社会人の学ぶ意欲について調査。人生100年時代に必要な学びとは
人生100年時代において、リカレント教育(社会人の学び直し)が注目されつつある。個人が学び続ける重要性が問われている現在、実態はどうなっているのだろうか。
株式会社リクルートキャリア(本社:東京都千代田区)は3月下旬、「人生100年時代に働きながら学ぶこと」についてのアンケート調査実施。
学ぶ対象は「直近(6ヶ月程度)の職務上必要とされるものではない新たな知識・スキル」と定義。転職エージェントサービス『リクルートエージェント』の登録者で2018年8月から2019年1月の期間に入社先が確定した人を対象とした。
人生100年時代の人材育成
"日本では長寿化がさらに進むことが予想されており、長い人生をより充実したものとするためには、性別や年齢にかかわらず高いスキルを身に付けられる環境を整備していくことが重要な課題である。"(内閣府公式HPより引用)
内閣府も対策を進めている「人生100年時代」への人材育成。「リカレント教育」として社会人の学びなおしが注目されている今、現状はどのようになっているのだろうか。
■実際に学ぶために活動している人は6割。学びたい内容は多岐に渡る
学びたいと考える人は91.8%で、実際に学ぶために活動している人(確定している予定を含む)は、そのうち61.6%となり、働きながらも学びたいと志向し活動する人が多い結果となった。
■どのようなことを学びたいか?
・自動車の構造や法規制などに関する知識(40代/SE)
・技術スキルだけではなく、大人数のマネジメントスキルが必要だと思う(40代/SE)
・文章力(20代/SE)
・ラインマネジメント(30代/インターネット専門職)
・アートに関する知識(30代/インターネット専門職)
・現在利用していなくても、将来的に利用される可能性がある技術の習得。PL/BS など会計の基礎知識(40代/インターネット専門職)
・その企業の商品に特化した画像認識技術(40代/組込・制御ソフトウエア開発エンジニア)
・マーケティング(40代/化学エンジニア)
・プログラミングや経済動向の知識(30代/機械エンジニア)
・ものを作るという視点での、異業種の考え方の取入れ
日本・世界の経済状況と、各国の政府の政策方針(40代/機械エンジニア)
・エクセル等、どの業種でも使うような技能(20代/建設関連職種)
・IT技術、絵画、速読(30代/建設関連職種)
・大学院での研究活動(30代/マーケティング)
・AIなど次世代型の分析手法(40代/経営企画・事業企画・業務企画)
・歴史。言語。最新の技術動向(40代/経営企画・事業企画・業務企画)
・60代に向けて、中小企業診断士資格を取得して、企業の顧問のような働き方にチャンスを拓いていきたい(50代以上/経営企画・事業企画・業務企画)
・会計知識、IT知識、英語(40代/法務・知財)
・アセアン諸国の会計知識(40代/経理・財務)
・管理職を務めるにあたってのマネジメントスキル。メンタルヘルスに関する知識(30代/営業)
・PCスキル(40代/接客・販売・店長・コールセンター)
■学ぶ理由は?
学びたいと考える人に理由を聞いたところ、最も多い理由は「広い知見・視野を得たい(71.0%)」で、次いで「自らの市場価値を高めたい(67.3%)」だった。
■「活動している人」と「活動していない人」
学びたい理由を「活動している人」と「活動していない人」のそれぞれで見たところ、最も差があったのは「学ぶこと自体が好き」の回答で、活動している人が44.9%、活動していない人は27.1%と、17.7ポイントの差があった。
次に差が大きかったのは、「専門領域の先端知識を習得したい」の回答で、両者ともに上位に位置する理由ではあるが、学ぶために活動している人は51.3%、活動していない人は36.6%と、14.7ポイントの差があった。
■学ぶ上での悩み
学びたいと考える人に悩みについて聞いたところ、何かしらの悩みがある人は82.6%にのぼった。
最も多い悩みは、「仕事が忙しく時間がとれない(57.4%)」。次いで「プライベートが忙しく時間がとれない(35.0%)」となり、多忙な日常の中で時間をつくることの難しさが浮かび上がった。
■「助かる」就業先からの支援
学びたいと考える人に就業先からの支援について聞いたところ、支援があると助かる人は83.8%となった。
■時間や費用を支援してほしい!
支援内容については、「学習機会の提供(58.0%)」、「学習費用の支援(56.3%)」が多く、半数以上の人が回答。次いで、「時間の確保(42.2%)」となり、準備や学ぶ際にかかる時間や、費用に対する支援を求める声が多い結果となった。
■まとめ
人生100年時代。学びたいと考える人の最も多い理由は、「広い知見・視野を得たい」だった。
しかし、学びたくても、時間的、金額的に無理がある場合もあるようだ。
今回のアンケート調査を参考に、福利厚生の一部として、学習機会の提供や、学習費用の支援するシステムを考えてみてはどうだろうか。社内における人材育成の助けにもなっていくはずだ。