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働き方で異なる正しい有給休暇の付与日数とは?有給管理の業務効率をアップするシステムも紹介

2023.02.27
オフィスのミカタ編集部

2019年の労働基準法改定により有給休暇の年5日取得が義務化された。企業は雇用者の有給休暇付与日数を正確に把握し、有給管理を適切に行うことが求められている。一方で労働者の働き方は多様化しており、有給管理業務も複雑化しているため企業側の業務負担が大きくなっているという現状がある。本記事では働き方によって異なる正しい有給休暇の付与日数について解説し、また有給管理の業務効率を上げるおすすめのシステムを紹介する。

年次有給休暇は法律で定められた労働者の権利

年次有給休暇は、労働基準法で認められた「給与をもらって休める労働者の権利」である。正社員、パートタイム労働者などの区分なくすべての労働者に付与されるが、付与日数が働き方によりどのように異なるのかを見ていこう。


継続勤務年数により付与日数がわかる通常労働者の有給休暇
年次有給休暇の付与日数は、正規雇用と非正規雇用にかかわらず、週の所定労働日数と所定労働時間、継続勤務年数によって決まる。通常の労働者の有給休暇付与日数は下記の通りだ。

(参考:厚労省年次有給休暇取得促進特設サイト『事業主の方へ』

付与日数の算定が若干複雑なパートタイムなどの労働者

年次有給休暇の付与日数は労働基準法で定められており、正社員だけではなくパート・アルバイト従業員にも適用されるが、算出方法は若干複雑になる。

以下の記事では有給休暇の概要から従業員へ取得を促すためのポイントまで網羅的に解説している。ぜひ一読してほしい。
有給消化とは?取得の義務化や従業員へ取得を促すためのポイントを解説

年次有給休暇で気をつけたいポイント

企業にとって年次有給休暇を適切に付与することは重要な業務であるが、特にどんなところに気をつけるべきかポイントを挙げる。

有給休暇に対して支払う賃金は就業規則などに明確に規定する必要がある
年次有給休暇に対する賃金は、原則として下記3つのいずれかを選択して支払う。

①労働基準法で定める平均賃金

②所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金

③健康保険法に定める標準報酬月額の30分の1に相当する金額

上記3つのうちどれを選択するかについては就業規則などに明確に規定しておく必要があり、③を選択する場合は労使協定を締結する。


有給休暇の有効期限は2年間で繰越が可能
有給休暇の請求権には時効があり、労働基準法において有効期間は2年と定められている。労働者に付与された有給休暇のうち、未消化分は翌年度に繰り越し次年度の年次有給休暇に加算することが可能。


有給休暇の取得義務帳簿の作成と取得管理を怠った場合、罰金が発生する
企業には取得義務化の対象となる労働者ごとに有給休暇管理簿(*1)を作成し、有給休暇の取得日数を管理することが義務付けられている。

年次有給休暇管理簿を管理することにより、労働者それぞれが適切な年次有給休暇を取得できているか確認することができる。取得が進んでいない場合には業務負担の軽減を図るなどしてより多くの取得を促す。

有給休暇を適切に取得させないと罰則を科される場合もあるため、取得義務化の条件や日数を正確に把握すること、また把握した情報を正しく管理することは企業にとって重要な業務である。

一方で働き方の多様化が進み、社員全員の有給休暇の把握、取得状況の管理は企業にとって業務負担も大きい。昨今では多くの有給管理システムが出ているのでそれらの利用も検討してほしい。
(*1 「年次有給休暇管理簿」とは、時季、日数及び基準日を労働者ごとに明らかにした書類のこと。3年間の保存義務がある。必要なときに出力できる状態であればシステム上で管理することも可能。)

有給管理システムを利用するメリットとは

有給管理システムとは、雇用者の有給休暇の付与日数や取得状況を自動で管理できるシステムのこと。ここではシステムを利用するメリットを紹介していく。

有給管理の効率化が推進できる
以前はExcelやスプレッドシートで管理していたために手間のかかる作業だった有給管理業務も、自動化によりミスの発生が軽減され、業務の効率化が推進される。また社員の入れ替わりや法の改正も自動更新されるため、簡単な操作で一括処理することができる。

