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毎年行われる社会保険料における標準報酬月額の定時決定の概要やサポートサービスを紹介

2023.01.19
オフィスのミカタ編集部

社会保険料は、年一回の定時決定で算出した標準報酬月額に基づいて1年間徴収される。毎年7月に基礎算定届提出が定められているが、作成から提出までのスケジュールはタイトなため、迅速な業務遂行が求められる。本記事では定時決定の概要や算定基礎届の作成方法・提出スケジュールなどを詳しく解説する。

定時決定とは年に一回、標準報酬月額の見直し行う業務

社会保険料を決定するための指針となる標準報酬月額は、実際の報酬とかけ離れないように年に一回見直しをおこなっている。これを定時決定といい、それを届け出る書類を「基礎算定届」という。

社会保険料を計算する基礎として使われる標準報酬月額
標準報酬月額とは、社会保険料(健康保険・介護保険・厚生年金保険)を計算するための基礎となるもの。標準報酬月額の対象となる報酬には、以下のものがある。

・基本給
・役職手当
・職務手当
・勤務地手当

他に宿直手当、休職手当なども含まれる。

定時決定の対象となる従業員
該当年の7月1日時点で健康保険と厚生年金保険の被保険者である従業員すべてが、定時決定の対象となる。育児休暇や介護休暇を取得している社員や休職中の従業員も対象となるほか、厚生年金保険の資格を喪失する70歳となる人や健康保険の資格を喪失する75歳以上の人でも例外なく対象となる。

なお、6月1日以降に被保険者となった従業員や6月30日以前に退職した従業員、7月に月額変更届を提出する人は対象外となるので注意したい。

定時決定で作成する算定基礎届の提出スケジュール
毎年6月中旬以降に日本年金機構から、5月中旬頃までに自社で被保険者となっている従業員の氏名・生年月日・従前の月額報酬額等が印字された算定基礎届が送られてくる。そこに新しい標準報酬月額を記載、印字のない被保険者の記入をし、7月10日までに提出しよう。10日が土日の場合は翌営業日が提出期限となる。なお、算定基礎届は電子申請も可能だ。

定時決定に必要な算定基礎届の作成方法

算定基礎届の作成方法を、順を追って説明する。

該当年の4・5・6月の報酬を確認し、支払い基礎日数を確認する
標準報酬月額には該当年の4、5、6月の報酬を基準とするため、まずはこの3カ月の報酬を確認しよう。さらに、3カ月の支払い基礎日数(給与の対象となる労働日数)を調べる。算定基礎届では17日以上ある月のみと定められているため、17日未満だった月がある場合は除外して算出する必要がある。

3カ月の報酬平均額を計算する
支払い基礎日数を満たしている月の報酬を確認したら、平均額を算出する。17日未満の月がある場合はその月を除外して算出し、3カ月すべてが17日未満の場合は従前の標準報酬月額を利用する。

都道府県別の保険料額表から等級を導き出す
報酬平均額を基に都道府県別に公表されている保険料額表から等級を導き出し、保険料額を確認する。

調べた報酬平均額や等級を算定基礎届に記載する
ここまでに調べた結果を算定基礎届に記載し、全ての項目の記載が終わったら算定基礎届を提出する。

下記の記事では、社会保険の種類や役割、対象者など社会保険に関する情報を詳しく解説している。ぜひ参考にしてほしい。
社員の生活を守る社会保険・社会保険料とは?複雑な計算を楽にするシステムも紹介

社会保険関連業務を含む給与計算サービスを提供するおすすめアウトソーシング

社会保険料に関する業務と給与計算業務を両方サポートするおすすめのアウトソーシングサービスを紹介する。

NOC人事アウトソーシング
社会保険料の定時決定だけでなく、社会保険の資格取得・喪失届の作成や労働保険の更新処理、住民税処理など給与計算に関する業務を一手に任せることができる「NOC人事アウトソーシング」。業務全体を任せることで、従業員をコア業務に専念させることができる。
https://www.noc-net.co.jp/jinji/payroll/payroll.html

ピタット給与
自社で使用している給与計算ソフトをそのまま使用し、給与計算をアウトソーシングできる「ピタット給与」は、給与・賞与計算のほか、社会保険・労働保険の算定や作成業務まで網羅的に任せることができるサービス。年末調整や住民税の更新などはスポット依頼となっており、無駄のないサービスが魅力だ。
https://www.kyuyokeisan.net/

ジョブカンBPO
バックオフィス業務全般に対応している「ジョブカンBPO」。採用業務、入/退社手続、勤怠管理、給与計算、年末調整までカバー。一部の業務のみの対応も可能で、自社の都合に合わせて業務を切り出すことができる。
https://bpo.jobcan.ne.jp/

社会保険料を自動計算できるおすすめのシステム

社会保険料に特化したサービスを提供しているおすすめのシステムを紹介する。

freee人事労務
社会保険料を自動計算し、年度ごとに変わる保険料率改定にも自動で対応する「freee人事労務」。算定基礎届や月額変更届などの書類も作成可能だ。さらに、社会保険の加入も適切に行い、資格取得届の作成も簡単に作成できる。
https://www.freee.co.jp/hr/social-insurance/

マネーフォワード クラウド社会保険
入退社時の社会保険届出書の書類の作成や定時決定、随時改定の申請状況の可視化までできる「マネーフォワード クラウド社会保険」。電子申請も紙での申請もどちらにも対応していることが特徴だ。
https://biz.moneyforward.com/social_insurance/

ジンジャー人事労務
社会保険の手続きに必要な帳票を、人事情報を基に自動作成できる「ジンジャー人事労務」。電子申請による手続きが可能なため、労務管理業務をオンラインで完結できるのが強みだ。労務業務における生産性向上とペーパーレス化推進に寄与すること請け合いだ。
https://hcm-jinjer.com/roumu/

社会保険料定時決定に関する業務を軽減するメリット

社会保険料定時決定は煩雑ではあるものの、年に一回の業務。わざわざアウトソーシングやシステムを利用するメリットはあるのだろうかと考える経営者もいるだろう。ここでは業務を軽減することのメリットについて紹介する。

定時決定の作業時期の業務増大を防ぎ、担当者の負担を軽減できる
年に一回の業務とはいえ、全従業員の標準報酬月額の割り出しや算定基礎届の条件を満たしているかをチェックする作業は、提出時期の業務量を大幅に増大させる。さらに届出書が届いてから提出するための期限が短いことで心理的負担も増大する点も見逃せない。

保険料率の改定や年齢によって変わる保険料率のミスを防ぐ
毎年のように改定される保険料率や年齢によって変わる保険料率はミス発生の温床。年齢を確認する作業も入るため、周りが思う以上の業務量があるのを忘れてはいけない。

まとめ

社会保険料定時決定は年に一度の業務だが、保険料の改定チェックや計算は大きな業務負担となる。アウトソーシングや社会保険料を自動計算してくれるシステムの利用により、業務担当者の負担とミスを減らし、スムーズに届出を行うことができる。人材を有効活用するためにもアウトソーシングやサポートサービスを利用し、業務担当者をコア業務に専念させることで企業成長を推進してほしい。