人手不足の深刻さが顕著に。人手不足の企業が50%を超える。

帝国データバンクは人手不足に対する企業の見解について調査を実施。本調査は、TDB景気動向調査2019年4月調査とともに行った。
調査では、正社員が不足している企業は50.3%という結果となっている。
■人手不足が働き方改革への悪影響に

2019年4月に働き方改革法が施行され、今後も長時間労働の是正や生産性の向上に取り組む機運の高まりが予想される。
しかし、人手不足はこうした取り組みにマイナスの影響を与える可能性がある。
有効求人倍率の上昇や失業率の低下など労働市場の需給はひっ迫しており、人手不足にともなう人件費の上昇などコスト負担の増加は企業活動に悪影響を及ぼしかねない。
今回、帝国データバンクは人手不足の現状を調査した。
■人手不足感は一段と高まっている!
正社員が不足している企業は50.3%で2018年4月の1年前から1.1ポイント増加し、4月としては過去最高を更新した。
業種別では「情報サービス」(74.4%)が最も高く、「農・林・水産」(71.1%)も7割を超えた。続いて、「運輸・倉庫」「メンテナンス・警備・検査」「建設」など6業種が6割台となった。
不足感が強い上位10業種のうち8業種で1年前を上回り、人手不足感は一段の高まりを見せている。
■非正社員では「飲食店」で特に人手不足が深刻という結果に
非正社員では企業の31.8%で人手が不足していた。
業種別では「飲食店」の78.6%が不足と感じており、依然として高水準が続いている。また、「飲食料品小売」「人材派遣・紹介」「娯楽サービス」「旅館・ホテル」などが上位にあがった。
規模別ではすべてで3割以上の企業が人手不足を感じており、大企業は4月として過去最高を更新した。
■従業員数が多い企業ほど人手不足感が強い傾向
正社員の不足状況を従業員数別にみると、従業員数が「1,000人超」の企業が63.1%でトップとなり、「301~1,000人」(61.5%)が続いた一方、「5人以下」の企業では34.5%となり、「1,000人超」と28.6ポイントの差がみられた。
従業員数が多い企業ほど人手不足感が強い傾向がみられた。
■今後も労働力の確保や維持に苦戦
2019年の業績見通しの不安材料として、「人手不足の深刻化」をあげた企業は39.0%で最も高かった(帝国データバンク「2019年度の業績見通しに対する企業の意識調査」)。
さらに労働力の確保や維持に苦戦を強いられることも予想され、今後も人手不足解消は企業にとって重要な課題になるとみられる。
■まとめ
人手不足の深刻化はますます顕著なものとなっているようだ。
働き方改革法が施行される中、自社の規定の見直しを視野にいれ、労働力の確保や維持のための対策を行うことが急務の課題になりそうだ。