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法人カードで経費精算を行うメリットと、覚えておきたいポイント

2023.03.02
オフィスのミカタ編集部

法人カードとは、個人事業主や法人に対して発行されるクレジットカードだ。企業の経費精算に利用できるため、導入を検討している担当者もいるだろう。今回は、法人カードで経費精算を行うメリットや、法人カードを使った場合の経費精算フロー、覚えておきたいポイントなどを紹介する。

目次

●法人カードで経費精算を行うメリット
●法人カードで経費精算を行うデメリット
●法人カードを使った経費精算のフロー
●経費精算に法人カードを利用する上で覚えておきたいポイント
●まとめ

法人カードで経費精算を行うメリット

キャッシュレス決済が主流になった今、経費精算にもキャッシュレス決済を取り入れる企業が増えている。まずは、法人カードによる経費精算で得られるメリットを見ていこう。

<メリット1>経費精算を効率化できる
決済に法人カードを利用すると、経費精算業務における従業員と経理担当者の手間を省き、精算を効率化できる。現金による立替払いや仮払いは、領収書の管理や精算書の作成などの手続きが必要で、従業員と経理担当のどちらにも負担だ。法人カードで経費を精算することで、毎月の経費はカードの利用明細でまとめて確認できるようになる。企業の会計ソフトに法人カードの利用データを取り込めば、入力ミスや記載漏れなどを防ぐことが可能になり、仕訳処理などの工数を削減することも可能だ。

<メリット2>従業員一人ひとりのカードを一元管理できる
法人カードは、従業員一人ひとりにクレジットカードを持たせることが可能で、全ての利用代金の支払いを法人口座一つに集約できる。かかった経費をリアルタイムに可視化できるので、経費の無駄を見つけやすく、経費削減の対策も行いやすいだろう。

<メリット3>付帯サービスを利用できる
法人カードには、ビジネス向けの付帯サービスが利用できるものもある。例えば、公共交通機関のオンライン予約や海外旅行損害保険、24時間コンシェルジュサービスなどだ。業務で役立つサービスがお得に使えることは、個人カードにはないメリットといえる。

<メリット4>個人利用と経費を区別できる
法人カードで経費採算を行うことで、従業員の個人利用と経費とを明確に区別できる。従業員の個人カードで支払いを行うと、私的な利用と会社経費が同じカードに混在して、処理が煩雑になりミスも起こりやすい。法人カードで経理精算を行うことによって、プライベートとビジネスでの支払いを区別して、会社経費の透明性が高めることにつながる。いつ・どこで・誰が・いくら使ったのかが可視化されるため、不正利用を予防する効果も期待できる。

法人カードで経費精算を行うデメリット

法人カードによる経費精算は多くのメリットがあるが、一方で、デメリットもある。法人カードの導入は、デメリットも把握した上で判断しよう。

<デメリット1>年会費が発生する
法人カードの多くは年会費が有料で、カードの利用頻度に関係なく、毎年、カードの枚数分の年会費を支払うのが一般的だ。年会費はカード会社によって異なるが、追加カードやETCカードにも年会費が設定されるので注意してほしい。ただし法人カードの年会費は、企業のコストとして経費に計上することが可能だ。

<デメリット2>基本的に一括払い
法人カードでの支払いは、基本的に一括払いである。分割やリボ払いに対応しているカード会社もあるが、個人カードと比較すると金利(利率)が高いことが多い。支払い方法は企業の資金繰りに関わるため、分割払いが必要なのかも含めて慎重な検討が必要だ。

<デメリット3>キャッシング機能はない
多くの法人カードには、貸し倒れのリスクを避けるためにキャッシング機能は付いていない。法人カードでもキャッシング機能が利用できる場合もあるが、個人事業主向けの法人カードが主だ。その場合も、多くが利息は高めで、利用上限額(キャッシング限度額)はショッピング枠の範囲内に設定されている。キャッシング枠の利用を見込んでいる場合は、法人カードはおすすめしない。

法人カードを使った経費精算のフロー

法人カードで経費精算する際の、主な流れをみておこう。ここでは、支払いを行った従業員と、経理担当者の双方で必要なプロセスを紹介する。

申請者の経費精算フロー
<1>利用した経費について法人カードで支払い、クレジット売上票を保管する
<2>支払い内容を記載した「経費精算書」を上司に提出する
<3>上司の承認後、領収書やクレジット売上票を経理担当に提出する

経理担当の経費精算フロー
<1>クレジットカードの利用明細を確認して、記帳や仕訳を行う
<2>従業員から提出されたクレジット売上票を、利用明細とともに保管する
<3>経費精算書の申請内容を確認する
<4>クレジットカード会社指定の支払日に一括で支う

法人カードを利用する経費精算は、申請者の立替払いがないため、返金のための精算処理が不要になる。また、経費精算システムを導入すると、支払い以外の全ての工程を自動化できるため、さらに利便性が高まる。

(関連記事:『経費清算システムとは?導入するメリット・デメリット、経費精算システム比較7選』

経費精算に法人カードを利用する上で覚えておきたいポイント

法人カードの経費精算は便利だが、いくつか覚えておきたいポイントがあるので紹介する。

利用上のルールを設定する
従業員が持つ法人カードの支払いは、メインカードに集約されて一括で決済される仕組みだ。そのため、複数名の従業員が法人カードを利用すると、ひと月あたりの引き落としが高額になる。個々のカードに上限額を設定することで、法人カードの利便性を確保しながら使いすぎを防止することができるだろう。また、カード利用により還元されるポイントは会社に帰属するため、個人での利用はできない。ポイントの取り扱いについても事前に規定を設けて、オフィス用品購入など自社の経費削減に役立てるとよいだろう。

クレジット売上票(利用控)は必要
クレジットカードで決済を行うと、利用店舗からレシートとカードの利用控が発行される。(店舗によってはレシートにクレジット利用情報も集約される)カード会社から自社に送付されるクレジット利用明細は、決済を行った店舗の書類ではなく、クレジットカード会社が発行したものだ。そのため、税務上は領収書として扱うことができない。経費精算ではクレジット売上票(あるいはレシート)が必要になるので、誤ってクレジット売上票を破棄しないよう社内で周知徹底して、経理担当者はカードの利用控やレシート等を必ず利用者から受け取るようにしたい。

まとめ

法人カードを利用することで、経費の申請者は仮払いや立替払いが不要になる。経理担当も返金のための精算業務が必要なくなるため、どちらにとっても負担軽減につながるのがメリットだ。経費を一元管理で可視化できれば、使いすぎ防止やコスト削減にもつながるだろう。その一方で、法人カードの利用にはデメリットもあることを覚えておきたい。カードの年会費や付帯するサービスなどはクレジットカード会社によって異なるので、自社のニーズに合う法人カードを選択して、経費精算業務を効率化してはいかがだろうか。

(関連記事:『法人カードとは?特徴やメリット・デメリット、作り方の手順を解説』