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資産管理とは?資産の種類や管理方法、資産管理の重要性などをまとめて解説!

2022.07.22
オフィスのミカタ編集部

資産管理とは、企業が保有する物品や権利などの有形・無形資産を管理すること。資産をきちんと管理しておかないと、会社資産の私物化などさまざまなトラブルにつながりかねない。そのため資産管理を行う担当者は、資産管理の基本や運用方法などをしっかりと把握しておく必要がある。本記事では、資産管理の概要や重要性などを解説する。資産管理の理解を深めるために役立ててほしい。

目次

●資産管理とは
●資産の種類
●固定資産管理業務の重要性
●資産管理を怠るとどうなる?
●まとめ

資産管理とは

資産管理とは会社が保有する資産の管理を行うことだ。「資産」は「総資産」とも呼ばれ、会社が保有する全財産のことを指す。具体的には現金、預金、株式、土地、自社ビル、社用車、商品、設備、債権などが資産に含まれる。資産は「流動資産」、「固定資産」、「繰延資産」の3つに分類できる。資産管理業務では主にこの3つの資産の管理を行う。

資産の種類

先述の通り資産には「流動資産」、「固定資産」、「繰延資産」の3つの種類がある。ここではそれぞれの資産の詳細を確認しよう。

流動資産
流動資産とは、短期間で現金化することが可能な資産を指す。仕入れ・製造・販売・回収などといった企業活動のサイクルの中で発生する資産のほか、1年以内に現金化できるものが流動資産に含まれる。流動資産に含まれる主な資産は以下の通りだ。

・現金預金(事業目的の現金・預金のみ。1年以内に満期となる定期預金も含む)
・受取手形
・商品(仕入れたまま販売できるもの)
・製品(自社で製造・加工を行い、販売可能な状態のもの)
・有価証券(株券・債権などの有価証券のうち満期日が「1年以内」のもの)
・未収金
・前払費用
・貸倒引当金

固定資産
固定資産は流動資産と違い、1年以内に現金化が難しい長期に保存する資産を指す。固定資産は取得金額が高額であることが多く、毎年の会計処理において減価償却し費用に計上する必要がある。ただし使用期間が1年に満たないものは固定資産には該当せず、消耗品費となる。さらに、「有形固定資産」と「無形固定資産」に分類され、前者は主に土地などの不動産、後者は主に特許権などの法律上の権利などが該当する。代表的な固定資産は下記の通りだ。

・建物
・構築物
・機械装置
・一括償却資産
・土地
・車両運搬具
・工具器具備品
・減価償却累計額
・漁業権
・ダム使用権
・水利権
・特許権
・実用新案権
・意匠権
・商標権
・ソフトウェア
・育成権
・営業権
・敷金、保証金

これらの固定資産はさらに「減価償却資産」と「非減価償却資産」に分類される。減価償却資産は、建物・機械・ソフトウェアなど経年で価値が下がるものを指し、土地や権利など価値が変わらないものは非減価償却資産に該当する。

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繰延資産
繰延資産は、会社が支出する費用のうち、支出効果が1年以上に及ぶ資産のことを指す。例えば、「創立費」「開業費」などは費用の効果が1年を超えて続くという理由から、特別にその費用を分割し計上できる。会社設立後間もない段階では、十分な売上を計上できないケースもあるだろう。そういった場合に、会社設立費用を一度に計上してしまうと、初年度が赤字となり、経営を圧迫してしまいかねない。設立にかかる費用を繰延資産に計上できれば、しばらくは税負担が軽減されることになる。なお、会計上、繰延資産の対象となる項目は以下の5つに限定されている。

・創立費
・開業費
・開発費
・株式交付費
・社債発行費

また、繰延資産には会計上とは別に、「法人税上の固有の繰延資産」があることも覚えておきたい。法人税法では、以下の費用も繰延資産とするとしている。

・定款記載を欠く設立費用
・資源の開発のために特別に支出する費用
・公共的施設の設置又は改良のために支出する費用
・共同的施設の設置又は改良のために支出する費用
・資産を賃借するための権利金等
・ノウハウの頭金等
・広告宣伝の用に供する資産を贈与したことにより生ずる費用
・スキー場のゲレンデ整備費用
・出版権の設定の対価
・同業者団体等の加入金
・職業運動選手等の契約金等
・簡易な施設の負担金の損金算入
・移転資産等と密接な関連を有する繰延資産
・双方に関連を有する繰延資産の引継ぎ

