ
エンゲージメントサーベイとは、従業員のエンゲージメントを数値化し、現状を把握するための調査だ。インターネット上で行うアンケート調査で、各社さまざまなエンゲージメントサーベイが提供されている。そのため、「知りたいことが把握できるか」「信頼性のある調査設計であるか」などを確認し、自社にあったサービスを選ぶとよいだろう。ここからは、具体的な質問項目例について紹介する。

エンゲージメントサーベイの質問項目
従業員エンゲージメントは、以下のような質問項目について10段階などで評価し、従業員に回答してもらうことで判断する。

【質問項目例】
・最近1週間で、良い仕事をしていると認められたり、褒められたりした
・仕事をする上で、もっとも得意とすることを行う機会を毎日持っている
・あなたは現在の職場を親しい友人や家族にどれくらい勧めたいと思いますか

組織はこれらの質問について分析することで、見えにくかった課題を浮き彫りにすることが可能となるだろう。

従業員エンゲージメントを高める施策とは

ここからは、従業員エンゲージメントを高めるための施策について紹介する。

施策1:従業員の価値観の把握
従業員エンゲージメントを高めるためには、従業員の価値観を把握することが大切だ。「仕事をバリバリこなしたい」「仕事だけでなく、私生活も充実させたい」など、従業員一人ひとりで考え方や価値観は違う。定期的に個々のヒアリングを実施して、従業員が働く上で何を重要と考えているのかを把握しよう。

施策2:適切な人事制度評価
適切な人事評価制度の導入も施策の1つだ。会社への貢献度に応じた評価制度を導入し、適正に評価することも大切となる。数字だけでは評価できない、リーダーシップを含めた評価システムを構築するのがおすすめだ。

施策3:マネジメント層の教育
上司などマネジメント層は、部下のモチベーションを向上させたり仕事をサポートしたりする役割がある。そのため、マネジメント層の教育も必要となるだろう。コーチングや部下への教育に関するトレーニングなど必要な教育を行い、従業員エンゲージメントを高めよう。

まとめ

エンゲージメントは、人材の流動化や多様な働き方に対応することができる、近年注目されている考え方だ。組織と従業員双方が共に成長し合える関係性を構築することで、人材を確保し、組織の生産性を向上させるメリットがある。従業員のエンゲージメントを維持するためには、働きやすい環境だけでなく、仕事へのやりがいを創出することなども大切だ。

現在の組織課題を浮き彫りにするためには、「エンゲージメントサーベイ」というアンケート調査を活用する方法がある。課題を可視化し従業員エンゲージメントを高めることができるため、検討するとよいだろう。従業員エンゲージメントを高める施策なども参考にして、企業経営に役立ててもらいたい。