新卒社員は褒めて伸ばす!? 新卒社員と管理職の「仕事に対する意識」のズレ

株式会社ラーニングエージェンシー(東京都千代田区)は、2018年10月から2019年3月にかけて、新卒一年目社員の育成に関する調査を実施。傾向と新卒社員を育てるうえでのポイントをまとめた。
調査は、株式会社ラーニングエージェンシーが開催した研修受講者のうち、管理職と2018年度入社の新卒社員の計2,050名を対象に行い、管理職には「新卒社員の育成」、新卒社員には「自身の仕事に対する意識」について聞いた。
今回の調査では、管理職と新卒一年目社員の間に様々なすれ違いがあることが明らかになった。中でも、「成長を感じる場面」で大きなズレが生じていることが浮き彫りとなる結果となった。
■管理職側の回答は?

管理職に対して、新卒社員がどんな場面で成長を感じていると思うか聞いたところ、1位が「褒められたとき」(42.0%)、2位が「責任がある仕事を任されたとき」(40.3%)となった。
■新卒社員の回答は、管理職とズレがある

新卒社員本人にどんなときに自分の成長を感じているか質問したところ、1位が「褒められたとき」(30.3%)で、2位が「教えてもらったことが実践できたとき」(24.2%)という結果になり、管理職と新卒社員の間に認識のズレがあることがわかった。
■新卒社員には、何を学んでほしいか?

管理職に対し、新卒社員に何を学んでほしいか聞いたところ、1位が「業務の優先順位づけ」(58.0%)、続いて2位が「論理的な思考展開」(47.3%)という結果になった。
■新卒社員自身が課題だと感じていることは?

新卒社員自身が課題だと感じているのは、1位が「口頭による正確な情報伝達」(47.6%)、2位が「業務の処理スピード」(44.4%)となり、ここでも管理職と新卒社員の間に認識のズレがあることが明かになった。
■管理職が新卒一年目社員の育成で苦労しているのは「育成時間が取れない」「やる気を高められない」

管理職に新卒社員の育成で最も苦労していることは何か聞いたところ、1位が「部下育成の時間が取れない」(25.0%)、2位が「部下のやる気を高められない」(24.0%)という結果になった。
メンバーの指導にあたるべき管理職のほとんどが、実務も担当しているプレイングマネジャーだといわれる昨今。管理職は限られた時間の中で部下の成長を実現しなければならない状況となっている。
そのため、管理職のタイムマネジメント力は、今後ますます重要になっていくだろう。
■管理職に求められるのは、日々の業務の中で行う適切なフィードバック
株式会社ラーニングエージェンシーが実施した別の調査では、「成長実感」は仕事に対するモチベーションにつながることがわかっている。
そのため管理職には、仕事を任せるだけでなく、「業務を進める中で以前と比べてどのように変わったか(成長したか)をこまめに伝える」、すなわち「マイクロフィードバック」を実施して新入社員の成長を促すことが求められるのではないだろうか。
また、フィードバックを行う際に、強化・改善してほしいスキルを適切に伝えることで課題感のズレも解消できる。
まとまった時間を取ることが難しい管理職にとって、業務指導時のマイクロフィードバックこそが高い効果を生む育成法といえる。
■まとめ
今回のアンケート調査で、新卒社員と管理職には、仕事に対する意識にズレがあることがわかった。
特に新入社員へ「成長実感」を与える方法が、管理職は正しく認識できていないという結果になっている。
この調査回答を参考に、社員が仕事へのモチベーションを上げられるように、管理職の指導方法について見直してみてはいかがだろうか。