有給取得の促進に寄与する

社員がスマホやPCから手軽に有給申請や残日数の確認することができるようになり、休暇取得の促進につながる。またオンライン上で取得申請が完了するため、書類提出も不要。承認機能を備えたものであれば、申請から承認まで一元管理され、有給取得プロセスも簡略化される。

法令遵守が容易になる
有給の取得状況を一覧化できるため、未取得者を確実に把握することができる。取得期限が迫っている従業員にはシステム上やメール送付で知らせるアラート機能など、注意喚起機能もある。作成が義務付けられている「年次有給休暇管理簿」を簡単に作成できるソフトも多く、行政報告書の出力も確実かつ容易に行うことができる。

有給休暇管理に特化したシステム

担当者の業務負担を軽くする有給休暇管理に特化したシステムの中でも、特におすすめのシステムを3つ紹介する。


オフィスステーション有休管理

「オフィスステーション有休管理」は、社員区分による付与期間管理・申請手続き・残日数の確認をペーパーレスで自動化するシステムだ。複雑な労働基準法にも自動で対応してくれるほか、アラート機能で管理漏れを軽減する。
https://www.officestation.jp/yukyu/

有休ママ
「有休ママ」は労務管理のプロフェッショナルである社会保険労務士が制作および企画監修した有給休暇管理ソフトだ。Excelと置き換える形で簡単に導入することができる。クラウドサービスではなく、PC、社内LAN上で動作するためセキュリティ面でも安心。
https://stellaco.jp/develop/vacation/

有休ノート
「有休ノート」は、複雑な有給休暇の管理を圧倒的に楽にする管理ソフト。クラウドサービスのため、場所に制限されることなく使用でき、法令が変わると自動でアップデートされる。企業独自に使用している特別休暇の管理にも対応している。
https://yukyu-note.com/

有給休暇だけでなく勤怠管理全般を管理するシステム

続いて、有給休暇だけでなく勤怠管理全般を一括管理するシステムを紹介しよう。

タッチオンタイム
働き方改革対応勤怠管理システム「Touch On Time(タッチオンタイム)」は、利用者数250万人を誇る市場シェアNo.1のクラウドシステムだ。用途に沿って打刻のデバイスを選べ、充実したアフターサポートにも定評がある。
https://www.kintaisystem.com/

ジンジャー勤怠
「ジンジャー勤怠」は、労働時間の集計/管理や有給休暇の管理まで、リアルタイムで管理できる勤怠管理システムだ。勤怠管理に存在する手間や確認、差し戻しの工数を削減し、ラクでシンプルな勤怠管理業務を実現する。法改正に応じた自動アップデートも魅力。
https://hcm-jinjer.com/kintai/

KING OF TIME
「KING OF TIME(キングオブタイム)」は、無料で利用できるPCでの打刻をはじめ、顔認証や指紋認証などの生体認証やICカードなど豊富な打刻手段を選べる勤怠管理システム。自社の就業規則に沿った勤怠管理を、豊富な機能で簡単・便利に管理することができる。
https://www.kingoftime.jp/

ジョブカン勤怠管理
ICカード打刻、指静脈認証打刻、GPS打刻、LINE打刻、Slack打刻など職場環境や働き方に合わせて打刻を行う「ジョブカン勤怠管理」は、カスタマイズ性の高さが魅力の勤怠管理システムだ。夜勤や宿直といった複雑なシフト管理にも対応し、医療業界でも利用されている。
https://jobcan.ne.jp/holiday/

マネーフォワードクラウド勤怠
「マネーフォワードクラウド勤怠」は、働き方改革関連法に即対応できる勤怠管理システム。クラウドならではのアップデートの速さが魅力だ。労働形態が多様な企業でも導入しやすく、みなし残業にも対応可能。同社の「マネーフォワードクラウド給与」と連携させれば、勤怠データをワンクリックで移行し、給与計算を効率化することができる。
https://biz.moneyforward.com/attendance/

まとめ

社員の働き方が多様化し、ライフスタイルや休み方も変化している。また年次有給休暇の年5日取得義務化により、有給休暇管理業務の重要性は高まっている。企業は年次有給休暇を付与すべき対象者や付与日数、取得状況などを正確に把握し健全な社員管理をしなくてはならない。管理業務を効率化させ、ミスなく適切に有給休暇を付与することは、社員との不要なトラブルを防ぐだけではなく、社員の仕事に対するモチベーションを上げることにつながるはずだ。