オフィスのミカタとは
従業員の働きがい向上に務める皆様のための完全無料で使える
総務・人事・経理・管理部/バックオフィス業界専門メディア「オフィスのミカタ」

経理業務におけるDX。重要性やメリット、推進の方法や知っておきたいコツ

2022.06.24
オフィスのミカタ編集部

新たな企業価値を創造するための「DX」推進が、昨今大きな注目を集めている。経理業務において、どのようにDXを推進すればよいのか知りたいという担当者もいるのではないだろうか。本記事では、DXの概要や経理業務にDXが必要となる理由やメリット、推進方法や推進する際のコツを紹介する。

目次

●そもそもDXとは?
●経理業務にDXが必要となる理由
●経理業務でDXを推進するメリット
●経理業務でDXを推進する方法
●経理業務でDXを推進する際のコツ
●まとめ

そもそもDXとは?

経理業務においてDXを推進するためには、DXの概要を把握することが大切だ。まずは、DXの定義について解説する。

DXの定義
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、企業が市場競争力を強化するために、デジタル技術を活用して行う経営革新のこと。総務省に明記されているDXの定義をまとめると、次の通りとなる。

・企業が顧客や市場変化に対応し組織や企業文化を変革しながら、データやソーシャル技術などを利用して新しい製品やサービス、ビジネスモデルにおいて価値を創出し、競争上の優位性を確立すること

このように、ビジネスにおいてのDXは、変化の激しいビジネス環境に対応するべくデジタル技術を活用し、企業間の競争において自社の優位性を確立することが目的となる。

参考:総務省「デジタル・トランスフォーメーションの定義」

DXと混同されやすい用語
DXと混同されやすい用語に、「デジタイゼーション」と「デジタライゼーション」という言葉がある。それぞれの言葉の意味は、以下の通りだ。

デジタイゼーション:個別のアナログ業務をデジタル化すること
デジタライゼーション:外部環境・ビジネスモデルなどプロセス全体をデジタル化し変革すること

デジタイゼーションとデジタライゼーションは共に、業務効率化のために行う取り組みだ。デジタイゼーションは局所的、デジタライゼーションは全域的に行う「デジタル化」を指す。一方、デジタルトランスフォーメーションは、企業の取り組みを超えて社会に影響をもたらすことまでを目的としたものとなる。

経理業務にDXが必要となる理由

経理業務には、DXの推進が不可欠だ。ここでは、経理業務にDXが必要となる理由を解説する。

お金に関わる重要な業務であるため
経理部門は、会社の決算業務や従業員への給料振込、取引先への支払いなど、企業のお金に関わる重要な業務を担う。そのため、業務上のミスが起きた場合、大きな問題やトラブルに発展し、社内外の信用を無くす恐れがある。DXを推進すれば、経理業務の手作業による人為的ミスの防止が期待できる。

また、経理業務は重要な業務でありながら、「情報を紙に残す」「書類に直接ハンコを押印する」など紙ベースの非効率な業務を行っている企業が多いことも、DXを推進すべき理由だろう。

属人化しやすい業務であるため
専門的な知識を必要とする場合も多く、属人化しやすい業務であることも、経理業務にDXが必要な理由の1つだ。特定の社員しか知り得ない業務が存在する場合、担当者の不在時に業務が滞るケースが想定される。DXを推進できれば、誰でも情報の確認がしやすくなり、同じ品質で作業を行えるだろう。

「2025年の壁」に直面する恐れがあるため
「2025年の崖」とは、DXを推進しない場合に想定される「国際競争の遅れ」や「日本経済の大損失」を示した言葉のこと。経済産業省が2018年9月に発表した「DXレポート」に記載されている。既存の自社システムは老朽化・複雑化した「レガシーシステム」となっており、一部の社員しか扱い方を把握しておらず「ブラックボックス化」していることが現状の問題だ。

企業のIT人材が不足したまま既存システムの老朽化が進んだ場合、2025年には年間最大12兆円の経済損失が生じるとされている。2025年の壁を回避するためにも、デジタル技術を活用し、システムの刷新を行うことが必要だ。

