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「働き方改革」は進むのか? 「時間外労働の上限規制」3社に1社が懐疑的。

2019.06.07

 人材採用・入社後活躍のエン・ジャパン株式会社(本社:東京都新宿区)は、人事向け総合情報サイト『人事のミカタ』を利用する企業742社を対象に「時間外労働の上限規制」についてアンケート調査を実施した。

 「時間外労働の上限規制」3社に1社が懐疑的という結果となった。

■「時間外労働の上限規制」法の認知度は96%

■「時間外労働の上限規制」法の認知度は96%

 時間外労働の上限規制は、「働き方改革関連法」の1つ。従来、36協定の特別条項につき、規制がなかった残業時間に上限を設けるもので、大企業は2019年4月に施行された。中小企業は2020年4月から施行される。

~~~時間外労働の上限規制~~~
残業時間の上限は、原則として月45時間・年360時間とし、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできない。

施工時期:大企業・・・2019年4月~
     中小企業・・2020年4月~

■厚生労働省 働き方改革特設サイト
https://www.mhlw.go.jp/hatarakikata/overtime.html
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 「時間外労働の上限規制」法について、知っているか聞いてみたところ、96%が「知っている」(内容も含めて知っている:44%、概要を知っている:52%)と回答した。

 施行1年前の昨年と比較すると「知っている」と回答した企業は20ポイント増加しており、認知の拡大が伺える。

  

  

■66%が「時間外労働の上限規制」法に賛成の一方で、3社に1社は懐疑的

■66%が「時間外労働の上限規制」法に賛成の一方で、3社に1社は懐疑的

 「時間外労働の上限規制」についての見解を聞くと、66%が「良いと思う」(非常に良いと思う:18%、まあ良いと思う:48%)と回答。

 その理由として、
・「だらだらと居残ることを制限できるし、残業が多い社員に法的理由をもって対応できる。」(商社/50~99名)
・「最低限のワークライフバランスの維持や、ブラック企業の撲滅、労働者の命を守ることに繋がるから。」(メーカー/100~299名)
・「社員の過労を削減できる。結果リフレッシュや休息に充てる時間が持て、良い仕事ができるため、生産性向上に繋がると期待しています。」(IT・情報処理・インターネット関連/100~299名)などが挙げられた。

 一方、31%が「良くないと思う」(あまり良いと思わない:23%、良くないと思う:8%)と回答。
 
 特に反対の意見が目立ったのは、企業規模別では「1~49名」、業種別では「広告・出版・マスコミ関連」だった。
 
 その理由として、
・「労働時間が減ったところで、従業員の負担が減るわけではない。」(広告・出版・マスコミ関連/50~99名)
・「上限規制を設けても、取締りを強化しないと意味が無い。まずは取り締まりを強化すべき。」(メーカー/100~299名)
・「人員不足を解決してこその制度であり、その対策のほうを優先すべきだと思います。」(運輸・倉庫業/300~999名)といったものだった。

  

  

■「時間外労働の上限規制」法の対応策が決定しているのは58%

■「時間外労働の上限規制」法の対応策が決定しているのは58%

 「時間外労働の上限規制」の対応状況を質問すると、58%が「対応策が決定している」(既に必要な対応が完了:22%、現在取り組んでいる最中:30%、対応が決まり、これから取り組む予定:6%)と回答。

 企業規模別では「1000名以上」(同:41%、36%、2%)、業種別では「金融・コンサル関連」(同:50%、33%、0%)で対応が進んでいるようだ。

 「対応策が決定している」と回答した企業に具体的な対応策を質問すると、トップは同率で「業務分担やフローの見直し」(58%)、「管理職への教育(時間管理)」(58%)、次いで「時間外労働の上限目標を厳格化」(53%)、「時間外労働の事前申請制度」(52%)が続いた。

  

  

   

  

   

■時間外労働が発生する理由は「仕事量の多さ」「人員不足」

■時間外労働が発生する理由は「仕事量の多さ」「人員不足」

 時間外労働時間(1ヶ月)の平均を質問すると、83%が40時間以内(0時間:1%、1~20時間:45%、21~40時間:38%)と回答した。

 1ヶ月あたりの時間外労働時間が多かったのは、企業規模別では「300~999名」(41~60時間:16%、61~80時間:9%、81~100時間:1%)、業種別では「流通・小売関連」(同:20%、13%、2%)だった。

 時間外労働が発生する理由を質問すると、トップは同率で「常に仕事量が多いから」(72%)、「人員不足だから」(72%)となった。

  

  

■まとめ

 「時間外労働の上限規制」3社に1社が懐疑的という結果となった。労働時間を規制しても、従業員にかかる負担が増えているようだ。

 人員不足の解決や、業務分担やフローの見直しを企業は早急に実施し、中身のある働き方改革を目指す必要があるだろう。