過去3年でストレスを感じている人は76.1%の最高値に!~2019年ビジネスパーソンが抱えるストレスに関する調査~
平成の30年間で日本人の働き方は大きく変化した。平成が始まった当時はバブル期で、「終身雇用」「年功序列賃金」が定着し、働けば働くだけ稼ぐことができた時代だと言われていた。平成が終わる今、それらの考え方は覆され、働き方改革をはじめとする従業員の働きやすさを向上するための取り組みが政府主導で進められている。
チューリッヒ生命は、全国1000人のビジネスパーソンを対象に、昨年、一昨年に続きストレスについての調査を実施。その結果、ストレスの原因は変化しつつも、日々、ストレスと向き合うビジネスパーソンの姿が見えてくる結果となった。
■ビジネスパーソンの約7割以上が「ストレス」を抱えている!
勤め先で、どの程度ストレスを感じているか質問したところ、ストレスを感じている人は全体で76.1%(内「非常にストレスを感じている」人は28.3%)だった。男女別に見ると男性は73.4%、女性は78.8%という結果だった。昨年と比較をすると、男性は71.6%、女性は75.2%と、若干ではあるもののストレスを感じている人が増えていることがわかる。性年代別で比較をすると、昨年から引き続き男性では40代(「ストレスを感じている」人は80.0%)、女性では20代(「ストレスを感じている」人は83.2%)にストレスを感じている人が多いことがわかった。一方、「ストレスを感じている」20代男性は昨年の71.2%から64.8%と減少しており、同じ20代でも女性の方がストレスを抱えやすい環境にあるようだ。
■ストレスの原因は年々変化してきている⁉
前問で「ストレスは感じていない」と回答した人以外に、勤め先でストレスの原因になっていると感じることを質問した。1位は「仕事の内容」、次いで「給与や福利厚生などの待遇面」となった。過去2年間1位だった「上司との人間関係」は、今年は4位となった。パワハラへの規制が厳しくなっていることなども関係し、ストレスの原因として上司との関係に悩んでいる人が減っているようだ。また、「仕事の量が多い」は3年続けて順位が下がっている。これは社会的に働き方改革が進められている影響だろうか。ストレスを感じている人は増えているものの、その原因は年々変化してきていることがわかる。
■働き方改革に取り組んでいる企業は4割弱!
昨今、働き方改革について様々な企業で取り組みが進められており、今年の4月から順次、働き方改革関連法の施行が開始されている。そこで、現在勤務先の会社で働き方改革に取り組んでいるかを質問したところ、「取り組んでいる」と回答した人は35.7%という結果となった。メディアでも働き方改革についての内容を目にすることが増えてきたが、実際に取り組んでいる企業はわずか4割弱にとどまる結果となった。
■従業員が働きやすいと感じる環境作りに注力する企業が増えてきている
「働き方改革に取り組んでいる」と回答した人に対して、具体的に取り組んでいることを質問した。1位「残業削減」56.6%、2位「労働時間の削減」40.9%となり、労働時間の短縮化に取り組む企業が多く見られた。一時期、長時間労働や深夜残業が問題となりメディアでも多く取り上げられていたなどの影響もあり、社会的にも、より従業員のワークライフバランスを整える動きが出始めているのかもしれない。一方、3位・4位の「働く時間・場所の多様化」や6位「出産育児手当の充実」と回答した人もいた。採用面においても売り手市場である今、優秀な人材を獲得するために多様性を認め、従業員が働きやすいと感じる環境作りに注力する企業が増えているのだろう。
■働き方改革が、働く人にとって、仕事のストレス低減に結びついているわけではない⁉
勤め先が働き方改革に取り組んでいると回答した人に対して、取り組み前と比較してストレスがどのように変化したかを聞いた。男女、全年代でストレスが減ったと感じている人が過半数以上となった。特に20代の女性の7割以上はストレスが減ったと感じている。Q1では、最もストレスを感じている年代だったが、働き方改革により、労働環境が改善してきているのかもしれない。
一方、ストレスが増えたと感じている人も半数近くおり、30代男性では4人に1人が「とてもストレスが増えた」と回答。働き方改革が、必ずしも全ての働く人にとって、仕事のストレス低減に結びついているわけではないようだ。
■働き方改革によってストレスを感じている人も半数近くいる
働き方改革の取り組みによるストレスの要因を聞いたところ、1位「勤務・業務管理が厳しくなったこと」33.3%、次いで「収入が減ったこと」26.3%、「スケジュールが調整しづらいこと」23.8%という結果となった。特に男性50代は「業務管理が厳しくなったこと」が40.0%と他の世代より高くなっている。管理者は部下の労働時間削減のために、これまでとは仕事の進め方を変える必要があったり、会社で終わらなかった仕事を持ち帰り、自宅等で仕事をしたりしている人も多いのかもしれない。一億総活躍社会の実現に向けて政府主導で進められている働き方改革だが、まだまだ課題は多く、働き方改革によってストレスを感じている人も半数近くいることから、根本的な解決には至っていないのかもしれない。
■大型連休もストレスに?
2019年の5月1日は新天皇が即位されることから国民の休日となり、それに伴い、今年のゴールデンウィークは10日間の大型連休になる。そこで、大型連休についてどのように思うかを聞いたところ、全体の6割以上が「嬉しい」と思っているようだ。一方で4割弱の方は「ストレス」と感じており、必ずしも大型連休を歓迎している人だけではないようだ。
■大型連休が嬉しい理由とストレスは?
前問で「嬉しい」と回答した人と、「ストレス」と回答した人にそれぞれ理由を聞いた。「嬉しい」と回答した方の理由1位は「ゆっくり休むことができる」、2位「ゆっくり眠ることができる」、3位「趣味に時間を費やせる」となりました。休息が足りていない、と感じている人が多いようだ。「ストレス」と回答した人の理由1位は「どこに行っても混んでいる」、2位「仕事が休めない」、3位「出費がかさむ」となった。また、ストレスの理由として「家事が煩雑となる」と答えた人は、男性が0.8%に対して女性が4.2%と差があった。
■まとめ
今回のアンケート調査で、働き方改革が進む中でも日々の業務に追われ、ストレスを感じている人が多いことがわかった。
企業は、一人ひとりのニーズにあった働き方を進め、従業員が仕事をしやすい環境づくりをすることが重要ではないだろうか。