参考:『第1節 繰延資産の意義及び範囲等|国税庁』

固定資産管理業務の重要性

資産管理業務の中で最も管理が重要になるのが「固定資産管理」だ。ここからは固定資産管理の重要性についてみていこう。

会計管理を正しく行うために重要
固定資産は、資産となる物品などを購入した際に全て費用化できないことが特徴だ。そのかわり減価償却費として、毎年少しずつ費用化する必要がある。減価償却費の計算を間違えると、会社の費用が変わり、利益額にまで影響してしまう。そのため、固定資産の状況を正確に把握し、正しく減価償却処理を行う必要がある。

設備・所有物管理の現状を把握するために重要
設備やPCなどの有形資産は、そのものを管理することも重要だ。会計上固定資産が存在していても、処分済みであったり、壊れていて使用できないなどといったケースも多い。このような場合は実際に計上している固定資産と実態が一致していないことになり、正しい資産の状態を会計に反映できていないことになる。固定資産管理のためには、実態を把握できるよう下記のような内容を実施することが望ましい。

・固定資産購入時に固定資産台帳を記載
・固定資産の現物に管理用ラベルを貼る
・固定資産の状態を定期的に確認する
・壊れているものは処分するか修理する
・所有する固定資産の正確な数を把握する

資産管理を怠るとどうなる?

ここでは、資産管理を怠ることで生じるリスクについて解説する。

資産を私物化されてしまう
資産管理を怠ることで、備品やPCなどの資産が私物化されてしまうリスクが生じる。物品を私物化される状態を作ってしまうと、企業利益が損なわれることにもつながるため、企業の資産であること、何のために使用されるかなど「ビジネス目的」で資産を貸与していることを周知しておく必要がある。

資産が行方不明になり、情報漏洩につながるリスクが生じる
資産管理が不十分で、資産の私物化が生じてしまった場合、「資産が行方不明」になるという弊害を生むことにもなりかねない。特に、PCなどの記憶媒体を含む資産が行方不明になってしまえば、情報漏洩のリスクも生じる。そのため、社員に貸与する際などには、場所や移動先を記帳してもらうなどの対応を行い、資産が行方不明にならないように管理を行う必要がある。

資産サイクルがわからなくなる
固定資産には寿命がある。たとえばITシステムなどは一般的に10年が寿命とされている。その後はシステムの刷新やアップグレードが求められる。資産の寿命に合ったタイミングで入れ替えを行うことが、ビジネスを円滑に進めるために重要だ。資産サイクルを正確に把握できるよう適切な資産管理を行い、計画的に環境刷新を行うことが望ましい。

減価償却費が計算できなくなる
資産管理が徹底されていないと、資産の減価償却費が不明にり、適切な会計処理が行えなくなってしまう。場合によっては監査が入り、是正勧告などの指導を受けることにもつながるだろう。正確な決算処理を行うためにも資産管理は非常に重要な業務と言える。

資産管理を適切に行う方法とは

資産管理を適切に行うためには、システムやツールの導入が不可欠だ。資産管理システムを導入すれば、会計処理を含めて資産を徹底管理することが可能だ。例えば、固定資産管理システムなどはクラウド上で管理できるシステムもある。「資産名称」「取得年月日」「耐用年数」など、管理するものが多岐に渡る固定資産は、システムで管理台帳を作成することで効率的かつ正確な管理が可能だ。資産管理システムの多く会計上必要な「減損会計」などにも対応しているものが多いため、システムの活用が適切な資産管理の近道になるだろう。

関連記事:『会計システムとは?導入のメリットや主な機能、選定のポイントを紹介 - オフィスのミカタ』

まとめ

会社が保有する資産を管理する資産管理は、正しい会計処理を行うために非常に重要な業務だと言える。資産管理システムやツールの導入で業務の効率化を図ることも可能だ。まずは資産管理への理解深め、自社にあった資産管理方法を検討してみてはいかがだろうか。