約1,057億円相当の賃金が「調べもの」に費やされている?ビジネスマンが「調べもの」に費やす時間は毎日1.6時間
Q&Aサイト「OKWAVE」を運営する、オウケイウェイヴ総研(所在地:東京都渋谷区)は、全国の会社員1,000名を対象に「社内業務」に関する調査を実施した。その中で、業務時間中に「調べもの」に時間を取られていると感じる人は6割を超え、日本全体で1日当たり約1,057億円相当の賃金が調べものに充てられていることが明らかとなった。
■調査の背景
働き方改革関連法が2019年4月より施行され、特に「労働時間」について焦点があてられている。今回オウケイウェイヴ総研は、社内業務における「調べもの」の実態に関して調査を実施。日本全体で1日当たり約1,057億円相当の賃金が調べものに充てられていることが明らかとなった。
計算式:321,000円÷168.8時間×1.6時間×3,476万人=105,762,654,028円/日
正社員・正職員の賃金【321,600円】(厚生労働省「平成29年賃金構造基本統計調査」より)
一般労働者労働時間【168.8時間】(厚生労働省「就業形態別総実労働時間数」より)
調べものの平均時間【1.6時間】(オウケイウェイヴ総研調べ)
正社員・正職員【3,476万人】(総務省「労働力調査[詳細集計]平成30年」より)
■一般的な会社員は1日平均1.6時間「調べもの」に時間を割いている
1日の業務のうち、調べものをする時間で最も多かったのは「1~2時間未満(69.2%)」であり、平均は1.6時間となった。
■調べものは自力で行っている!
仕事中に調べものをする際に利用するもの・人TOP3は、「インターネット検索(93.3%)」「職場の上司や同僚(44.2%)」「社内にある新聞・書籍・雑誌など活字資料(19.1%)」といえ結果となった。
約9割が「インターネット検索」をあげ、調べものは自力で行っていることが分かった。
■6割超の人が調べものに業務時間を取られていると感じている
仕事で調べものをしていて時間を取られてしまっていると「思う」と回答した人は、「とても思う」と「やや思う」を合わせて全体の62.9%となり、6割超の人が調べものに業務時間を取られていると感じているようだ。
■7割超が調べものに時間を取られていることがをストレスに
調べものに時間を取られていると思うと回答した人のうち、仕事上での調べものによって時間を取られることにストレスを「感じている」と回答した人は「とても感じている」と「やや感じている」を合わせて75.4%となり、7割超が調べものに時間を取られていることをストレスに感じている結果となった。
■時間を取られてしまう理由は?
時間を取られていると感じる理由に「新しい知識を多く必要とする業務のため」「知りたい情報が一箇所にまとまっていないため」、「知りたい情報がどこにあるか把握できていない」などが上位に上がった。
■改善として職場に望むもの
仕事中に調べものをする上で職場に望むこと「社内ツール・システム関連の整備」、次いで「社内の情報共有体制の整備」、「情報収集の時間」が上がり、企業側の整備に期待する声があった。
■慶應義塾大学大学院経営管理研究科 特任教授 岩本 隆氏のコメント
現在、世界中で第四次産業革命が進行しており、IoT(Internet of Things)、ビッグデータ、AI(Artificial Intelligence:人工知能)、ロボットなどの新たなテクノロジーを活用した新たな産業・事業が多く生まれています。それにより、ヒトの働き方も大きく変化しています。
「リアルタイムエコノミー」という言葉が世界に広がりつつありますが、テクノロジーによってリアルタイムに付加価値を出すことがさまざまな領域で可能となってきており、「生産性=付加価値÷時間」ととらえると、テクノロジーの活用によって分母の時間をゼロに近づけ、生産性を無限大にまで高めていくことが可能となります。
自社のさまざまな業務について、ヒトよりもテクノロジーの方が高い生産性を出せる業務、テクノロジーよりもヒトの方が付加価値を出せる業務を棚卸しし、テクノロジーでできることはテクノロジーを活用し、ヒトはヒトでしかできない業務に集中することが、自社の生産性を飛躍的に高めるには重要となるでしょう。
■まとめ
今回の調査により、多くの従業員が「調べもの」にストレスを感じていることがわかった。
企業にあったツールや手法の導入で、従業員のストレスを減らすことができれば、時間短縮だけでなく、個人のパフォーマンスが向上し、より生産性向上が期待できるかもしれない。