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Dropbox・Box・Google・Microsoft。主要法人用クラウドストレージサービスの特徴をもとに選定・導入のポイントを解説

2022.06.01
オフィスのミカタ編集部

大量のデータをクラウド上に保存できるクラウドストレージは、今や企業活動になくてはならない存在だ。今回は主要法人用のクラウドストレージサービスを機能別に比較、紹介していく。導入や切り替えを検討している方は、選定のポイントなどについても解説するのでぜひ参考にしてほしい。

企業で使うクラウドストレージに個人向けはおすすめできない

個人向けのクラウドストレージを利用しているという人は多いと思うが、個人向けに提供されているサービスをそのまま企業で利用するのはお勧めできない。法人向けサービスは管理機能やバックアップ機能、アクセス制限など個人向けとは違った機能を有している。また、個人用と比べて堅牢なセキュリティが設定されている点も見逃せない。

Dropbox・Box・Google ドライブ・OneDriveの主要サービス比較

法人用クラウドストレージサービスの代表的な存在となる「Dropbox」「Box」「Google ドライブ」「OneDrive」。個人用クラウドストレージを提供しているサービスもあり、馴染みがある人も多いのではないだろうか。今回はこの4つについて比較していく。

クラウドストレージの仕組みやサービス選定のポイントなど、もっとクラウドストレージについて掘り下げて知りたい方は、以下の記事を一読してほしい。

クラウドストレージとは?リモートワーク環境での情報共有をセキュアに

主要クラウドストレージの機能・価格を比較

主要クラウドストレージの機能・価格を比較

Box ビジネスに特化したクラウドストレージとして提供されている「Box」。全てのビジネスファイルを保存、編集でき、容量無制限で7段階のアクセス権限を設定できるなど、使い勝手の良さに定評がある。

http://www.box-ctc.com/about_box.html

Dropbox Business 数百万のユーザーが利用するDropboxのビジネス版である「Dropbox Business」は、個人利用での使い勝手の良さはそのままに、セキュリティやサポート、容量が強化されたサービス。ファイル管理の簡便さの向上に役立つだろう。

https://www.dropbox.com/ja/

Google ドライブ 多くの人が個人でも利用している「Googleドライブ」は、ユーザビリティの高さが特徴で、ビジネス向けに導入してもすぐに使いこなせるようになるのが強み。チーム用の共有ドライブが追加されるほか、さまざまな連携サービスがあるため多くの作業をGoogle内で済ませたいという企業にピッタリだ。

https://www.google.com/intl/ja_jp/drive/

OneDrive  「OneDrive」は、Microsoftが提供するクラウドストレージで、ファイルの共有や共同作業がどこにいてもできる。世界中で利用されており、全米企業の上位500を示すフォーチュン500企業の85%以上が利用しているとされる。セキュリティの高さとサポート機能の充実では他の追随を許さないといえるだろう。

https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/onedrive/online-cloud-storage

保存容量を比較

各サービスで基本の保存容量に違いはあるが、追加で容量を増やすことができるため、比べるべきは、個々のアップロード可能サイズにある。
アップロードできる最大ファイルサイズは、BOXでは利用コースにより異なるが250MG〜5GBまで幅広い。Dropbox Businessは特に規定はなく、Google ドライブは形式によって異なり50 MB〜5TBとなっている。OneDriveは、100GBが最大サイズと設定している。
自社で保存することの多いファイルサイズを事前に調査し、いざサービスを利用し始めたら保存ができなかったといことがないようにしたい。

ファイル共有や共有作業の可否

社内の書類を保存するからにはファイルの共有やクラウドストレージ内で共有作業ができないと、活用する意味がない。主要クラウドストレージは基本的にどちらも可能だ。ただ、Google ドライブに関してはBusiness Starterというプランでは共有ドライブの利用ができないため、利用するならもう1つ上のプランから選ぶとよいだろう。

検索性の高さを比較

多くのファイルを格納していくクラウドストレージにおいて、検索性の高さは重要な要素。しかし、主要なクラウドストレージサービス4社なだけあって、どれもファイル名およびファイル内のテキストの検索もでき、高い検索性を誇っている。

ファイル復元機能を比較

誤ってゴミ箱に入れてしまったファイルや削除してしまったファイルを復元したい場合の対応は各サービスで若干異なる。Boxは削除してしまったファイルに関しては復元が不可なので注意が必要だが、ゴミ箱から削除する権限を限定したり、ゴミ箱の利用自体を不可にしたりすることもできるため、事前の設定次第で危険を回避できるだろう。

Dropbox Businessは、利用プランによって日数が異なり、30日もしくは180日となる。さらに、フォルダやアカウント全体を前述の期間の時点まで戻せる巻き戻し機能も搭載しており、大きな障害が起きたときや深刻な被害を受けた際に修正や復元が容易なことも大きなポイントだ。

GoogleドライブとOneDriveは30日以内の復元が可能だ。

サポート機能を比較

運用していて疑問に思ったことやトラブルに見舞われた場合に頼りになるサポート機能もしっかりと比較・検討したい。

Boxはサポートポータルサイト経由での問い合わせとなり、対応日時は祝祭日および年末年始(12月29日~1月3日)を除く月曜日から金曜日の9 :00〜18:00。また、利用者向け、管理者向けのトレーニングメニューも提供している(有償)。

Dropbox Businessは、利用プランによって利用できるサポート機能が変わるが、プレミアムサポートであれば日本語で24時間対応している。電話サポートおよびチャットサービスは営業時間(9 :00〜17:00)内となる。

Google ドライブの問い合わせは24時間365日対応で、オンラインで日本語でのサポートが受けられる。3種類のサポートサービスがあり、利用プランによって内容が変わる。

