IoT技術で介護職員の働き方改革を。入居者の安全を確保する「福祉の森 見守りシステム」を販売開始
株式会社日立システムズ(本社:東京都品川区)は、介護施設や医療施設向けに、IoT技術を活用して入居者の安全確保と介護職員の働き方改革を支援する「福祉の森 見守りシステム」の販売を開始した。入居者の状態や脈拍、呼吸などを表示する見守り機能と、介護記録システムとの自動連携機能を提供する。
■見守りシステムとは
見守りシステムとは、介護施設の各居室に設置された複数のセンサーから発信される情報を、管理画面に一括で表示できるシステムである。赤外線センサーやマット型の生体センサーなど、さまざまなセンサーから複数の入居者の寝返りなどの体動情報や、脈拍、呼吸などに関する生体情報を取得し、居室ごとに分かりやすく一画面で表示することで、入居者の異常や予兆を視覚的に状況把握することができる。スタッフルームに備え付けたPCやタブレット端末、スマートフォンなどでリアルタイムに確認することができるため、入居者のケアをより安全かつタイムリーに効果的な介護ができるようだ。
■介護記録管理システム「福祉の森」との連携
見守りシステムで取得した情報や、IoT対応の医療機器から取得した体温や血圧などのバイタル情報、ナースコールのログなどは、「福祉の森 介護記録システム」に自動記録することができる。入居者の日常の生活記録を集約し、時系列に記録・管理することで、入居者に対するケア状況を素早く確認したり、記録システムへの入力時間や申し送り時間を短縮したりでき、従業員や介護スタッフの業務効率化をサポートする。今後、「福祉の森」以外の介護記録システムとも連携を予定しているそうだ。
■今求められる、介護環境の改善
少子高齢化が進む昨今、日本の総人口のうち65歳以上の高齢者が占める割合は28.1%(*1)となり、介護が必要な高齢者の数も増加傾向にある。介護施設では限られた人数の職員で各入居者の居室を巡回し、食事から入浴、排泄などの介助だけでなく、健康状態等まで常に管理・把握する必要があり、職員の業務量は膨らむ一方だ。
この膨大な業務の一部を介護ロボット等の活用により軽減し、介護職員が働きやすく、より質の高いサービスの提供を実現するための環境作りが求められている。
(*1) 平成30年10月1日 総務省統計局「人口推計」より引用
■日立システムズの今後の取り組み
従来から提供している無線・有線LANを含めたITインフラの整備や、介護者の抱き起こし作業などの負荷を軽減する作業補助スーツなどの機器調達、ナースコールやインカムなどの各種システム設計・環境構築や運営支援、保守、機器追加対応など加え、見守りシステムなどの管理システムを組み合わせワンストップサービスを提供することで、入居者の安全確保と介護職員の働き方改革を実現する環境づくりを支援する。
さらに将来的には、一元化したデータとAI(人工知能)なども連携することで、健康の改善や増進、未病といった健康科学の分野までサービス提供の範囲を拡大していく予定だ。
今後、日立システムズは、介護施設や医療施設の生産性向上を支援する製品・サービスを積極的に拡販し、2021年度末までに累計15億円の売上を目指している。
■まとめ
人手不足の介護現場において、IoTを活用した新システムの登場は、入居者に対してタイムリーな質の高いケアを行うことができるようになるだけでなく、職員や介護スタッフの負担を軽減し、働き方改革にも繋がっていくだろう。