4社に1社が義務化に否定的~「有給休暇の取得義務化」実態調査~
エン・ジャパン株式会社(本社:東京都新宿区)が運営する人事向け総合情報サイト「人事のミカタ」上でサイトを利用している企業を対象に「有給休暇の取得義務化」についてアンケート調査を実施。610社から回答を得たところ、4社に1社が有給休暇の義務化に否定的という結果となった。
■有給休暇の取得義務化の認知度は9割以上
2019年4月1日から、10日以上の有給が付与される全ての労働者に対して、毎年5日間、時季を指定して有給を取得させることが企業に義務化された。この有給休暇の取得義務化の認知度を聞くと、96%が「知っている」(内容も含めて知っている:63%、概要を知っている:33%)と回答。
■4社に1社が義務化に否定的
▼「非常に良いと思う」「まあ良いと思う」と回答した人の理由
・有給取得は働く側として当然の権利だと思うので、取得しやすい環境になるのはとても良いことだと思います。(医療関連/30~49名)
・法律が施行されなければ休みがとれないような企業にとっては、組織体系や業務量の見直しに繋がる良いタイミングだと思う。(サービス関連/100~299名)
・本来、個々人の自由裁量によるべきですが、取得が進まない現状では「義務化」は一助になると考えます。(商社/300~999名)
・人口減少時代に対して、働き方を見直すひとつのきっかけと捉えている。(メーカー/1000名以上)
▼「あまり良いと思わない」「良くないと思う」と回答した人の理由
・個人の有給の取得予定は不明なことが、多く年間計画が立てにくい。さらに、元々休日が多く少人数なので生産性が上がらなくなる。(流通・小売関連/1~9名)
・有給休暇が10日程度の社員は、5日の有給休暇取得義務により、個人の病気等に使える有給休暇が減ってしまう。(広告・出版・マスコミ関連/10~29名)
・業務内容や勤務状況の改善がされないまま、表向きの有給のみを義務化されたところで、サービス残業やサービス出勤、持ち帰り残業など、ブラックな形態が増えるだけだと思う。(福祉/100~299名)
・翌年に繰り越して長期休暇を取るなどの自由度を奪うことになる。(IT・情報処理・インターネット関連/300~999名)
※()内は業種/従業員数
■有給取得を促進している企業は70%
「現在、有給取得を促進していますか?」という質問に、「促進している」が70%となった。
取得を促進している業種トップ3は「金融・コンサル関連」(100%)、「商社」(79%)、「IT・情報処理・インターネット関連」(77%)。一方、取得を促進していないのは「広告・出版・マスコミ関連」(36%)、「流通・小売関連」(34%)、「不動産・建設関連」(27%)となった。
■「社員の満足度向上のため」が67%
有給取得を促進する理由には、「社員の満足度向上のため」(67%)が最多。「有給取得の義務化の法に準拠するため」(42%)は第3位となった。
■課題は「人員不足」
有給の取得義務化にあたり、難しい点や課題を伺うと、「人員不足」(65%)、「業務量が人に偏っている」(60%)に多く回答が集まった。人手不足や業務過多の状況にある企業は、義務化への対応を不安視しているようだ。
■有給休暇の取得義務化への対応は?
また、「有給休暇の取得義務化に、どう対応しますか?」との質問には、多くが「有給休暇の計画的取得」(83%)、「有給休暇取得のための周知・啓発」(81%)と回答した。
■まとめ
有給休暇取得の義務化に対して、認知度は高いようだが、義務化への対応には課題が残っているようだ。人員不足が特に不安視されており、採用計画や業務の効率化が急務といえるだろう。