35.7%が初任給を「全学歴引き上げ」~東証1部上場企業241社の新入社員初任給の調査~
民間調査機関の一般財団法人 労務行政研究所(東京都品川区)では、今年4月の新卒入社者の初任給を調査。4月9日までにデータの得られた東証1部上場企業241社について速報集計をまとめた。35.7%の企業が2019年度の初任給を「全学歴引き上げた」結果となった。
■初任給「全学歴引き上げ」35.7%
2019 年度の初任給を前年度から「全学歴引き上げ」た企業が35.7%と、昨18 年度速報集計時の39.7%から4.0 ポイント低下した。産業別に見ると、製造業は46.9%の企業が引き上げたのに対し、非製造業は22.5%と2 割台前半にとどまり、24.4 ポイントの差が見られた。
■初任給の引き上げ率の推移
リーマンショックの影響を受け世界的不況に陥った09 年度は、前年度の32.7%から大きく低下し6.4%となり、13 年までは1 割未満の低い割合が続いた。
14 年度は、輸出産業を中心とする企業業績の回復、デフレ脱却に向けた賃上げの政労使合意などを背景に 23.2%と、13 年度の 4.2%から 19.0 ポイント上昇。
賃上げ基調が続いた15 年度はさらに上昇して39.9%となった。
16 年度は33.9%、17 年度は29.4%と、引き上げ率は30 %前後であったが、18 年度は再び大きく上昇し、39.7%となった。
19 年度は35.7%と若干低下し、16 年度をやや上回る引き上げ率となっている。
■大学卒で21万2304円
全産業で見た学歴別の初任給水準は、大学卒(一律)21 万2304 円、大学院卒修士22 万9951 円、短大卒18 万2184 円、高校卒(一律)17 万505 円となった。
同一企業における前年度初任給と比較した上昇率は、大学卒(一律)0.7%、大学院卒修士0.7%、短大卒0.8%、高校卒(一律)0.9%である。
大学卒では、「引き上げ」が42.1%
大学卒(一律)では、「引き上げ」が42.1%となっている。引き上げた場合の上昇額は「1000 円台」が44.0%で多く、「2000 円台」13.3%と合わせると1000~2000 円台が過半数を占める。引き上げた場合の平均上昇額は3511 円となった。
■調査要領
1.調査項目
2019年度の賃金見直しによって確定された2019年4月入社者の決定初任給(学歴別)。なお、初任給は原則として時間外手当と通勤手当を除く、諸手当込みの所定内賃金である。
2.調査時期・方法
3月下旬に調査票を発送、併せて電話による取材も行い、4月9日までに回答のあった分を集計。
3.調査・集計対象
東証1部上場企業2090社のうち、回答のあった241社を集計。
■まとめ
東証1部上場企業241社の新入社員初任給の速報データ。引き上げ率は前年を下回るものの、全学歴で引き上げ傾向となったようだ。人手不足の中、初任給のデータは就活生も注目している情報だ。自社の初任給など、様々な情報をどのように開示していくかは、採用活動において重要な戦略といえるだろう。