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人材派遣を利用するまでの流れを注意点も含めて解説。利用前に確認したいメリット・デメリットも紹介

2023.02.24
オフィスのミカタ編集部

急な人材不足や特定の能力に秀でた人材を短期間必要とするような時に有用なのが人材派遣サービスだ。今回は人材派遣を利用するまでの流れや注意点について解説する。

人材派遣とは派遣会社から人材を派遣してもらうシステム

まずは人材派遣に関する概要を見ていこう。

派遣会社と雇用関係にある人材を派遣してもらう人材派遣
人材派遣とは、人材派遣会社と雇用関係にある人材を派遣してもらうシステムだ。派遣社員は派遣先企業の指揮命令のもとで働くが、雇用契約を派遣会社と結んでいるのが特徴で、給与の支払いや労務管理などは派遣会社が行う。

通常の派遣と紹介予定派遣の違い
通常の派遣では、派遣期間は最長3年に定められており、就業前に派遣先が採用試験などを行うことは禁止されている。

一方の紹介予定派遣は、最長6カ月の派遣期間終了後、派遣社員と派遣先企業の合意によって直接雇用(正社員・契約社員)にすることを前提とした派遣方法で、就業前の採用試験も可能だ。派遣から直接雇用に切り替える場合、派遣会社に紹介手数料を支払う必要があるが、正社員雇用をする前に働き方を見ることができるというメリットがある。

人材派遣とアウトソーシングの違い
アウトソーシングとは、業務の一部を外部企業や社外の人材に委託することを指す。ゴール設定だけしてその過程は相手に任せるのがアウトソーシング、ゴールまでの道筋を指示しながらゴールを目指してもらうのが人材派遣といった違いがある。

アウトソーシングは管理も含めて任せられるため、たとえばネットワークの保守管理や点検、カスタマーセンターの初期対応など定型業務といわれる仕事が向いている。人材派遣は細やかに自社から指示を出せるため、進捗状況のチェックが必要な業務や頻繁に変更がある業務など、フレキシブルな対応が求められるバックオフィス業務などが向いているといえるだろう。

派遣依頼から人材の就業開始までの流れ

では、実際に人材派遣を依頼した場合の依頼から就業開始までの流れを一般的な例で見ていこう。

派遣会社を選定し、打ち合わせ
まずは自社が必要とする人材を有する派遣会社を選定しよう。派遣会社によって強みとする職種や対応エリアがあるため、しっかりと見極めたい。ある程度絞れたら複数社と打ち合わせをしよう。こちらの希望条件や依頼内容を提示し、希望にもっとも近い人材派遣会社を選んでほしい。

派遣会社による人材のマッチング
自社の依頼内容に応じて派遣会社がスタッフを選出する。人材派遣の場合、自社による書類選考や面接行為はできないが、派遣スタッフ側が職場見学を希望する場合は受け入れる必要がある。

労働派遣契約の締結
人材派遣会社と自社の間で労働派遣契約を締結する。

派遣期間について派遣元と派遣社員に通知
派遣期間には制限があり、同一の事業所における期間は最長3年。この期間内でどれだけの間、派遣スタッフに従事してもらいたいのかを通知する。

派遣先責任者の選任と派遣先管理台帳の作成
派遣先管理台帳とは、派遣スタッフの就労実態を記録する書面で、派遣スタッフを受け入れる企業には作成・保管義務がある。また、派遣スタッフに対する業務指示や管理する責任者が必要なため、就業開始前に決定しておく必要がある。

就業開始
就業開始までに、スムーズに業務に入れるよう関係者への周知や業務に必要な備品の手配などを済ませておく必要がある。基本的には直接雇用で新規採用者がいるのと同じ準備の流れで問題ない。

紹介予定派遣であれば、派遣前の選考や面接が可能
人材派遣において書類選考や面接は不可であると前述したが、紹介予定派遣の場合は可能だ。通常の採用と同じようなプロセスで採用でき、就業中の業務の習得状況や働き方を見た上で正式な採用の可否を決定できるのが紹介予定派遣の特徴だ。

人材派遣を利用する上で注意したいこと

人材派遣を利用する上での制限や注意点について紹介する。

派遣が利用できない業務がある
法律によって、人材派遣を行えない業務が決められており、該当するのは以下の通りだ。

・港湾運送業務
・建設業務
・警備業務
・病院等における医療関連業務
・弁護士、税理士等の士業

ただし、医療関連業務に関しては紹介予定派遣であれば派遣が可能だ。

原則として3年
前述した通り、人材派遣で同一のスタッフを雇用し続けられるのは原則として3年までだ。

契約途中での解雇は損害賠償を支払う可能性がある
契約途中でスタッフを解雇する場合はあらかじめ猶予期間をもって派遣会社に伝える必要がある。万が一、派遣スタッフが次の職を見つけるために必要な30日以上の猶予期間を持たずに解雇した場合、損害賠償として30日未満の日数分の給与を支払う義務が生じる。

また、解雇予告を派遣会社にしなかった場合には30日以上の給与を損害賠償として支払わなければならないので気をつけてほしい。

以下の記事では派遣会社を利用している人が派遣先に関して譲れない条件について質問したアンケート結果を公開している。ぜひ派遣を利用する前に参考にしてみてほしい。
派遣で働きたい仕事の条件を調査 最も譲れない条件は「勤務地」

人材派遣で人材を活用するメリット

人材派遣を利用するメリットについてみていこう。

採用コストおよび労務コストが軽減される
自社で雇用する必要がないため、採用にかかるコストや労務コストがかからないというメリットがある。金銭的コストはもちろんだが、採用や労務にかかる人的コストを削減できるという点にも注目したい。

業務効率や生産性の向上が期待できる
繁忙期・閑散期があるような会社の場合、繁忙期だけ人手が欲しいということもあるだろう。そういった期間限定の増員にフレキシブルに対応できるのが人材派遣の強みだ。

専門性の高い人材が確保できる
人材派遣会社には専門性の高い人材が豊富で、要望に合った人材を派遣してもらうことができる。自社で育成することなく専門的な知識や経験を持つ人材を確保できるのは大きなメリットだ。

人手不足による機会損失が軽減できる
人員不足によって新しいビジネスチャンスを逃してしまうことは企業にとって大きな損失だ。人材派遣の利用によって必要なスキルや経験を持つ人材を必要な時に取り入れることで、更なる企業成長を推進することが可能となる。

人材派遣で人材を活用するデメリット

メリットがあれば必ずデメリットも発生する。人材派遣におけるデメリットについても触れておきたい。

契約外の仕事が依頼できず、柔軟性に欠ける
業務内容に制限があるということが大きなデメリット。派遣契約を締結する際に業務内容を定めているため、その範囲外の業務は契約違反となるため頼むことができない。

基本的に派遣期間に上限がある
何度も触れている通り、3年間という派遣上限期間があるため、長期的に重要業務に携わってもらうことは難しい。

帰属意識の低さからくる情報漏洩のリスク
派遣スタッフは派遣会社に所属しているため、自社への帰属意識は低いと思ってほしい。それによる情報漏洩のリスクに備える必要がある。

まとめ

人材派遣は専門的な経験や知識を持つスタッフも多く、心強い戦力となる存在だ。上手に制度を利用して、自社の発展に寄与するようにうまく活用してほしい。