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働く女性2000人に聞いた『女性活躍推進』理想と現実のギャップ。女性の活躍を阻む壁とは?

2019.06.12

 社会課題の解決に向けたフォーラムの開催や提言を行う「パソナ総合研究所」(本社:東京都千代田区)は、現在就業中の女性を対象に『女性活躍推進に関する意識調査』を実施。

 働き方に「理想と現実のギャップ」を感じる女性達の意見から、直面している問題や、政府に求められる施策が明るみになった。

■国内外で注目される「女性活躍推進法」

 2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」(貧困に終止符を打ち、地球を保護し、すべての人が平和と豊かさを享受できるようにすることを目指す普遍的な行動)では、「ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る」という目標が掲げられた。

 国内でも2016年に「女性活躍推進法」が施行され、女性の働く環境に国内外で注目が集まっている。

■「理想と現実のギャップ」が最も大きいのは30~40代

 「理想と現実のギャップ有無」の質問に対して、ギャップがあると回答したのは20代~40代で約5割、50代~60代で約4割だった。

 最も回答率が高かった30代~40代は、企業内では中堅層として活躍を期待される反面、子育てに忙しい時期で仕事でも家庭でも負荷がかかる時期であることが、理想と現実のギャップを生む大きな要因ではないかと推察される。

■「理想と現実のギャップ」の最大理由は「仕事と家庭の両立ができていない」

 「理想の働き方」を全年代を併せた傾向としては、「結婚生活や子育てと両立して働く」と「一般職として働く」で、全体の約5割を占めた。

 どの年代も、“仕事と家庭の両立”が理想であることがみてとれる。また「一般職として働く」が多い理由としては、管理職や専門的職種は望まないが、会社員として働き続けたい意向が強いことが推察される。 

 

 

 

 「理想と現実のギャップ」を最も感じていると回答した30代~40代に絞り、「理想の働き方(現30~40代が20代の頃、理想と考えていた働き方)」と、「現在の働き方」を比較した。

 「理想の働き方(20歳代の頃)」はTOP2が全年代同じ傾向である一方、現在の働き方は、「一般職として働いている」が最も多かった。

 一般職等の会社員として働き続ける場合でも、結婚や子育てと両立して働くことに難しさを感じている女性が多いと推察される。

 

 また、「理想と現実のギャップの原因」に対して、どの年代も「収入・待遇が希望と異なる」が突出。

 結婚や子育てと両立して働くことができていないのは、仕事でも家庭でも負荷がかかる時期にどちらかを優先する選択を迫られ、仕事を選ぶと「プライベートの時間が確保しづらく」なり、家庭を選ぶと「収入・待遇が希望と異なる」や「仕事内容が希望と異なる」という状況に陥ると推察される。

■「女性管理職の割合を増やすのに必要な取り組み」は「公正な評価」と「長時間労働禁止」

 「女性が管理職になるために必要なこと」は、全年代で「男性社員や上司の理解促進」が最も多く、特に20代が突出していた。

 50~60代は他年代より「女性自身の意識」が特に高い結果。若い年代は職場での理解を強く求めるのに対し、上の年代ほど能力への公正な評価や、女性自身の意識が重要と考える傾向がみてとれる。

 「女性管理職の割合を増やすのに必要な取り組み」は、30~60代は「能力・実績に基づくより公正な評価」が多数なのに対し、20代は「長時間労働の禁止」が1位になり年代により顕著な差が現れた。

 会社が働き方改革を進める中で、長時間労働の見直しと併せて人事評価制度全般の見直しを行うことを、女性が期待しているものと考えられる。

■夫婦の働き方、約7割が「夫婦ともに外で働き、家事もすべき」

 既婚者を対象に夫婦の働き方についての考えを聞いたところ、全年代の約7割が「夫も妻も外で働き、夫婦で家事もすべき」と回答した。

 どの世代でも、家庭において夫婦の公平な役割分担を求める傾向がみられる結果となった。

■女性自身だけでなく、配偶者に対しても長時間労働等をせず「家庭での役割もこなしてほしい」

 配偶者に満足していないことは、全ての年代で「家庭内での役割分担の不明確さ」が1位となり、「夫婦で家事を分担すべき」という考えと、ギャップが生じている状況があることが推察される。

 また20代では「希望と合わない帰宅時間」も同率1位となり、女性自身だけでなく、配偶者に対しても長時間労働等をせず“家庭での役割もこなしてほしい”と考える者が多く、働き方に対する捉え方、価値観の世代による変化が見て取れる。

■「最も評価している行政の施策」は、「育児関連の支援」が7割超

 女性の活躍推進に向けて行政に求めるもののうち、最も評価している施策は、20代が「産休育休期間の拡大」、30代以降が「待機児童減少への取り組み」だった。

 「消費増税分の施策活用への期待」については、全ての年代で「保育所等の受入数を増やす」が1位。

■「保育所の質の向上」も期待

 各年代ともに、政府の進めている幼児保育の無償化以上に、「保育所等の受入数の増加」だけでなく「保育所の質の向上」を求める割合が高く、現段階では、まずは保育所の量の充足と質の向上を求める意見が多いことがみてとれる結果となった。

 年代別の特徴を見ると、30~40代は「高等教育無償化」が、50~60代は「相談窓口の増設や時間延長」が他年代より高い回答となり、ライフステージに応じた要望の変化がみてとれる。

■女性飛躍の壁は「社会の意識」「仕事と家庭の両立」

 「女性活躍の壁と感じるものは何か」に対し、どの年代も共通して、「社会の意識」「仕事と家庭の両立」が上位を占めており、女性が活躍するためには、“社会的な背景”及び、“家庭との両立”の両方が必要であると考えられていることがわかる。

 20代は上の年代に比べ、女性活躍に関する“意識や能力の壁”はそれほど感じていないものの、長時間労働を問題視しない日本企業の従来からの働き方の見直しの必要性を感じていることが推察される。

 一方、子育て世代の中心となる30~40代は、「子育てへの理解・支援不足」や「男性と比べて家庭責任が重い」が高い回答数となった。

 また、キャリアを積んだ50代~60代になると、「男性中心の雇用慣行や企業風土、人事制度」「経営層の意識」といった企業や社会的背景に関する回答が、他の年代より高い回答となっている。

 働く女性にとっての活躍の壁を打破していくためには、社会における意識や慣行の見直し、会社における働き方や人事評価制度の見直し、家庭における役割の見直しと行政による支援と環境整備などに総合的に取り組み、ワークライフバランスを女性たちの理想に近づける施策が重要であると考えられる。

■まとめ

 「働き方の理想と現実のギャップ」から、会社、家庭内、政府施策などさまざまな見直しの課題が分かる結果となった。働く女性の活躍を推進するために何が必要か、今回の調査を参考にしてみてはいかがだろうか。

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