経理業務でDXを推進するメリット

ここからは、経理業務でDXを推進するメリットを見ていきたい。

業務効率の向上
経理業務において、集計業務や帳簿作成などに要する手作業を自動化できれば、業務の効率化が実現できる。浮いた時間でマネジメントやガバナンスなどのコア業務に専念することができるほか、人為的ミスを防ぐことも可能だ。誰でも同じ品質やスピートで作業を行えるため、担当者の不在時には他の社員で作業を行うこともできる。

コスト削減
経理業務でDXを推進することで、コスト削減も期待できる。業務をデジタル化することにより、紙代や印刷代、郵送代などが不要となる。書類の保管やファイリングにかかる費用、管理にかかる人的リソースも不要となるだろう。

環境貢献に対しての評価向上
経理業務でDXを実現することは、環境に配慮した活動にも繋がる。例えば、ペーパーレス化が進めば紙が不要となるため、森林伐採を減少させることができる。また、印刷や郵送、廃棄する際に発生する二酸化炭素の排出量を削減することも可能だ。環境保護に対する姿勢を企業として対外的にアピールできるため、社会的評価も上がるだろう。

経理業務でDXを推進する方法

経理業務ではどのようにDXを進めるとよいのか、気になる担当者もいるのではないだろうか。具体的なDXの推進方法を紹介するので、自社に適した方法を選択する際の参考にして欲しい。

関係書類のペーパーレス化
経理業務のDX推進でまず取り組みたいのは、関係書類のペーパーレス化だ。請求書や納品書、領収書や伝票など紙ベースで存在する書類は、電子化するとよいだろう。パソコンで作成した書類はそのままデジタルデータで保管するほか、紙で受領した書類はスキャンしてPDF化するといった工夫で、書類の確認や管理にかかる手間を削減できる。

印鑑の電子化
書類を電子化するだけでなく、社内の承認手続きや取引先との契約時に必要なハンコの押印作業も、併せて電子化を検討するとよいだろう。電子印鑑は、第三者機関である電子認証局が発行した電子証明書が付いており、信頼性が担保されている。印鑑を電子化すれば、ペーパーレス化が促進されるほか、ハンコの押印作業のために出社する必要も無くなる。

システム連携
経理業務は、データ集計や決算業務など、定型業務が多く存在する。これらの業務を自動化すれば、手作業によるミスの防止や工数の削減が可能だ。経費精算システムや会計システムなど業務内容に適したシステムを導入したのち、これらのシステムをさらに連携することで、いつでもリアルタイムに知りたい情報が確認できる。

データを利用した迅速な経営判断が可能となるほか、会社全体で業務の効率化が目指せるだろう。

経理業務でDXを推進する際のコツ

経理業務でDXを推進するために、知っておきたいコツを紹介する。

業務内容を整理する
まずは、個々が行う業務内容を整理し、業務を「見える化」しよう。そうすることで、経理業務の抱える課題が明らかになり、DXが必要な業務と不要な業務を知ることができる。DXの効果を実感するためにも、業務効率化やコスト削減が期待できる業務から優先的に取り組もう。

関連部署や取引先と連携する
経理のDXを推進するためには、関連する他部署や取引先との連携も欠かせない。経理業務は他部署や取引先との関わりが多くミスが許されない業務であるため、コミュニケーションを密に図ることが大切となる。DXを推進する目的やメリットをしっかりと説明し、関係各所に理解や協力を求めよう。

まとめ

経理業務におけるDXのメリットや推進方法について紹介した。経理業務は多くのアナログ業務が残っており、属人化しやすい業務だ。経理業務でDXを推進すれば、業務効率の向上やコスト削減など多くのメリットが期待できる。

「ペーパーレス化」や「印鑑の電子化」、「システム連携」といった推進方法の中から、自社に適した方法を選択するとよいだろう。DX推進時のコツも参考に、経理業務のDXに取り組んで欲しい。