OneDriveは24時間年中無休の電話/オンラインサポートをしていて心強い存在だ。

セキュリティ対応を比較

Boxはセキュリティ対策としてBox KeySafeというサービスを提供しており、暗号キーの管理を容易にしてデータの機密性を強固に制御できる仕組みを構築している。また、フォルダごとに7段階のアクセス制限が設定できるのも特徴だ。

Dropbox Businessは56 ビットの AES 暗号化と SSL/TLS 暗号化や2 段階認証(2FA)の有効化を全プランに適用しているなど、高いセキュリティ対応を誇っている。

Google ドライブは、2 段階認証プロセスとエンドポイント管理はすべてのプランで利用でき、上位プランになると、セキュア LDAP やDLP(機密情報を特定、監視、保護する高度なデータ損失防止機能)、S/MIME 暗号化といった機能も利用できる。

OneDriveはデータの暗号化はもちろんのこと、DLPの利用やファイルの監査や報告、電子情報開示などの機能を有している。

無料トライアルの有無

Google ドライブ以外は約1カ月の無料トライアルが利用でき、多くの場合は有料版と同じ機能が使用できる。Google ドライブはもともと無料版が存在するため、特に有料版の無料トライアルはない。有料版と無料版とでは容量やサポート機能の有無などに大きな違いがあるため、法人利用をする場合は有料版を利用するのが賢明だろう。無料版からのアップグレードもできるので検討してほしい。

機能もインターフェイスも異なるため導入には現場の使用感を必ず確認

個人利用経験があるクラウドストレージでも法人版となると、機能やインターフェイスも若干異なるため、導入前に現場で利用する従業員に使用感を確認することも忘れずにしてほしい。実際に使ってみて利用しやすいサービスを導入することで、ストレスなく活用できるだろう。

法人向けオンラインストレージを選ぶポイント

これからクラウドストレージの導入を検討している場合、どのサービスを利用するのが自社にとって最も効率的かを見極めるポイントについて解説する。

セキュリティ(安全性)
まず最も重視したいのがセキュリティだ。保存したファイルには社外秘のものも多く存在するため、情報漏洩えいなどが起きると社会的信用が失墜してしまう。

料金とデータ容量
データ容量は多ければ多いほど安心、と思うかもしれないが、容量が多いということはその分料金が高い可能性がある。格納するのは文書データばかりで大したデータ量にはならないといった場合も考えられるので、自社が保存するデータがどれだけの容量があるのか、まずは確認してほしい。多くのサービスでは後から容量を追加することができるため、そういったやり方も検討しながら容量を選んでみよう。

サポート体制
基本的にはファイルを保存、共有するクラウドストレージでサポートを利用することはあまりないかもしれないが、何かトラブルが起きた際に、心強いサポート体制が設定されているのかもチェックしておきたい。外資系サービスの場合に英語対応のみだったり、利用料金は安いけれどサポート体制が皆無だったりするケースもあるので注意が必要だ。

対応可能デバイス
多くの場合マルチデバイス対応をしているが、念の為、パソコンの他にタブレットやスマートフォンといった複数のデバイスで利用できるか確認したい。

課金方式
サービスによって課金方式は異なり、ユーザー単位だったり、容量単位、定額プランだったりと様々だ。ユーザー数が少ないならばユーザー単位を、容量を多く使う可能性がある場合は定額プランを選ぶなど工夫したい。また、毎月請求するタイプと年間プランとあり、年間プランの方が安く設定されているが、返金がないケースもあるため慎重に見極めたい。

社外ファイル共有に活用できるファイル転送に強いサービスとの併用も一手

社内だけでなく、社外の取引先とのファイル共有時に役立つサービスを紹介する。

GigaCC ASP
企業間のファイル転送・共有サービスを提供している純国産の「GigaCC ASP」。2002年のサービス開始以来20万人が利用しているトップクラスの実績を誇っている。複数の取引先に異なるファイルを送信する業務を簡単に仕組み化する機能を有し、業務効率化が大幅に推進できる。日本企業に最適化されたセキュリティ機能も魅力の一つだ。無料トライアルも行っているので、気になる方は問い合わせてみてほしい。

https://www.gigaccsecure.jp/

クリプト便
金融業界などの高いセキュリティが求められる業界から信頼の厚い「クリプト便」は、メール添付のような気軽さと配達証明の書留以上の安心感を実現したユーザー間ファイル転送サービスだ。情報セキュリティ管理に関する国際規格のISO/IEC 27017や個人情報管理に関する国際規格ISO/IEC 27018の認証を取得、さらに、クレジットカード業界の国際的なセキュリティ基準に準拠した認証も取得している。高セキュリティのファイル転送サービスを求めているならクリプト便一択だろう。1カ月の無料試用ができるのでぜひ、活用してほしい。

https://www.nri-secure.co.jp/service/solution/crypto

Bizストレージファイルシェア
NTTコミュニケーションズが提供するファイル転送・共有サービスの「Bizストレージファイルシェア」は、Webブラウザーだけで2GBのファイルのやり取りができ、メールの容量制限による送信エラーを起こすことなく業務効率をアップすることができる。送信先制限や上長承認制を利用でき、誤送信や情報漏えいのリスクの軽減にも役立つ。14日間の無料試用が可能だ。

https://www.ntt.com/business/services/application/online-storage/bst-sh.html

まとめ

e-文書法の施行やリモートワークの推進により、電子文書の需要は高まる一方だ。それに
比例するように電子文書の保存やファイルの共有、転送などの需要も高まっている。クラウドストレージを提供しているベンダーの多くは、大容量のファイル格納や、高セキュリティを謳っており、比較検討が難しい一面がある。自社にとって有用な機能は何か、どれくらいの容量があればいいのかを社内で検討し、運用にマッチしたクラウドストレージを選択してほしい。