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人材定着は企業成長の大きな糧。人材定着施策によるメリットやおすすめツールを紹介

2023.02.08
オフィスのミカタ編集部

人材定着(リテンション)とは、自社に採用した優秀な人材に定着してもらうことやそのための施策を指す。国内では労働人口の減少が進んでいることや、人材の流動化が進むことで人材の流出が企業の課題となっている。いかにして自社にとって必要な人材を定着させられるかが人事業務の重要項目となっている。今回はリテンションを推進するためのメリットや有効な施策について解説する。

人材定着(リテンション)の概要

リテンション率の変動のきっかけや必要とされる背景について見ていこう。

働きやすさと働きがいによって変動するリテンション
従業員が会社に対して「働きやすさ」や「働きがい」を感じられればリテンション率は高くなる。逆にいうと、これらが低下すればリテンション率が下がる。

企業成長に欠かせないリテンション
経営資源の4つの要素である「ヒト・モノ・カネ・情報」。そのうち、唯一育成できるのが「ヒト」だ。さらに他の3つの要素を扱っているのも「ヒト」ということもあり、「ヒト」は企業成長のための最重要項目となる。自社で育成した「ヒト」が企業成長の糧となるため、リテンションは欠かせない。

日本におけるリテンション率の平均値
日本企業のリテンション率の平均は厚生労働省が定期的に公表している「雇用動向調査」から割り出すことができ、2020年の調査では85.8%となっている。ただ、新卒者の就職3年以内のリテンション率に絞ると、高卒で63.1%、大卒で68.8%と全体平均に比べてグッと下がる。よって、リテンション率の向上には新卒者に対するリテンション施策が有効であることが分かる。

企業の人事担当者がリテンションに向けて行っている施策について集計したアンケート結果を以下の記事にて公表している。自社のリテンション施策への参考にしてほしい。
【人材定着における企業の対応】約7割が相性を見て人員配置を決めていると回答

リテンション施策によるメリット

リテンション施策を推進することによるメリットを紹介する。

ナレッジマネジメントに好循環を生み出すことができる
リテンション率が向上するということは、自社に長く在籍する従業員が増えるということだ。それはノウハウの蓄積、いわゆるナレッジマネジメントに好循環が生まれることを意味する。社内にスキルやノウハウが蓄積することで、新入社員の育成にも生かすことができ、ゆとりのある社員教育を進めることができる。

離職率低下によって、採用に係るコストを引き下げる
企業における採用活動には求人掲載、書類審査、面接など、人的コスト・金銭的なコストがかかる。離職率が低下するということは、採用活動が減らすことができ、これらコストを引き下げることができる。

長期的に安定した経営・事業戦略の遂行が可能になる
慢性的な人材不足に陥っている会社は、既存社員に業務の皺寄せが行きやすいため、不満が蓄積しがちだ。不満が溜まっている職場は雰囲気が悪くなり離職率が上がるという悪循環に陥る。

社内に優秀な人材が定着すると職場の雰囲気が良くなり、定着率が上がるという好循環が生まれる。それにより企業成長のアイデアが生まれやすくなり、さらなる業績アップにつながっていき、安定した経営を遂行できる確率が高まる。

リテンションは大きく分けて「金銭的報酬」「非金銭的報酬」の2つ

リテンションを構成する「金銭的報酬」「非金銭的報酬」の2つをそれぞれ詳しく解説する。

給与や福利厚生などに係る金銭的報酬
金銭的報酬には以下のようなものが当てはまる。

・給与
・各種手当
・ボーナス
・福利厚生
・インセンティブ
・ストックオプション

従業員の能力や成果に見合った「適切な金銭的報酬」の支払いができているかどうかは、会社に対する不満に直結する部分ということもあり、気をつけたいポイントだ。ただ、金銭的報酬は常に上げ続ける訳にもいかないことから限界がある。

働きやすさなどの制度づくりを主とする非金銭的報酬
前述したように金銭的報酬には限界があるため、それ以外の方法で従業員満足度を高め、リテンション施策を実施する必要がある。そのための具体的な施策は以下のような例がある。

