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産休・育休からの職場復帰のカギは「産む前」にあった!? 復職後のパフォーマンスを上げる復職支援プログラムとは

2019.05.17

 特定非営利活動法人マドレボニータ(東京都渋谷区)は、企業の女性活躍を推進する「復職支援プログラム」の提供開始から3年を迎えた。

 産休・育休に入る前、つまり「産む前」からレクチャーやワークが始まるマドレボニータの支援。復職に向けた意欲の醸成を行うそのプログラムとはどういったものなのだろうか?

■「産む前」からの復職支援を提案

■「産む前」からの復職支援を提案

 育児休業取得の制度が整った企業が増える中、育児休業からの復職についての課題は「復職率」から「復職後の働き方の質」へ変化している。

 その「復職後の働き方の質」に影響を与えるものとして注目しているのは「育休中の過ごし方」と「育休前の知識取得」だ。

 同社の調査では、育休中に復職後のパフォーマンスを上げるための取り組みをできていない人が大半であり、復職が決定した時点で復職したいと思えていない人が4割強いた。
 また、産後に発生しうる危機や自身の体・心・社会とのつながりの変化・パートナーとの関係の変化、それを踏まえた産後から復職までの適切な過ごし方などを自身が知っていればよりよく過ごせた、そうした知識をパートナーや上司・同僚に知ってほしかった、という声も多数聞かれた。

 同社はこうした調査や長年の産後ケア教室の現場での知見から、職場環境の整備だけでは解決できない「出産後の心身のリハビリの不足」や「夫婦で協力し合う体制づくりができていない」といった課題を明らかにした。

■「産休・育休」は、ターニングポイント

■「産休・育休」は、ターニングポイント

 出産後のケアが不足していると心身の不調に起因して、不安感がつのり、復帰への意欲が減退。復帰しても共働きにブレーキがかかり、離職などに繋がる。

 一方で、出産後のケアができていると、心身の状態が落ち込むことが少なく、復職への意欲も増す。育休中の自己研鑽、夫婦で復職に向けた体制づくりなどができ、リスクの回避を超えチャンスになる。

■復職支援プログラムのメニュー

■復職支援プログラムのメニュー

復職支援プログラムは

1. 産後ケアの必要性と準備について知る講座
2. 産後ケア教室で復職に備える補助

の2つで構成されている。

「1. 産後ケアの必要性と準備について知る講座」は、出産前に当事者である妊娠中の女性、カップル(夫婦)が中心に受講する。
「2. 産後ケア教室で復職に備える補助」は育児休業前半(出産後2~6ヶ月)のうちいずれかの1ヶ月間、マドレボニータの産後ケア教室(4回コース)を住まいの地域で受講できる。また、受講料は企業が負担となる。

■実際に導入している企業:株式会社商船三井

■実際に導入している企業:株式会社商船三井

 復職支援プログラムをスタート当初から導入いただいている商船三井。導入4年目に入り、第1子育休時にプログラムを利用した社員が第2子の育休で2回目の利用というケースも発生している。

 2018年12月には3回目となる社内講座「”産む前に知りたかった”声多数!ワーキングペアレンツの土台づくりは『産後』から」を開催。自身またはパートナーが妊娠中の社員や将来子どもをもつ可能性があると考える社員、管理職層などが参加し、約2時間のレクチャーとコミュニケーションワークを行った。

■参加者の声

・今後の自分のキャリアプラン、人生設計を考える上で大変参考になりました。(30代女性)
・夫・男性側にきいてほしいと思う。妻が夫に話すよりもよっぽど効果が高いと思う。(30代女性)
・産後の大変さは社員全員が知っておくべきものなので、それを理解した上で制度設計や復職へのステップ作りを進めるべき。(40代女性)
・赤ちゃん向けのセミナーはあったが、両親や周りの人向けのセミナーは初めて受けた。ぜひ若手(独身)の方々にも受けてもらいたいと思った。(30代男性)

■まとめ

 産後ケアの正しい知識を得て、周りのサポートの仕方などを提案していく取り組みは、女性の職場復帰をつくる環境として今後ますます必要とされていくであろう。働き方改革の一つとして、取り組んでみてはどうだろうか。