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東京オリンピックに向けて、インバウンド関連企業が外国人の採用を強化。採用実態と不安点とは

2019.06.19

 日本唯一のインバウンド専門求人サイト「やまとごころキャリア」を運営する株式会社やまとごころ(本社:東京都新宿区)は、インバウンド関連企業における外国人雇用の状況や採用ニーズを把握することを目的に、「インバウンド人材と外国人雇用に関するアンケート調査」を実施。
 
 「現在外国人を雇用している」企業が半数を超える一方、「外国人を雇用することについて不安点がある」と感じる企業も多いようだ。

■調査背景

 2018年に日本を訪れた外国人は3,100万人に達し、6年連続で最多記録を更新した。

 今年9月にはラグビーワールドカップ2019が開催。また、来年2020年は東京2020オリンピック・パラリンピックの開催、そして2025年には大阪万博と、国際的な大イベントを控えている。

 これらのイベント開催を契機に訪日外国人観光の更なる増加が見込まれることから、インバウンド関連企業の採用活動は活発になっている。

 また、2019年4月1日に外国人材の受け入れを拡大する改正出入国管理法が施行され、新たな在留資格が増えた。さらに5月30日には在留資格「特定活動」の就職規制が緩和されるなど、外国人が日本で活躍できる場が広がっている。こうした背景から、採用する側の企業の声とニーズの変化を分析するためアンケートを実施した。

■ 外国人材を「現在雇用している」企業 72.7%

■ 外国人材を「現在雇用している」企業 72.7%

 アンケートに回答した全企業の内、72.7%が外国人材を「現在雇用している」と回答した。また、「過去に雇用していた」という回答が13%、「今後、雇用したいと考えている」が7.8%と、実に90%以上の企業が外国人材の雇用に積極的だと言える結果となった。

■「外国人材の雇用にメリットを感じている」89%

■「外国人材の雇用にメリットを感じている」89%

 外国人材を「現在雇用している」と答えた企業のうち、89%が「雇用したことにメリットを感じている」と回答した。
 
 また、外国人材を雇用してよかった点として「海外とのやりとりがスムーズになった」、「訪日外国人とのコミュニケーションがスムーズになった」という回答が上位となった。その他続いたのが、「人材不足が解消された」、「異文化理解が深まった」という回答もあった。

 インバウンド関連企業の場合、外国人材の雇用は、人手不足の解消という労働力としてだけの雇用ではなく、母国語を生かして海外や訪日外国人観光客とのコミュニケーションを向上させる人材として活躍できる場面が多いことが特徴だ。
 また、外国人だからこその目線で商品やサービスに対するアイデアが出てくることも、企業がメリットと感じていることが分かった。

■一方で雇用には不安点も

■一方で雇用には不安点も

 メリットを感じつつも外国人材を雇用することについて「不安点がある」と答えた企業は87%と、受け入れる側は様々な点で不安を抱えていることもわかった。

 不安点として上位が「文化・習慣の違い」、「ビザ関連の手続き」、「早期退職(帰国等)」と、日本人の雇用とは異なる課題を抱えている。続いて「コミュニケーション面(言語等)」、「採用後の研修・教育」、「生活支援(住居・教育等)」などが挙がり今後の外国人材雇用促進には、これらの不安を解消していくことの必要性がわかった。

■求める人材像は、「営業職」「企画職」「WEB・IT関連職」

■求める人材像は、「営業職」「企画職」「WEB・IT関連職」

 外国人材の切り口だけでなく、人材不足が深刻な問題となっている点から、「採用」に関してもアンケートを実施した。回答した70%以上の企業が「人材が不足している」と回答。

 その中で、求める人材の職種について尋ねると、「営業職」「企画職」「WEB・IT関連職」が上位を占めた。

 同社では2015年にもインバウンド関連企業を対象に同様のアンケートを行っているが、その際の回答では、上位3職種のうち、「営業職」「企画職」は同じだが、今回の結果で挙がった「WEB・IT関連職」を求める企業は現在よりも少なく、代わりに旅行の手配を行う「オペレーター」がランクインしていた。アンケート結果だけでなく、業界自体の変化として、団体客から個人客への変化に伴い、旅行会社のニーズからWEBマーケティングやシステム開発など、ITの活用が広がったことも過去の結果との比較から見えてきた。

■求める経歴は、キャリアを積んだ「中途・キャリア」が多数

 また、求める経歴としては、未経験の新卒や経験の浅い第二新卒ではなく、キャリアを積んだ「中途・キャリア」採用を希望する企業が87%を占めた。

 業種別にみると、「旅行業」「宿泊業」では中途だけではなく「新卒」や「第二新卒」も対象となると回答しているが、その他の業種は「中途・キャリア」以外は採用の対象にはならないと回答しており、より即戦力を求める傾向にあることがわかった。

■調査概要

・調査内容/インバウンド人材と外国人材雇用に関するアンケート調査

・調査方法/WEB上のアンケートフォームより入力

・調査期間/2019年5月7日(火)~2019年5月22日(水)

・調査対象/やまとごころキャリア利用企業、やまとごころが配信する各メールマガジン会員

・回答企業/回答数77件

・回答業種/旅行業、宿泊施設プロモーション、コンサルティング、観光施設、多言語サポート、飲食店、官公庁・自治体・観光団体、航空会社 運輸、小売業・メーカー、人材派遣・人材紹介、WEBサービス、観光案内所、データソリューション、通信、不動産業

■まとめ

 今回の調査により、「外国人材を現在雇用している」企業が半数以上ある一方、「外国人雇用の不安点がある」と応える企業が約9割もいることが分かった。
 
 東京オリンピックや大阪万博など、国際的なイベントが続くことにより、インバウンド関連企業の採用活動は活発になっている。

 「インバウンドを強化したい」と考えている企業は、今回の調査を参考にしてみてはいかがだろうか。