・ワークライフバランスの実現
・個々に合わせたキャリア形成
・働きやすさを追求した職場環境の整備
・スキルアップや研修制度の充実

多様な働き方が広がる中で、金銭的報酬以外に価値を見いだす人材も多い。ワークライフバランスの実現やリモートワーク・フレックスの導入など、働き方をサポートする制度づくりを進めることが有効だ。制度を整えるだけでなく職場環境の改善にも取り組むなど、ハード面、ソフト面どちらも推進してほしい。

リテンション実施には様々な方法があるが、効率的に行うにはリテンション施策をサポートするツールをうまく活用するとよいだろう。ツールを利用するメリットとしては、

・エンゲージメントの可視化によって離職可能性のある従業員への素早い対応が可能
・従業員のモチベーションの向上
・リテンション業務の効率化による業務担当者の負担軽減

などがある。自社にあったツールを利用し、リテンション率アップを図りたい。

リテンション率の向上に役立つツールの選び方

リテンション施策としてツールの導入は効果的だが、闇雲に取り入れても意味がない。ここでは役立つツールの選び方について紹介する。

使用したい機能やサービスが提供されているか確認する
ツールを導入する前に利用する目的を明確にしたい。それにより、どういった機能やサービスが必要なのかを確認することができる。

従業員によるユーザビリティの高さ
従業員による使い勝手の良さは譲れないポイントだ。ツールには従業員へのアンケート機能を搭載していることが多く、それによって現在の心理状態や勤務状況を把握する。そのため、使い勝手の悪いツールでは、従業員の不満が余計に溜まってしまう。簡単に使えるかどうかを見極めてほしい。

初期費用やランニングコストのチェックも忘れずに
ツールを利用するには初期費用やランニングコストがかかる。予算を組んで、予算内に収まっているのか、費用対効果は臨めるのかもしっかりと検証したい。

初期導入コストを抑えたい場合、クラウド型のシステムを選ぶとよいだろう。コストがかかっても自社のセキュリティポリシーに沿って運用したい場合はオンプレミス型がおすすめだ。

リテンション施策をサポートするおすすめシステム

リテンション施策をサポートするクラウド型のシステムを紹介する。

MotifyHR
リテンションのためにエンゲージメントサーベイ、オンボーディング、コミュニケーション・コンディションチェック、OKR、1on1の5つのソリューションを提供している「Motify (モティファイ)HR」。入社直後から従業員を細やかにサポートできるのが強みだ。
https://motifyhr.jp/

タレントパレット
人材データを一元化し、分析・活用を簡便にする「タレントパレット」。エンゲージメント分析やキャリア分析のほか、労務負荷分析で従業員の不満も把握できる機能が心強い。人的資本に関する情報開示のガイドラインISO 30414にも準拠していて安心だ。
https://www.talent-palette.com/

HR OnBoard NEXT
リモートワークの増加によるコミュニケーション量・質の低下に悩む企業にとって最適な「HR OnBoard NEXT」。社員のコンディション変化が一目で分かり、従業員にとっても負担感なく活用できるサービスになっている。
https://onboard-next.com/

Geppo
「Geppo(ゲッポウ)」は個人のパルスサーベイと組織診断を行えるツールで、人事業務をサポートする。個人・組織双方の課題を解決することで本質的な働き方改善を行い、リテンションを促進させる。
https://www.geppo.jp/

カオナビ
従業員の個性・才能を発掘するタレントマネジメントシステムの「カオナビ」。人材情報の一元化を進めて人事業務を効率化するシステムだ。社員アンケートや配置バランスなどにより、従業員のやりがい、不満を吸い上げる機能を有している。
https://www.kaonavi.jp/

まとめ

企業成長に欠かせないリテンション施策だが、闇雲に実施するよりもサポートサービスを活用した方が業務担当者にとっても従業員にとっても負担感が少なく、効率的に行える。上手に利用してリテンションを進めてほしい。