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法務業務のアウトソーシングとは。切り出せる業務や得られるメリット、注意点などを解説!

2022.05.26
オフィスのミカタ編集部

法務業務のアウトソーシングを検討する際、どのようなポイントに注意する必要があるのだろうか。法務業務と一口に言っても、契約法務から知的財産・コンプライアンスなど、その業務は多岐に渡る。全ての業務をアウトソーシングするのか、一部のみにするのか、迷っている担当者も多いのではないだろうか。本記事では、法務業務をアウトソーシングする際の注意点や、アウトソーシングで得られるメリットなどを解説するので参考にしてほしい。

目次

●法務業務のアウトソーシングとは
●法務業務のアウトソーシングで得られるメリット
●法務業務をアウトソーシングする際の注意点
●リーガルテックツールの活用も有効
●まとめ

法務業務のアウトソーシングとは

専門的かつ多岐に渡る法務業務をアウトソーシングすることで、自社に足りない専門性を補ったり、業務効率化を図りたいと考えたりすることもあるだろう。法務業務では、どのような業務がアウトソーシングの対象になるのだろうか。まずは、代表的な法務業務とアウトソーシングができる業務内容について紹介する。

法務業務の概要
まず、代表的な法務業務は以下に挙げられる。

・契約法務
・機関法務(ガバナンス)
・労務
・紛争対応
・法律相談
・コンプライアンス
・知的財産

法務業務は、高度な法知識が求められるなど専門性の高い業務だ。十分な法的知識を持ち得ていないなどといった場合には、業務内容の確認などに手間がかかるほか、トラブルなどに発展してしまう恐れもある。そのため、アウトソーシングを活用するなどし、専門性を担保することも考えておきたい。

アウトソーシングの対象となる、主な法務業務
アウトソーシングが可能な主な法務業務は以下の通り。

・契約審査
・ガバナンス構築・運用
・株主総会・取締役会運営
・社内規程の検討・整備・策定・運用
・少額訴訟対応
・法律相談
・新規サービスの法令適合性および日常的な法令調査
・商標等知的財産の管理 など

いずれの業務も専門性が高く、担当者は高度な専門知識を有する人材であることが望ましい。しかし、法務部門に十分な人員を割けないなどといった場合には、アウトソーシングが課題解決の近道になるだろう。

委託先に応じたアウトソース時の注意点
法務業務のアウトソーシングは、一般的に弁護士、司法書士、弁理士などに委託することが多い。ただし弁護士法などにより委託業務が規制されている場合もあり、アウトソーシング先の選定は法令順守の観点をふまえて検討を行う必要がある。

特に注意が必要なのは、弁護士以外の法律専門職である司法書士や弁理士に対し業務委託する場合だ。弁護士法72条に定められている「非弁護士の法律事務の取り扱いの禁止」に抵触しない範囲での委託となるため、委託したい業務と委託先の取り扱える業務に問題が生じないかどうかをしっかりと確認しておきたい。

司法書士と弁理士に委託できる主な業務は以下の通り。

<司法書士に委託できる主な業務>
・登記
・供託手続きの代理
・法務局へ提出する書類の作成
・簡易裁判所における訴額140万円以下の訴訟および民事調停、和解等の代理(法務大臣認定を受けている場合に限る) など


<弁理士に委託できる主な業務>
・特許、実用新案、意匠、商標などの知的財産権に関する出願代理業務および審査請求業務
・特許などの権利売買およびライセンス交渉に関する契約関連業務 など

法務業務のアウトソーシングで得られるメリット

法務業務をアウトソーシングすることで、どのようなメリットが得られるのだろうか。

生産性の向上が期待できる
外部専門家を活用することで、自社業務の切り出しが可能になる。それにより、社員が本来行いたいコア業務に集中できるため、生産性の向上が期待できる。

質の高いアウトプットが期待できる
弁護士などの法律専門職へアウトソーシングを行えば、高い専門性が保証される。これにより、自社で業務を行う場合と比べて、質を高めたり、効率的に業務を遂行したりすることが可能だ。また、法律専門職の中には、特定の分野に強みを有する人も多く、より専門性の高い業務についての質の高いアウトプットが期待できる場合もある。

法務業務をアウトソーシングする際の注意点

実際に法務業務のアウトソーシングを検討する際にはどのような注意点があるのだろうか。ここでは、知っておきたい注意点を紹介する。

アウトソーシングする業務の切り分け
まずは、アウトソーシングする業務範囲を検討することが重要だ。社内の法務業務のうち、どの分野の業務をアウトソーシングし、どの業務を自社で行うのか、費用対効果や業務の性質に鑑み検討する必要がある。

社内の内部事情をしっかり説明する
アウトソーシング先に対し、社内の事情をきちんと説明しておくことも重要だ。外部の専門家は会社の内部事情に精通しておらず、的確なアウトプットを行うことができない場合もあるため注意が必要だ。アウトソーシングする際には、社内の法務から外部専門家に内部事情の共有を行うことが望ましい。

外部の専門家の知見を学ぶ
アウトソーシングすることで、業務知識やノウハウが社内に蓄積されにくいという点も注意しておこう。委託した業務に関しても、可能な範囲で業務に関する理解や知識を深めておくことが望ましい。それにより、外部専門家のアウトプットの業務への活用や、業務ノウハウの社内への蓄積にもつながるだろう。

リーガルテックツールの活用も有効

近年では利便性の高いリーガルテックツールも増えている。リーガルテックツールとは、法律にかかわる業務を電子化し、業務効率化を図るサービスを指す。代表的なリーガルテックツールは、「AIによる契約書レビュー支援ツール」や、「契約書管理ツール」などが挙げられる。アウトソーシングによるメリットも大きいが、リーガルテックツールを活用することでも法務業務を効率化することは可能だ。ツールの活用で、契約書のレビュー時間の削減や、難易度の高い契約書の作成なども可能になるため、より高度な業務へ注力する余力を生むことも期待できるだろう。アウトソーシングを迷っている場合には、まずこれらのリーガルテックツールの活用の検討を行ってみてはいかがだろうか。

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まとめ

法務業務は、その専門性の高さからアウトソーシングにより得られるメリットも大きいと言える。しかし、委託業務範囲の確認や、委託先が請け負える業務なのかどうかを予め確認しておくことも重要だ。また近年ではリーガルテックツールも発展しており、業務効率化に役立てることもできるため覚えておきたい。自社に適した方法で法務業務の効率化を検討してみてはいかがだろうか。